パッチワールドの片隅

芽福

第一話 猫とうさぎのお話

「アオ」


「ああ、ハク。どうしたの?」


「今日は四つとなりの星の羊さんが、コンビニ弁当を持ってくる一週間に一度に日だよね」


「うん、その通り。だから、僕たちの目の前にそれがあるんじゃないか、もうハクったら。これはなんだろう、お肉を炒めてあるのかな?」


レンジで温められ湯気を立てる弁当に向かって目をキラキラさせているアオに向かって、ハクは首を小さく横に振ってため息をつく。


「たしかに美味しそうだけど、そうじゃなくて。今回こそお弁当についてくる小さな袋の余ってるやつ、ちゃんと消費してね」


アオと呼ばれた一匹は一瞬、なんのことやら、といった顔をしたがすぐ、はっとした表情を見せた。


「あっ、すっかり忘れてた。取り外したあと、かけるの忘れちゃうんだよね」


彼はそれまでついていたテーブルを離れ、冷蔵庫へ向かう。上半身の白いパーカーと下半身の灰色のニットに間から、青い尻尾が飛び出して歩くたびに左右に揺れる。


「えっと...どこにおいておいたんだっけ」


ハクと呼ばれた一匹は、その様子を背中から見ていた。青い毛並みのネコ耳をピクピクと動かしながら余らせた小袋を探すが、中々見つからない。


「あれ?ここでもない。ここでもない。うーん、冷蔵庫って思った以上に広いなあ」


「もう。モノを探すの下手なんだから。待ってて」


しびれを切らしたハクは椅子から飛び降りて、アオの元に向かう。小さな歩幅でよちよち歩く彼の身長は、アオの半分にも満たない。ウサギに近い体格をした、真っ白な体をしている。その上に一枚、クリーム色のマントを着ていて、歩くたびにヒラヒラと舞って、裸足の足の裏なんかが見えたり、隠れたりする。


「背中、登ってもいいかな」


「いいよ~」


ぴょん、と、本物のウサギよろしくひととびでアオネコの背中にうつり、アオネコの肩と顔でできている空間にその小さな顔をすぽっとはめると、黒豆のようなくりくりしたその目を動かして、冷蔵庫を見渡す。


「アオ、一番上の小さな棚。」


「えっ、どこ?」


「ここ」


薄ピンクの肉球が指し示す先には、唐辛子や胡椒、マヨネーズ等が入った小袋が六つほど。


「全然気付かなかった!ありがとう、ハク」


「どういたしまして」


ハクは背中から飛び降りてからもう一度椅子に飛び乗り、アオはその両手に小袋を六つにぎりしめて、もう一度椅子に座った。窓を背にして座るハクは箸を器用に扱って野菜炒めからニンジンを取り出して食べては、頬に手を当てて幸せそうな顔をした。


「やっぱりニンジンが一番美味しい?」


「うん。やっぱり、俺は主人にそういうイメージを抱かれてたみたいだ。アオはそういうの、無いのか?」


「うーん。僕は、そうだな。そういうのは無いかなあ。あっ、マヨネーズと唐辛子混ぜてお肉にかけたら美味しい」


「えっ、ほんと?俺にもちょっと頂戴」


アオは拝借した唐辛子入りマヨネーズをニンジンにかけ、それらを少しずつ食べるハクを眺めていたが、なんとなく恥ずかしくなって外に見える星空に目線を移した。そこに映る景色を見て、アオは嬉しそうに指をさす。


「あっ、ハク、見て!惑星時計」


「ん?」


ハクは一度箸を止め、椅子の上で回転して自分の背中側を見る。機械仕掛けの大時計が金属でできた軌道上を動き、この世界の住人に時刻を伝えている。


「俺たちの家の窓からよく見える時期になったのか。ってことは」


「うん。僕たち、そろそろ出会って一年だ。

こんなにも長く一緒に居られるなんて、奇跡的なことだよ」


「アオのなんとなく抜けた部分にも慣れてきたと思ったら、道理で。そんなに時間が経ったら慣れたくなくても慣れちまうわけだ」


「それ、褒めてる?」


「どうかな。でも、俺は...」


「ん?」


「いや、なんでもない。それより、乾杯ってやつ、しない?俺を持ってたご主人の家族は、特別なことがあるとよくしてた」


「乾杯って、あれだよね。グラスとグラスをかちゃんってやるやつ。なんか僕、ワクワクしてきたよ」


二匹は、それぞれの主人やその家族がどんな風に乾杯をやっていたかを話し合い、冷蔵庫からジュースを取り出してコップに注ぐ。はしゃぐアオをハクが落ち着かせながら準備を進め、待ちきれずに立ったまま乾杯をしようとするアオをハクがテーブルに誘導し、二人は席についた。アオが落ち着きの無い様子で咳払いをして、ハクを見つめる。ハクもまたウキウキしているアオを眺めて、楽しそうに笑った。


