第3話 帰りの電車
ガタンガタン
音を立てる電車に、
わたしは揺られています
さわざわさらさら
声をひそめた人の話し声が、
閉じた瞼の向こうから聞こえてきます
きらりゆらり
紺色に染まった夕暮れが、
窓の外の海には映っていることでしょう
この電車は、先へ進んでいるのです
この電車は、前へも進んでいるのです
一日を終える帰りの電車
揺られているわたしの耳には、
秋雨の音がかすかに聞こえます
明日に向かう始まりの電車
瞼を閉じたわたしの目には、
意味もない模様が浮かぶだけです
この先も続く一本の電車
一日を振り返る私の頭には、
知らない場所まで伸びる、
線路のことを知りません
わたしは今にいるのです
わたしは過去にもいたのです
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます