第5話 未開拓領域侵入

『何なんだよ。ふざけるな!』

アキが何をしたいのかわからない。僕のせいでみんな死んだこと忘れたのかよ。


『僕は絶対に行かない。行ってはいけない』

坂道のを少し早歩きで歩いた。




『先輩〜! 待ってください』

走って追いかけてきたアキが僕の行手を遮るようにきた。


『アキ』

今、アキの顔を見るのは気分悪いので無視して歩いた。


『先輩!行かないでください!』

アキが僕の腕を掴ん引き留めてきた。

『確かに、相談なくやったのは謝ります』


『じゃ何がしたいんだよ!』

つい強く言ってしまった。

『それは……』

珍しく強気に出たからアキが怯んだ。

僕は掴まれたままだがそのまま歩こうとする。


『待って』

アキは僕の腕を掴みながら俯いてすすり声で

『私、嫌なんです。先輩が私のせいで探検家をやらなくなった事が!』

僕の腕を掴んでいない方の手で目をこすりながら。

『だから、いいえ。私、もう一度、先輩と一緒に探検したいんです!』

僕の目をまっすぐ見つめてアキはいってきた。


すぐに俯きながら小さな声で

『もう、落ちぶれた先輩を見たくないんです』


『……』

僕は何も言えなかった。

何も言いたくない。その場にいるのが嫌になって歩こうとした。


(ぎゅ)

急にがアキが僕を抱きしめてきた。

『離しません、もう一度、私と探検してください!ダメならこのまま無理やり連れて行きます!先輩だって本当はあの崖の下に行きたいんでしょ!』

抱きしめられて苦しい。息ができない。


『わかった。わかった。行くよ。だから離してくれ』

僕は気づいた時には言ってしまった。苦しかったのか本当は行きたかったのかわからない。


『ん! やっぱり先輩行きたいんじゃん!嬉しい!』

さっきまで泣き顔だったのに今はアキは笑顔だ。また、アキにはめられた。けど、何だか気分はいい。


『ただし、僕は道案内までで、下に降りたら一人で動く。僕は弱いからできるだけ戦闘の無いように動きたい』


『じゃあ、私と行ってくれないんですか? ま、でも先輩が来てくれるだけで嬉しいのでいいです』




……五日後……


ようやくアキ達が準備が整ったみたいだ。アキから電話があったのでダンジョンへ向かった。もう最近はホワイトもダンジョンに慣れたらしく落ち着いている。


『雄介様、ご飯ください』

最近のホワイトは日本語も上手くなった。やっぱり見た目は人間でも能力は人間とは思えない。それにホワイトのお陰で見つけた刀はどうやらホワイトでしか鞘から取り出せないことがわかった。




……穴の近く……

『よし、みんな行くよ!』

そう言ってアキが先導して未開拓領域への穴へ数十人の人たちが入って行った。



『やだ、行きたくない!』

ホワイトの手を引いて穴の中へ入ろうとした時にホワイトが駄々をこねた。


『でも』

『嫌、行かない』


『わかった。ホワイトここで留守番してくれ』

仕方がないのでホワイトを穴の近くで待機させよう。穴の入り口近くには周辺を守る人もいるから安心だ。刀が使えないのは痛いが、やばくなったらすぐ引き返せばいい。


『待ってろよ』

僕はホワイトの手を離して穴に入っていく。


(ジャ ガシ ジャジャ)

穴の中は結構急で崖を降りる感じだ。


もうアキ達が使う明かりの光が遠くに見える。


(ガシャシャシャシャー)

上の方で音がしたので気になって見上げる


『うわわ』

(ジャ)

ホワイトが目の前でじっとこちらを見てた。驚いて足を外してしまったがホワイトが手を掴んでくれて助かった。


『助かった。ホワイト』

『雄介、一人にするな』


『あ、ああホワイト』

案外ホワイトに懐かれているらしい。


……数十分後……


外に出た。


『遅いですよ先輩!』

アキ達が待っていた。


アキはみんなに向かって

『まずはみんなで打ち合わせ通り放射状に広がって探索。さ!行くよ』

どうやら本当に僕はソロでやっていいみたいだ。アキにしては素直だ。


あたりを見渡すと紫色よ巨大なクリスタルが乱立している。それと上を見渡すと分厚い黒煙のような雲が広がっていた。


『まずはクリスタルでも取るか。ホワイト、ピッケルくれ』


『う〜……』

ホワイトに話しても反応がないので見てみると穴の中で引き込もっていた。


仕方がないのでホワイトのところまで行こうと歩いた。


(ガガガガガガーーーー!!!)

少し遠くから鳴き声が聞こえた。


鳴き声のした方をみる

『ぎゃー助けてくれー!!!』

何人かが助けを求めながら走っていた。


(ガガガガガガーーーー!!! バキ!バシャ!)

その後ろからティラノサウルスの様な魔物が出てきて逃げる人達の一人を食べた。




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