「ん、ごほん。では、僕たちが出会ってから一年となりました。思えば、なんとなくここで一緒に住むことになってからじつに色々なことがありましたね。このお弁当もたしか半年前から毎週食べるようになって、それで...」


「長い。あんまり長いと、こういう場合は良くない...気がする」


「そうだね。うん。よし。じゃあ、改めて。僕たちの出会いに乾杯」


「乾杯」


かちゃん、と音がして、グラスがぶつかり合う。残った弁当を食べながらジュースを飲み、二匹は思い出話に花を咲かせた。


「一年前、キミが急に一緒に住むって言い出したときにはビックリしたよ。だって、キミにも家があったでしょ」


「まあ、そうだけど」


「そのときも、というか何回も話した気がするけど...僕たちには一匹に1つ、自分の心が作り出す家がある。それなのに、僕のうちにずっといるなんて、不思議だよ、ハクトは」


「それこそ俺、何回も言ったろ?そういうのもアリなのかなって思った。それだけ。それに、不思議と言えばお前だって変だ。みんな明日消えるかもしれないってのにたくさんの星を渡って、たくさん友達を作って。俺なら悲しくて耐えられない」


「んー...。でも、良いこともある。ハクトと出会えたし、今日のこのお弁当だって、ひつじさんと仲良くなったから食べることができる」


「そうなのかも知れないけど」


「僕たちは、僕たちの心が見聞きした世界の出来事しか知らない。だから、たくさんのぬいぐるみたちと出会って、いろんな事を知っておいて。いつかご主人様のもとに帰った時に、いっぱいお話ししたい」


「...。」


「ハク?」


「いや、ああ。主人の元に帰る、っつってもな。だって俺たちもう、もとの世界に体が無いかもしれないんだぜ」


「いや、それはまだわからないよ。それに、ご主人様が新しい体を用意してくれるかも知れないよ?そうしたら、ここと向こう、また好きに行き来できる」


「でも、俺たちは主人と話はできないだろ」


「それはそうだけど。けどね、ハク。それでもさ、夢を見たっていいじゃない。それって、素敵なことだ」


「そっか。アオがそう思うなら」


二匹がお弁当を挟んで話をしている間に、窓の外の景色は次々変化する。ある時はからすが飛ぶ夕焼けに、あるときはどしゃ降りの雨に、そして、雲1つない晴天にもなる。魂たちが見聞きしたもので成り立つこの世界はとても不安定で、ぬいぐるみたちから引っ張り出された記憶が世界を形作っている。そんな世界で二匹は同じ部屋で寝て、起きて、ご飯を食べて、そして他愛もない話をする。そうやって、一年を過ごしてきたのだった。


「なんでアオは、俺のほっぺたをすりすりするんだ?って聞いた時。それが、主人との交流なんだって、お前言ったよな」


「そうそう。あの時は、狼さんが面白いことを言ったよね。...そろそろ、寝ようか」


「うん。おやすみ。そうだ、俺、明日から少し家を空けて良いかな」


「良いけど、お出かけ?珍しいね」


「まあね。どうしても、行かなくちゃならなくて。狐さんのところへ、手袋を買いに」


二匹は眠る。しまったカーテンの向こう側では朝や夜や夕方が何度も訪れる。


「それじゃ、気を付けてね。星をわたるときは、光の街道から落ちないように...」


「わかってるって。じゃあね」


何かと心配そうなアオを尻目に、ウサギは外へ出た。透明な光の街道は遠くに望む小さな星の間を繋ぐ。それは半透明で色んな色に次々と姿を変え、歩くと、キラキラとキレイな音がする。


「今日は、とてもキレイな夜空だ。珍しい、アオも見てるかな」


ウサギは、時々息を上げながら、途中途中に浮かぶ『自販機』にコインを入れ、ジュースを飲みながら進んだ。曖昧な形をした百円玉でも、ジュースは出てくる。彼らの曖昧な記憶の寄せ集めのなかでは、何かコインを入れたら飲み物が出るもの。その程度の認識であるらしい。


「...オレンジジュース...っていうのか。覚えておこう」


1日。2日。3日が経ったろうか。


星を何度か渡ったウサギは、手袋屋さんへたどり着く。黄色い壁に茶色い屋根、白いレンガの煙突からは丸い煙がたちのぼって、宇宙に消えて行く。


「...ふぅ。まるで、ケーキみたいなおうちだな。」


コンコンコン。ウサギにとってとても高く見える木製の扉の下の方を、三回ノック。


「こんにちは。てぶくろ、買いに来ました」


かちゃり。


小さな音がしてそっと、中から狐が除きこむ。中から漏れでる光は、優しい。


「おや、お客様ですか」


ウサギの立ち位置を確認し、そっと扉を開ける。ウサギがぴょこぴょこと後ろに下がると、金属製で、所々傷がついたドアノブを握っていたその手が開かれる。


「これはまた、久しぶりですね」


そこには、黄色い狐がいた。その手には薄い素材の手袋をはめて、青い着物をまとっている。ラフな格好だが、すらりとした長身を際立たせていて、どこか気品のようなものを感じさせる。


