パラレルワールドの日本に来てしまった
ごく普通のサラリーマン
「ミスタル゛、クム゜スタッヤー?」
不意に、何語ともつかぬ言語で声をかけられて彼は目を覚ました。
「え?」
彼は椅子に座ったまま、ただ寝ぼけ眼でその女性を見つめ返した。そこにはすらっとしたフライトアテンダントが立っていた。
「ビンヴィンドゥ・サ・
彼女は真っ赤なリップの塗られた唇を大きく動かして、ニッコリと笑った。次第に意識を取り戻してくる中で、彼はやっと異変に気付いた。
(沖縄って、こんなに言葉通じなかったっけ)
「すみません、日本語ができるスタッフの方はいらっしゃいますか? 外国語は苦手でして……」
佐藤幾多郎としては、ごく普通に話したつもりだった。
しかし、彼女は彼の日本語を聞くなり怪訝な表情で黙ってしまった。
「そんなまさか、聞き取れないのか? アー・ユー・ジャパニーズ?」
よほど私の訛りが聞き取りづらかったのか、彼女は少し顔をしかめたが再び笑顔で答えた。
「イェス、アム゜・ヂェペニーズ。
(なんだこの言語は。ウチナーグチと似ているが、なんだか違う感じもする)
彼はますます困惑した。
「ソーリー。アイ・ドント・スピーク・イングリッシュ」
なけなしの英語でそう言うと、彼女は仕方ないと言わんばかりに肩をすくめて、今度は別のスタッフを連れてきた。
その人は先ほどよりは日本語らしき言語で話し出した……のだが。
「
(やっぱり聞き取れないや)
仕方なく、佐藤幾多郎は再び英語で話すことにした。
「ウェア・アム・アイ?」
「ディス・イズ・
「ウェア??」
「ヂェペン、サル゛」
どうやらここは日本、らしい。
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