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第1話

僕はそれをつかんだ

ねえねえ、これ何色に見える?

「赤!」

「んー、青じゃないかな」

「緑だよー」

「黄色に見える!」

「真っ黒だ!」

「きれいなピンク!」

「水色?」

僕はじっと目を凝らしてみる

どうしよう、僕には色が何も見えない

「ねえ、君には何色に見えるの?」

色が見えないんだ

「えー!そんなのおかしいよ!」

「もっとよく見てみて、きっと見えるよ!」

「大丈夫?疲れてるんじゃない?」

「近くで見てみたら?」

本当に何色にも見えないのに...

こんなの、いらない!

僕はそれを思いっきり下へと叩きつけた

痛い!

とても痛かった

自分の胸の辺りがぎゅーっと締め付けられて

涙がぽろぽろ出てきていた

僕ははっとして

涙を拭って、それに

“ごめんね”

と言った

そして僕はそれを掲げて言った

色なんてないよ!!


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non @Kanon20051001

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