「手袋が、ご入り用ですか?」


「うん。僕の手にあうのを、たのむ」


「お入りください。どうぞ」


大きく開かれた扉からとことこと、ウサギは中へ。その様子を見てから、狐が扉を閉める。


内装は綺麗で、整ってこそいないが、あたたかみを感じる部屋だった。暖炉に火がくべられて、暖色の木製家具を柔らかく照らす。机の上には色とりどりの糸がまとめられて、作業に必要なものがセットでおいてある。


「あいにく、あなたの手に合う大きさのものが無さそうなのです。お時間が許せば、手作りすることもできますが」


「そうか。なら、早めにたのむ。事情があって、できるだけすぐ欲しいんだ」


「わかりました。では、寸法を測るためにお手を拝見します。失礼ですが、見せていただいても」


「...」


「どういたしましたか?」


「い、いや。ああ...まいったな。なんでもないよ。こっち話」


ウサギはマントの中から両の手のひらを差し出した。彼は、肉球の手を握る。柔らかいその手の白い体毛から、光が漏れているのを、彼は見逃さなかった。


「これは。...消滅の予兆」


「あ。ばれた?」


ウサギは苦笑いをして、うつむいた。それを見た狐はもともと端正な顔の眉間にシワを寄せ、自分の目線の下で俯く客に視線を移した。


「うちに来た理由は何となく想像はつきますが、いやしかし」


「...うん。最後まで隠し通したい人がいる。そのために、手袋を作って欲しい」


「なりません」


「えっ」


「それはなりません。その人に辛い思いをさせることになるだろう。私は反対だ」


「でも...」


「お代は結構。すぐにでもその人のところへ帰った方がいい」


「でもここ、家から星七つほど離れてるんだ。手土産もなしに帰りましたじゃ、あいつ、悲しむかも知れないからさ」


「む...引き下がらないのでしたら、仕方ありません。ゆっくり話しましょう、ケーキはいかがですか」


「ありがたく、いただくよ」


二人は木のテーブルで向かい合って、話し始める。身長の低いウサギがテーブルに頭をちょこんと置いているのを見て、狐は近くから空き箱を取ってきてウサギのお尻に敷いてはどうかと勧めた。


「...それであなたは、どうしても最後まで隠し通したいというわけなんですね。」


ウサギは段ボールを敷いていたが一瞬動きを止め、僅に目を泳がせる。しかしすぐ笑顔を作ってか、、段ボールの上に飛び乗った。


「ああ。バレれば、あいつとのなんてことない時間がすり減る。あいつの泣く顔なんて、見たくないんだ。アオは、アホなことやって、好奇心のままに突っ走って...それで、いつも笑顔でいて欲しい」


