第4話山奥ダンジョン


横山アイリス様。今回、ハンター協会の登録申し込みありがとうございます。


横山アイリ様は15歳以上、プレイヤーである確認が取れましたのでつきましてはハンター協会にてハンター証明書を発行します。お時間がある際にはハンター協会に証明書を取りにお立ち寄りください。





「…爺さんや俺、プレイヤー測定受けてないのにこんなの送られてきたんだけど」


「俺とはなんじゃ。私と言いなさい。もう少しで社会人なんじゃぞ。」


「分かった、分かった。で、これ詐欺かな?」



「何でもかんでも詐欺扱いするんじゃない。ここにハンター協会の正式なマークがあるじゃろう。ネットのやつと見比べても瓜二つじゃ」



「じゃあ、ハンター協会のマークをパクった犯罪に手を染めた詐欺だね」


「馬鹿垂れーー!どうして何でもかんでも送られてきたものを詐欺扱いするんじゃ。どう見てもハンター協会からじゃろう」



そうすること15分。まぁ、詐欺じゃないことは電話して分かった。



「じゃあ。どうしてプレイヤー測定を受けてないお、私がハンター登録できるようになったんだ…のかな」


ぎらっと、爺さんが俺の言葉づかいに目を光らせているからめんどくさい。


「電話で、そのあたり聞いてみたんじゃが、どうにもこの前の出来事でプレイヤーである確認が取れてましたのでの一点張りじゃったのう。アイリお主、まだ言ってないことあるんじゃなかろうな?」


爺さんは俺に疑いのまなざしで見てくるが今回ばかりは隠し事はないといえる。


「特にない」

「ホントじゃろうな」

「うん」

「はぁー今回ばかりは嘘はついてないように見えるのう」

そう言って爺さんは俺の追求をやめた。


「で、ハンター協会にはいつ行くのじゃ」

「当分先かな。めんどくさいし」


「そうか。それがいいじゃろう。ほとぼりが冷めるまで行かんほうがいい。ん?今日はどこかに行くのか」


俺が動きやすい格好の外服に着替えていることに気づいた爺さんが質問してくる。


「しばらく、ダンジョンにこもるから」


そう言うと、じいさんは苦渋を飲んだ顔になる。


それもあたりまえだろう。自分の娘やその家族を失うきっかけになった場所に孫を行かしたいと思わないだろう。


それも孫はダンジョンのモンスターに復讐すると言う理由で潜っているんだから。


もちろん、最初はダンジョンに入ることさえ家族全員、爺さんと兄は反対した。


けど、俺が1年間必死に剣に取り組む姿を見て、爺さんはもう止められないと思ったんだろう。


「ダンジョンに潜る際は一言、言ってから入ること、絶対に生きて帰ること」を約束して許してもらった。兄はいまだに反対しているが、どういったわけか最近になって、剣やアイテム作りに熱中している様子だ。


「じゃあ。行ってくる」


俺は扉を開けて外に出る。




ダンジョンはランクに分けられていて、階層の深さによってランクが決められている。ランク1は1~5階層まで、ランク2にも10階層までで、ランク3からは20階層と10階層ごとに増えて分けられている。今は49階層が世界の記録公式トップとなってる。


階層の深さはエーテルの濃度で分かるため、現在出現しているゲートの階層が最も深いのはヨーロッパのイタリアに位置するバチカン市国の80階層だ。


俺は山奥にあるダンジョンに潜る。あまり人が立ち寄らない場所で、野良でも入れるダンジョンだから入りやすい。


ここは推定ランク5の40階層まであるダンジョンだ。このダンジョンの特徴は獣型のモンスターが多いことだ。ただし、1~5階層は初心者用なのか、どのダンジョンでもスライムとゴブリンしか出てこない。だから、5階層を超えてからダンジョンは本番とされている。


ここのダンジョンは罠系がない代わり、獣型のモンスターが一匹一匹強いため、囲まれたら終わりとされてる。だからなのか、人があまりこず、スタンピードが起こりやすかったが、俺がここでモンスター狩りを始めてからスタンピードは起きてない。



だが、そろそろスタンピードが起こるんじゃないかと俺は思っている。なんか、最近になってダンジョン内の空気というか雰囲気が重ぐるしく感じるから。



このダンジョンは基本、森の地形なので、木の陰からモンスターが狙ってくることもある。



俺は1~5階層のモンスターを適当に間引きしてから6階層に向かう。案の定、4階層はゴブリンの巣が今まで以上に大きく出来ていたので、一匹残らず駆除する。



人型の魔物を殺しても何も思わないのかと言う疑問はYESだ。俺が前世で人殺しに慣れ過ぎているのか、はたまたモンスターは敵と認識されるように設定されているのかは分からないが殺しても罪悪感は湧かない。



ただ、切った感触は手に残るもので、命を殺めた感覚はある。それを爺さんに言うとその感覚を忘れるではないと言われた。「それは命の重みじゃ」と。



6階層はホーンラビットいう個体が生息しており、ウサギに角を生やしたモンスターで、緊張感のない行動で油断させて、角で突進してくるから注意が必要だ。



だが突進してくる攻撃は逆にチャンスともいえる。角で突進すると、まっすぐにしか行かないし、それ以外の行動はとることは不可能。なので、少し避けて通りざまに縦に切るのが楽にできる。


モンスターは死体は残らず灰になるが灰の中から魔石や素材が落ちることがある。



7~9階層からはホーンラビットやゴブリン、ウルフ、フクロウ型などのモンスターが入り混じり縄張り争いをしている。特に厄介なのは、ウルフ型とフクロウ型だ。ウルフ型は群れで行動しており、血の匂いを辿って得物を探しているからしつこい。



このダンジョンは現実と同じく昼夜があり、夜になるとモンスターが狂暴化する特性があるが、フクロウ型だけは狂暴化している様子がなく隠密にたけており、動き出すまで気配が分かりづらい。



結構、寄り道したために9階層では、夕方になっておりそろそろ夜がくる。




「早めに10階に行かないとな」とそう思い、襲ってきた5匹のウルフ型のモンスターを倒していく。


ウルフ型のモンスターは基本、頭を使って連携してくる。3匹が俺の周りを取り囲んで、もう2匹は木の陰に隠れて待機している。3匹はおとりに使って、油断したすきにやろうっていう腹なんだろう。


3匹は一斉に俺にとびかかってきたので俺は真正面から来たやつを前に移動しながら切る。残りの二匹は俺のいた場所でぶつかり合っていたので真後ろから叩き切っとく。


それを見た隠れていた2匹は何を思ったのか、俺に牙をむく。怒りに任せた攻撃が見え見えだっためにすぐに倒すことはできた。






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