#novel首塚

長月瓦礫

11/1 むかしむかし

むかしむかし、とある首塚が破壊された。

手がかりとなるはずの監視カメラには何も映っておらず、数秒後に爆風が起きた。

警察による捜査もむなしく、打ち切られてしまった。


生首は何も語らない。犬のようにうるさくもなく、猫のように小賢しくもない。

赤ん坊のようにもろくもなく、びーびーとうるさく鳴くような真似もしない。


自由気ままに過ごし、眠り、呼吸をする。生きているだけで素晴らしい。

それが生首だ。


彼らはぼそぼそとサイレントに喋る。

言語として成り立っているのかも分からない。


「いっぱい」


「うまし」


「びみょい」


好き勝手につぶやきながら部屋に戻る。彼らは何も語らない。語れないのだ。

脳みそを置いてきてしまったからだ。


しかし、生首たちは分かっていた。

この部屋は自己満足のために、生首を飼い殺すだけ施設である。


生首牧場という認識を持たれていたのである。

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