「なんだか、本末転倒な気がしますよ。今この瞬間にも、そのアオネコという人と過ごす時間が減っている」


「...そうなんだよねぇ。俺も、星をいくつか渡った所で気付いたんだけど、もう引き下がれなくてさ。頼む、俺を手助けすると思って!なんとか」


「そう言われましても」


「俺は。最後の最後まで、普段通りのあいつと。アオと一緒の時間が欲しい」


「しかし...」


「頼む!」


狐は渋い顔をしながらチョコケーキを食べていた。


しかし、対面者の皿の一欠片もへっていないショートケーキを眺めながら、ため息をつき、そして、紅茶を飲み干す。


「それが、あなたの決断というわけですか」


コクコク。


ウサギは、真剣な眼差し。


「であるのならば、仕方ありませんね。もう一度お手を」


「えっと。ずっと見せてた方がいい?」


「ずっと、とは言いませんが。まだ見せていてください」


狐は、寸法をはかる。その顔が、少しだけ難しい顔になったり。頭をポリポリと掻いたり。


「俺の手、ここにくるお客の中だと、小さめの寸法なのか?」


「ええ、まあ。なにせ用意が無いくらいですからね。糸は何色がいいでしょうか」


「うーん。そうだなあ。キミが一番好きな色にして欲しい」


「えっ。い、良いですが、お客様の好みでなくて良いのですか?」


「うん。なんかね...」


ウサギは、どこか、全てを諦めたような、でも嬉しそうな顔をして頷く。


「そう、してみたいと思ったんだ」


何かを思い出すように、窓の外を見る。そこに浮かぶ星たちのなかに、二人の家は見えない。その時は、どしゃ降りだった。


「では...赤ですね。」


「赤!いいね。中々映えそうな感じだ」


狐とウサギは、パチパチ音を立てる暖炉のそばで語り合う。


なんで、トモダチを作るの。


その答えを、最期に知りたい。アオの心のなかを。そんなことを思いながら。


「赤が好きになった理由って、何かあったりするの?」


「私の主人が、幼少の頃気に入っていた絵本に、そのようなシーンがあったので。よく覚えております」


「そっか。いいもんだよな、あっちのことを思い出すと、もう一度帰りたくなる」


「ええ。本当に」


そうこうしているうちに、時間は経っていく。窓の外は晴れたり曇ったり。ウサギは、狐が作業している間は足をブラブラさせながら待っていたが、どこか寂しげな不安に刈られたような表情で、ケーキを4ピースほど、それから紅茶を大きなティーポットで二杯分も飲み干した。


