女神様に「現代知識チートしたい」と頼んだ結果(古代ローマ)

女神様「そんなにそちらの世界から持ち込んだ知識や道具を使ってラクして人気ものになりたいんですか? いいです、分かりました。アナタにぴったりな仕事を与えましょう」


 古代ローマと思しき世界に転移した俺は、市場の周辺にあるで働くことになった。俺の仕事はとても簡単、市場監督官として現代から持ち込んだ正確な計量器で重さを測るだけである。

 というのも、この時代だとはかりが信頼できないことも多く(一応ローマのどっかの神殿の秤を基準にはしているが)、わざといい加減な計量をして儲けようとする商人が後を立たなかったので、それを取り締まる役職が存在したのだ。

 そして現代から正確なチートを持ち込んだ俺は最強だった。1リーブラが327.45gであることさえ覚えてしまえば、どんな不正でも一発で見抜ける。俺はおもりや目盛りを管理する「按察官アエディリス」になり、各地に赴いて不正確な秤を次々と修正していった。

 やがて俺は度量衡検定局に功績を認められて大出世し、確かにたくさんの人々から賞賛を受けた。

 しかし、ただ秤で重さを測っているだけなので俺自身は何もすごくなく、別に特に達成感もない。


 これが俺の望んだ現代知識チート……なのか?


出典:古代ローマ生活事典 カール=ヴィルヘルム・ヴェーバー

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