僕しか知らない君とお呪い

@yukananac

フツウの君、フツウの生活

僕はただの小学生だ。2年生になった。1年生も入学して、年上としての「誇り」を持てるようにしましょうって、先生に言われるようになった。

僕はきっと、好きな子がいる。同じクラスの宮崎七子(みやざきななこ)さん。七子さんは不思議な人で、フツウな人だ。お友達がいるのに、いじめられている。いじめられる人には友達がいないと思っていた僕にとって、不思議な人だ。話したことは無い、だけど、七子さんといつか話したいとは思っている。

七子さんは女の子のグループにはあまり入っていかない。だけど、女の子のグループの話はしっかり聞いているように見える。本当は、グループに入りたいのかもしれない。

七子さんはお勉強が得意だ。僕も苦手なわけじゃ無い。七子さんもクラスで1番なわけではないと思う。だけど七子さんはお勉強が好きなんだろうな。すごく楽しそうに、一生懸命に先生の話を聞いてる。

七子さんは元気なのにお外で遊ばない。人といるのが楽しくないわけじゃないかもしれない。図書室に行くわけでもなく、運動場で遊ぶわけでもなく、昼休みは教室でお絵描きをしている。1人で描いてる時もあるし、何人かと一緒に描いてることがある。折り紙とかトランプとかの遊びには入りたがらない。僕達も、少し誘いづらいところはある。ほかの女の子は簡単に誘えるのに、七子さんにだけは声をかけにくい。僕はすきだから恥ずかしい気持ちもあるけれど、ほかのみんなは好きでは無いって言ってる。それなのに話しかけにくいらしい。

学校が終わると七子さんはお友達と帰ってる。遊ぶ約束をしながら、お話をしながら帰っている。どこでどんな遊びをしてるのかはしらないけれど、シール交換とか、お勉強会って聞いたことがある。たまに僕が遊ぶ公園にみんなに着いてきてたり、駄菓子屋に来てることがある。でも、僕が見かけた七子さんは、笑っていたけど楽しくはなさそうだった。

七子さんは日に日に仲間はずれにされていった。みんなで遊ぶ日はみんな仲良くするのに、それ以外の日はなぜか七子さんは1人なんだ。オシャレの話を女の子たちがしても分からないみたいだし、トランプのポーカーすら分からないらしい。ブラックジャックも知らなかった、大富豪も知らなかった。七子さんはクラスの人達にどんどん置いていかれていた。

僕はフツウに友達と遊んだりしてるのに、七子さんだけ、グループの中に居なかった。ある日、七子さんが仲良くしている友達のひとりが転校することになった。七子さんは悲しかったかもしれないけど、教室では大袈裟に悲しんだりしてなかった。他の子達はあんなにその子が転校するのが嫌だって、思い思いに話しているのに。七子さんは教卓の前に立つその子を見て、すぐそっぽを向いた。

七子さんは1人友達が減って、グループからはぶかれて、僕はそれを見るだけで2年生が終わった。

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