「お疲れ様です。手袋はそろそろ完成ですが...まだ、紅茶要ります?」


「あっ、ごめんよ。こんなに飲んでたんだ」


「遠慮せず。...どうか」


「わ、わかった。そんな顔しないでくれ。ありがたくいただくよ」


紅茶をのみながら語り合う。


「...怖いですか」


最後の仕上げに刺繍を縫い込みながら、狐は問う。


「何が?」


「この世界から、消えるのが」


直球な質問に、ウサギは俯く。息を吸って、大きく吐く。


「自分が死ぬことはとても怖い。けど、彼を一人にさせてしまうのはもっと怖い」


「確証が、あるのですね。その人が悲しむと」


「うん」


燃え付きかけた暖炉の木からの音が途絶え、代わりに、シュッ。ポツッ。そんな小さな刺繍の音が、二人の間で鳴っている。


「悪いものではありませんね。なんという、一方的な押し付けでしょうか。素敵です」


「それ、誉めてるの?貶してるの?」


「誉めてますよ。凄く。私も、かつて主人に可愛がってもらったことを思い出します」


ポツッ。シュッ、シュシュッ、ピィィ。


最後の結び目を結ぶ音がして、手袋作りが終わる。


「なんとも、月並みな言葉ではありますが。例え離れても、心は繋がっているでしょう。私の心に、ずっと主人がいるように」


「その言葉、死ぬまで心に留めておくよ」


質の悪いジョークだっただろうか。ウサギはそう思って狐から顔を背けたので、どんな顔をしているかはわからなかった。


「そうですか。では、こちらが出来上がったものです。着心地はいかがですか」


怯むことのない、落ち着いた声だ。それは、気遣いなのか、それとも。


「最高だ。すごくかわいい!俺、あれだ。サンタさんになった気分」


うさぎはとても嬉しそう。それを見た、狐の嬉しそう。


「残念だ。こんな素敵なものを、少しの間しかつけていられないなんて」


「...」


狐が黙る。さすがに質が悪すぎたか。ウサギはそう思いながらも、言葉を吐き出し続ける。


「アイツが友達作る理由、わかった気がする。なんだか少しだけ、怖い気持ちが和らいだ気がするから」


「それは、良かったです。またのご来店をお待ちしております」


「ありがとう。でも俺、もう来れないよ」


おちゃらけてそういうウサギをみて、狐は口を結ぶ。


「ああ、ごめんよ。そんな顔しないでくれ、悪い冗談だった。また来ることがあったとしたらその時は、アオと一緒に来るよ」


その間に、惑星時計は廻る。窓から見えなくなり、うさぎが出かけて一週間が経っていた。


「ただいま。」


「お帰り~。そろそろ、お弁当が来るよ」


二人は、弁当を待った。いつも、ビニール袋に二つ重なった弁当を、羊が持ってくる時間だ。


「...おかしいな。羊さんは惑星時計をみて、いつも正確な時間に来るのに」


空の道を歩いてくる羊を待つ二匹の頭に、すぐよぎった1つの可能性があった。


「もしかして」


二人は、家の屋上にのぼる。備え付けてある望遠鏡で空を見上げると、以前までは羊のぬいぐるみが住まうほしと家があった場所には、もうなにもなかった。


「忘れられちゃった、のか」


「...もう、あのお弁当、食べられないね」


「うん」


「僕たちも、いつまで一緒にいられるかな」


「...うん」


ウサギは、手袋越しにもちょろりと漏れる光を手で覆う。アオは、気付かない。


「仕方ない。今日は弁当じゃなく、カレーかな。あっ!」


「なっ、何」


ウサギは怯んで、手をマントの下に隠す。


「どうしたの?手袋。すごく似合ってるよ」


「そう?...そう。俺もそう思う」


「なんかヘンだよ。とにかく食べよう」


「うん」


「ご飯、食べにくくないかい」


「いや、気に入ってるんだ、これ。だから大丈夫だよ」


「そう...。それなら良いけど」


ハクは、つとめて元気であろうとした。しかし、手に持ったスプーンを落としてしまう。


「もしかして長旅で疲れてる?僕もご飯つくった後だし、一緒に昼寝でもしようか」


「そう、させて...もらおうかな」


「なんだか変だよ、やっぱり。もしかして病気...ウサギさん?」


ウサギは、倒れた。


パタリ、と小さな音を立てて。


「!!!」


赤い手袋を外すと、消滅の予兆があった。体が透けて、透けた部分が星が輝く夜空のようになっている。


「そんな!消滅の、予兆...うそ...うそだ」


明らかに目を泳がせるアオを見て、ウサギは、ああ、終わってしまう。そう思った。もう、彼が笑っているところを見られないんだ。彼は決して短くない時間、彼のもとを離れてしまったことを後悔していた。


「うう。やっぱりちょっと、無理があった」


アオネコはぐったりとして動かないハクを背負って、急いでベッドに駆け込んだ。その間にも体は徐々に透けて、使い物にならなくなってゆく。アオはその様子を耐えながら、必死に手を握った。


「いつから、こんなことに」


「キミと一年を祝った直後から。その時はもう、手が消えかかっていた」


「嘘だ!ハクが消えてしまうだなんて」


「なんかみっともないよな。俺、お前が友達を作ったり、主人のとこ帰りたいって言ったりするたびになんか、心がチクチクして」


「...」


手を握りしめて、ひたすら、涙をこらえた。


「ハク。どうして、笑っているの。僕は、今にも泣きそうなのに」


「これが笑わずにいられる?だって消えてしまう間際、手を握って、泣いてくれている誰かがいる。こんなに幸せなことはない」


「やめてよ。ほんとに、居なくなっちゃうみたいじゃないか」


「ほんとに居なくなるんだよ。まったく、バカだなぁ、ハクは」


体が、光になって、消えていく。


「ハク..まって...逝かないで!」


「俺さ。ずっとわからなかったんだ。俺の中のこの、ほわほわした気持ちがなんなのか、どうにかして伝えようって思ってた。でも今ならわかる。俺は....俺は....お前のこと...」


「ハク!!!」


ウサギは、光になって宇宙に消えた。


アオは、おいおい泣いた。一枚だけ残ったマントを抱き締めて、残った体温がどこかへいかないようにして、彼が去ってしまったという事実から少しでも長く目を背けようとした。外では雨が降り、夜になり、晴れて、そしてまた雲が空を覆っても、アオはハクの遺した残骸を離さない。惑星時計が三日三晩の時の流れを告げても、それでもアオはその場から動かなかった。


アオはその間もずっと、意味のある言葉を発することすらできず、泣きつかれて、そのままぐっすり眠ってしまった。深い、深い眠りについたアオネコ。その意識の底で彼は、今までになくはっきりと、夢を見ていた。


「...ここは、どこだ」


「やあ、迷える魂。たしか名前はそう、アオとか言ったかな」


様々な色が混じった宝石のような美しい空の真ん中に、アオは放り出されていた。自宅でもないその場所に対する違和感よりも先にアオは、目の前にいるハクに、驚愕していた。


「は、ハク!?どうしてこんなところにいるの?というかここ、どこ?惑星時計が、あんなに遠いところに...」


「ここは、パッチワールドと君たちが呼ぶ世界。そう、肉体を失ったぬいぐるみが魂の消滅を待つ場所。そしてここはその外れにある空間、僕の家みたいなものさ。」


「う、ウサギさん、急に何を...?だって君は三日前に!」


「なるほど。やっぱり君は、このぬいぐるみのことが大好きなんだね。残念だけど僕は、君の同居人のウサギさんではない」


「ハクじゃない?なら、いったい君は何者?」


「神様、とでもいっておこうかな。今は君の同居人の姿形を借りているだけ。その方が分かりやすいでしょ」


「じゃあ、本当のウサギさんは...」


「確かに、消えてしまった。でも、青いネコくん。まだ彼は完全には消えていないよ」


ハクの姿をした神様は、ゆっくりと宇宙空間の片隅の星を指差す。アオもその先を見ると、そこにはかつて何度も通いつめた家があった。


「あれは!」


「そう、このウサギさんの家だ。見ての通りまだ完全には消えていないけど、無くなるのも時間の問題だね」


何から言葉にしたら良いのかわからず、アオネコは口をもごもごと動かした。その様子を見た神様は空中を歩きながら、優雅に、演説染みた口調でアオネコに語りかける。


「この宇宙に住まう魂は、人間の心が道具やモノに染み付いて独立した意識を持った結果生まれた魂の分裂体だ。まあ平たく言えば、薄まった人間の魂みたいなものさ。それ故、主人の心がモノと離れて記憶が薄れれば皆消えてしまう。それほどに儚く、脆く、豊かな感情なんてものは備えがたいはずだ。それなのに君は、一緒に生きてきた魂の死を前にして、三日三晩も泣いた。僕はそのことを、とても美しいと思ったんだ」


