第14話決闘


「おい、聞いたか」

「あぁ。銀翼の騎士が決闘を申し込んだらしい」

「決闘の相手は誰だ?」

「知らねえ。見たことない奴だ」



ガヤガヤ

噂はあっという間に広がっていく。テントからそう遠くない開けた場所に移動したが、見物人が離れたところ俺たちを囲む。



ボソッ

「鬱陶しい」と俺は小さく溜息をつく。



「どうして、こんなに人が集まってんの?」

と、ラグーと呼ばれていた少年が辺りを見渡す。



「ん?あーしが掲示板に書き込んだからじゃない?」

「はぁ?お前何やっているわけ?」

「だって、ネットのみんなスタンピードが起きるからぴりぴりしてんじゃ。だから、もっと違う話題提供しよーかなって」

と、金髪のギャルがスマホをいじりながら答える。



「大地、ミヤのスマホ取り上げろ」

「分かった」



そういって重装備の男が金髪のギャルのスマホを取り上げる。

「ちょっ、返してよ」

「ダメだ。しばらくの間、スマホ禁止だ」

「ぶーぶー、紫苑のケチ」

と、ミヤと呼ばれたギャルが銀髪の男に抗議をあげる。



「あー、お前らいい加減にしろ。俺これでもこの後いろいろ予定があるんだよ」



そう言われて、戯れていた銀翼のメンバーは周りが自分たちに注目していることに気づく。



「それと、ミヤ。報告会議の内容を漏らすなんて厳重注意じゃ、すまさんぞ」

「さーせん」とギャルは適当に支部長に謝っていて反省の色が見えてなかった。



「それじゃあ、決闘を始めるが準備はいいか?」

頷いとく。



「決闘のルールはいたって簡単だ。相手の胸元にある魔石を破壊すれば勝ちだ。ただし、多少の怪我は認めるが相手を殺したり重症にさせるのは禁止だ。いいな?」



何かと荒くれ者が多いハンター協会では相手の魔石を先に破壊すれば勝ちな魔石破壊の決闘が流行っており、負けたものは勝者の要求を飲む。



「では、試合開始!」



相手は銀の鎧と長剣を使っておりThe騎士という、いで立ちをしていた。



俺は早くこの状況を終わらせたいために、先制攻撃を仕掛けるが、ステータス頼りな素早い攻撃はぎりぎり、剣で受け止められてしまう。



へー、これに反応をするか。

そのまま何回か打ちあいをし、相手が力技で押し込んできようとしたので俺は一旦、後ろに下がる。



相手は追撃はしてこなかったが相手の方が俺より少し、力のステータスが高いように思えた。だが、素早さは俺のほうが上だと思いながらもう一段スピードを上げる。



すると、今度は簡単に相手の懐に入ることができたのでそのまま魔石に向かって刀を振るうがその瞬間、俺は光を見た。



あぁ。そうだった。忘れていたがこいつも高プレイヤーで、二次職だった。

「魔法剣士…」



銀髪の男、紫苑の周りには光り輝く槍が周りに展開されていた。

「かかってこないのか?では次はこちらの番だ」

と、次々と光の槍を俺に向けて、放ってくる。



俺は全魔法耐性があるから、避けなくてもいいがせっかく未来ねぇが俺のために作ってくれた服なので破かれるのも嫌だと思い、避けたり弾く。



そうしていると、相手が初級のフラッシュの目潰しをして、接近してくるので相手の気配を頼りに、剣戟を避ける。



視界が晴れても、相手の魔法の操作性が熟練していているため近づいても先ほどのように魔法で防がれて懐に入れなくなった。そのため、試合がだんだん長引く。



これが相手を殺してもいいルールだったら剣ごと切れる自信があるんだが、手加減をするのは何かと疲れる。



だが、俺より相手なの方が不利なのは変わらない。持久戦もちこめば、相手の魔力が切れるのが早いだろう。



だがそんなのは面白くない。そう思い、距離をあける。



「殺す気できていい」

相手はまだ、奥の手を隠しているように見える。

「受け止めるから」そう言い俺は構えをとる。



すると、紫苑は驚いた顔をした後に獰猛な顔で笑った。

「死なないでくれよ」と紫苑は魔力を全開して剣に注ぎ込む。剣は光り輝き、まるでおとぎ話の剣のようだった。



「おい、紫苑それはやりすぎじゃ…」という声が聞こえてくるが俺は迎え撃つ。



俺は魔力が剣に収縮する姿をみながら、剣を魔力でコーティングする。コーティングには多少時間がかかるが相手のほうがためが長いため、助かる。



「いくぞ」

紫苑はそう言い、俺に剣を振り一本の光の濁流が襲い掛かる。



俺は前世で培ってきた気と呼ばれる力を体から剣に流し込み、光を一閃する。



光は切れるように俺の左右に拡散していった。



しーん。辺りは静けさに飲まれる。

「俺の負けだ。もう魔力がない。立っているので精一杯だ」

紫苑は降参しすると歓声が周りから一斉に聞こえる。



「すっげーー。今の戦いやべぇ」

「あぁ。全然早すぎて見えなかったな」

「はぁー♡。紫苑様の戦う姿かっこよかった」

「いや。紫苑の攻撃を切り裂いたの一体誰だ?俺知らないんだけど」



ガヤガヤ

俺は周囲が盛り上がるのを無視して紫苑に近づく。

「強かった。さっき、侮辱してごめん」



俺より魔力の制御力は上でよくあの膨大な魔力を暴発させずに打てたなと思いながら謝っとく。



「そうだ。紫苑は強いんだ」

と、なぜかラグーと呼ばれた少年が威張り散らしていたが無視する。



「いや。君が相手と組まずソロで行動したい気持ちはなんとなくわかった。パーティーメンバーが生半可な実力では足手まといになりそうだからな」と、儚げに笑う。



それもそうだが、ちょっと違うなと思ったが口を閉じる。



「だがな。スタンビードは交代時間まで戦い続けなくちゃ、いけねぇんだぁ。だから、お互い支えあえる仲間がいたほうが効率もいいし、生存率もあがる。そんなに嫌ならシステムでパーティーを組まなくてもいいが銀翼の騎士団と一緒に行動するのはどうよ」



と支部長が言ってきた。さっきの戦いでは、この紫苑と呼ばれた男は見所もあったし、これを機にこいつらから情報収集するのもいいと思い、了承することにした。

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