「...同情なんて、いらないよ。例えあなたが神様だとしても、ウサギさんはもう戻ってこない」


「それはどうかな?確かに彼が完全に消えるのは時間の問題だけど、まだ助からないわけじゃない。」


アオネコは息を飲んだ。


「あのウサギさんの魂は、ウサギさんの主人が彼の事を思い出すことによって復元するはずだ。」


「ウサギさんを助けたいのならば、僕の言うことをよくお聞き。君を、少しの間だけかつての主人の元に送ってあげよう。そして、彼女の思いと向き合ってやりなさい。かつてぬいぐるみとしての君がそうしていたように、ね」


神様がパチン、と指をならすと、さっきまでふわふわと浮いていたアオネコの体に、急に重力が働く。


「う、うわぁぁぁあっ!」


驚くまもなく、アオネコの周りの景色は急激に変化していく。頭の中がぐらぐらと鳴り、気絶しそうになるのを何とか抗おうとしたがそれは叶わず、彼の意識はまた深い闇の中へ落ちていった。


そして、その3日前。


「新庄島葵さん、だっけ」


「あっ、はい...」


「体、固いね」


「はい...すみません...」


「なんで葵さんが謝るの?柔軟は努力。ちょっとずつ改善していきなさい。なりたいんでしょ?みんなにステキな歌を届ける、歌手に」


「はい...そうです。がんばります」


「じゃ、みんな!柔軟の続きするよ!足開いてリズムつけて、ワン、トゥ、スリ、フォ...」


人間の居る世界。そこは、都内の一角にあるダンススタジオ。数人の若い女性の中、ひときわ通る声をした女性。彼女は、このスタジオの先生のようだ。動きやすい黒の半袖に、ジャージズボン。だがその格好でも、滲み出る体幹の良さや引き締まった体からか、どこか力強さやしなやかさ、気品すら感じさせる。


そしてその指導されている生徒の中、気品とはほど遠い顔でレッスンを受ける女性が一人いた


新庄島葵。


この世界に入ったばかりの、20歳の女性。見れば、開始から40分ほど経った今、もう既に音を上げかけている。つま先に伸ばした指先は接触ギリギリで、プルプルと震えている。


「無理しないで。できる範囲で」


「はい...」


そして、葵にとっては永遠とも感じられる長い時間が過ぎ、レッスンが終わる。


「はい、みんなお疲れ様!次も頑張ろうね」


「「「お疲れ様でした!!!」」」


生徒一同頭を下げ、先生のニコニコ顔でレッスンは終わる。レッスン後、互いの現状を話し合っている人の輪から逃げるように、葵はスタジオを出て都会のビル群の中へと小走りで進んだ。


「うん...私、頑張ったよね。お菓子でも買おう。そうしよう」


信号で立ち止まり、なんとなしにスマートフォンを見る。そこには、誰かからのライン。


「...今の私にライン?誰だろ...」


永海 白兎


久しぶり。今、何してるの?よかったら、会えないかな


「ハッ、白兎!?」


自分の声のデカさにびびり、思わず周囲を見渡す。が、まばらに歩く人々はまるで関心を示さず通りすぎていく。声は、雑踏の中へと消えたようだ。


「何で今白兎が...えっと」


私は今、元気にしてます。大学はほとんど行ってないけど、今は歌手になるためな養成所で...




気が付くとアオネコは人間の姿となり、人間界のアパートの部屋に、落ちていた。


「んう...ここは、どこだろうか」


一人暮らしの部屋のようだった。所々服が落ちていたり、ペットボトルが空だったり半分飲まれていたり、趣味のものが点々と散らばっていたりする。


「僕は確かさっきまで...」


立ち上がったアオネコはそこらにぜんしんわ映せる鏡を見つけると、自分のほっぺたをつねった。


「ひゃっ、僕人間になってる!すごい...」


アオネコは、何度も自分のほっぺたをつねったり叩いたりして感動にひたっていた。


「んじゃ、さっきの夢は夢じゃないってことか!ってことは僕、神様の言うとおり葵ちゃんのところに...」


ドアの方から、人の声がした。


「あっ!どど、どうしよどうしよ!とりあえず、隠れなきゃ...」


アオは、とりあえず布団に潜った。清潔というわけではないが、手入れはしてあるようで汗臭くはなかった。


「ただいまぁ~。あーバイト疲れた。マジで無理なんだけどあのお客さ...って、うへらぁ!きっ、ききききみ、誰?どこのこ?不審者?ってか髪の毛青いね!」


「うわー思ったよりすぐ見つかっただ!!あっ、えっ、いやその!僕さっき神様にであってそれで...ってことは、あなたがアオイちゃんってことか!すごい、大きくなったね!」


「って、なんで私の名前を知ってるの?っていうか誰目線?いくらかわいい見た目だからって通報するよ」


「うわぁぁぁあ!やめて、それは、たぶん話がややこしくなる!ボクには時間がないんだ、僕はアオネコなんだ、君がかつて持っていたぬいぐるみの!」


「アオネコ...あなたが?」


「そ、そう!」


「...なにか、証拠は?」


「抱き締めてみてよ、僕のこと!まず、右のほっぺたから、だよね」


「...その次は、左のほっぺた。そして、ぎゅーー」


二人の間に静寂。


「ほんとに、アオちゃんなの」


「そう!抱きしめていいよ!」


二人は、しばらく抱き合った。お互い、であって数秒とは思えないほどに、体を寄せあって。そして、我に変えるように葵がアオを離し、二人は向き合った。


「ありがとう。僕のことしんじてくれて」


「うん。私自身、私の行動、なんだかおかしいなっておもってるんだけど、不思議だな。君のいってること、どうしても疑えない。間違いなく、あのときの気持ちと同じなんだよね。...でも、だとしても、どうして急に私の前にあらわれたの?」


「あのさ、僕今、大変なことになってるんだ。だからさ、あの...悩み!君の悩みを聴きたくて!」


「えっ、どういうこと?」


「そう、神様に言われたの!お願い!」


「キミが大変なら、私がキミの悩みを聞いてあげた方がいいんじゃ...」


「とにかくお願い!む!」


ほっぺたを膨らませるアオに葵は困惑したが、そのかわいさと空気感に押し負けて話し始める。


「え、うん。そうだなあ...」


わくわくしながらお話を聴こうとするアオネコに、アオイは少し、心を開いた。


「あっ、あのね。私、ある人に誕生日プレゼント渡したくてさ。その人はね。私が小さい頃に、私を助けてくれたんだ。」


「ほうほう!」


「私は昔から不器用でさ。どんくさいし、失くしたモノを見つけらんないし...」


「それ、ボクと一緒だ」


「ふふっ、そうなんだ!キミに、ワタシが乗り移っちゃったのかな?で、そうそう。私が小さい頃ぬいぐるみを作っていたんだ。幼稚園の工作かなんかで...でも私、すっごく作るの遅くてさ、内心すごく焦ってたんだ。そのときだった。その人が、私のぬいぐるみ作るの手伝ってくれて。『もう俺、作るの終わったから』って言ってね、すごくほっとした」


「良い話だ!」


「でしょう?そのとき生まれたのがアオ、あなたなんだよ」


「そうなんだ!ボク、産まれてすぐのことは覚えてないけど、そんな素敵なことがあったんだね」


「そうなんだ。それでね、その人とはよく遊ぶようになったんだ。それこそ、そのときに作ったぬいぐるみなんかで。でも大人になるにつれて、段々離れていってさ。キミも、引っ越ししたりしているうちに、いつの間にか居なくなっちゃって...ごめんなさい」


「良いんだよ。僕たちは元々、そういう運命なんだ。謝らないで欲しい」


「うん。話、続けるね。でも私、その人と一緒に居たくて。」


「だって伝え損ねたら、二度と伝わらないかも知れない。居なくなっちゃうかもしれない」


「居なくなっちゃうだなんて、そんな。あいつの連絡先、ここにあるし...」


「ううん。わからないんだよ。本当だよ。大切な誰かが居なくなるのはいつなのか。だから、伝えて。僕にはわかる。その人は、君のことが大好きだ」


「どうして?どうして、そんなこと言えるの」


「だって僕は、キミの一部だから」


「アオ...」


「キミの一部がこう言ってるんだ、間違いない」


そうアオネコが言ってポンと胸を叩くと、キラキラ輝いて半透明になっていく。


「...あっ、体が」


「アオ、もう、お別れなんだ」


「どうもそうみたいだね。あっ、でも、その人にプレゼント渡すの、がんばって」


「ごめん。私、弱くて。いつもキミに頼ってばかりで」


「アオイ...」


「それなのに私、キミのこと手放して。不器用で」


「ううん。謝らないで。その人はきっと、キミのそういうところも、『慣れちゃった』なんて言ってくれるような、そんな素敵な人だよ」


「...ありがとう、アオちゃん。私、頑張ってみる。応援しててくれる?」


「もちろん。キミが僕のことを必要とするなら、僕はいつでも会いに来るよ」


アオイは涙をいっぱいに浮かべて、アオをぎゅっと抱き締めた。


「私、なんでこんなに泣いてるんだろう...君と出会って、そう永くはないのに」


「ううん。むしろ、もっと泣いても...あっ。えっと、ちなみにプレゼントって何を渡すの?お菓子とか?」

「えっ、それ今聞く?えっとね!あっ...」


言おうとしたところでアオは消滅し、魂は、パッチワールドの眠ったままの肉体へと戻っていく。


「こういう、好奇心に任せて喋っちゃうの、小さい頃の私にそっくりだ」


アオイは、誕生日プレゼントを持ち出した。


引き出しから、小さなアオネコのぬいぐるみ。


「これは、私へのプレゼント。それで...」


彼女はアオネコと、そしてもう1つ隣に置いてあったぬいぐるみを抱き締めた。


「これが、あの人への。ハクトへのプレゼントだよ」


彼女が抱き締めた手元にあったのは。白い、小さなウサギのぬいぐるみだった。


そして、それからしばらく時が経つ。


アオはまどろんだ意識で顔をあげると、そこにはいつも見ていた、自宅のベッド。


「夢か...」


アオネコは、涙の跡をぬぐった。


随分と不思議な夢を見たものだ。


まさか、人間になって主人のもとへ帰るだなんて。


アオネコは自分の体を持ち上げるために、なんの気遣いもなく手元のベッドの反動を利用した。その時だった。


「...んおもいぃぃ...」


自分が突っ伏していたベッドが、こんもりと盛り上がり、もぞもぞ動いていることに気がつく。その感触は、ベッドのそれではない。アオネコはまだ、自分の手の感覚が狂っているのではないかと思っていた。


だって、もしそれが本当に手の感覚の狂いだったら、あまりにもかなしいと思ったから。


「重い。どけ」


触覚が、聴覚が、視覚が、手を通してわかる温かさが、次々と訴えてくる。これは夢の続きじゃなくて、ほんとうのことで。


「きこえてるんでしょ、退いてよ」


アオネコは信じられなくて、慌てて手を離して、目やにを落として涙の跡をこすって、布団を見て、それからまた目を擦って、布団を二度見した。そこにはたしかにはっきりと、全身が見えるウサギがいた。


「おはよう」


ウサギはにこっと笑うとすぐに、体温をたたえた布でアオネコに抱きついた。


「ほぁっ」


あまりにも予想外の出来事に、アオネコは目が点になっていた。そして、状況を理解してもなお、硬直したまま抱き締められていた。もう枯れ尽くしたと思われた涙が一筋、固まったままの彼の顔を流れるのを横目で見たウサギは、そのシュールさに思わず吹き出した。


「祝辞の一つくらい言え。せっかく戻ってきたのに」


「お...」


「お?」


「おがえりいいいいいい!あいだがっだ!ざびじがっだよぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」


「も...うぁ...離せ!ほっぺを擦るな!」


「ウサギさんのほっぺだぁぁぁぁあ!!もうにどどざわれないがとおもっでぇぇぇぇ!!」


「俺はほっぺたのためによみがえってきたわけじゃねぇっつの!あと涙と鼻水が汚いから!」


「うぉっ...おっ...おっ」


「よしよし」


びちゃびちゃなのに抱きつくのをやめないアオネコをみて、ウサギはその頭を撫でた。アオネコはからだの水分が全て絞られたのではないかと思うほどに泣き、ウサギは内心ウザがりながらもそれ以上に嬉しくて、二人はしばらく抱き合ったままだった。


その状態は、ハクがいい加減放せ、と言ったことで終止符が打たれた。アオはまた涙をぬぐって、そして鼻水をぬぐって、とびきりの笑顔に少しだけ真剣さを混ぜてハクと向かい合った。


「そうだ。ボク、ハクに言い損ねたことがあったんだった。言っていいかな?」


「おう。涙鼻水のことなら、今日は見逃してやるけど?」


「違うよ。あのね、ハク。僕、君のことが大好きだよ」


ハクは予想外の言葉に面食らって、一瞬言葉を返す時間を失った。


「なっ、なんだよぉ、藪から棒に歯の浮くようなセリフ言いやがって」


だが心で受け止めた瞬間にハクは、すぐにその言葉に返事をした。恥ずかしさが混じりながらも、確かな言葉で。


「...俺も。おまえのこと好き」


そうして、二匹はまた、お互いを抱きしめあった。その様子を見た神様は、にこりと笑って、それからまた、別の星を眺めながら思索に耽り始める。


ここはパッチワールド。肉体を失ったぬいぐるみの魂が消滅を待つ場所。けれど、時に一度消えた魂が戻ってくるような奇跡も起きる、そんな、素敵な世界の片隅だ。そして...このお話は、別のお話にも繋がっていく。それはまた、次のページで。

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