第17話 嵐の前のなんとやら
久しぶりに感じる朝日。
予定のなく、のんびりとできる日がこんなにいいとはなぁ。
「おはよう」
《おはようございます》
ルーファスと挨拶を交わす。
俺はキッチンへと向かい、朝食の準備を始める。
こんがりと焼けたトースト一枚にたっぷりと塗ったバター。パンの香ばしい匂いが空腹をくすぐる。
あとは、白身がこんがりと焼き上がった半熟の目玉焼きにスライスしたきゅうり。
そして最後に欠かせない、湯気が立っている熱々のコーヒー。
机へと並べ、両手を合わせる
「いただきます」
目玉焼きをトーストの上に乗せ、スライスしたきゅうりを挟む。その上にマヨネーズを少々かけ半分に折りたたむ。
半熟の目玉焼きが挟むことにより潰れ、黄身が溢れでてくる。
それを逃すまいとかぶりついた。
口の中に黄身の旨みときゅうりのみずみずしさ、それと合わさったトーストの味が広がる。
「うん、美味い」
熱々のコーヒーに息を吹きかけ、少し冷まして飲む。
そんなこんなで半分ほど食べたところ、ルーファスが話しかけてきた。
《今日は何をされますか?》
「何も考えていない。昨日言った通り、休もうかなと」
口についたマヨネーズを拭きつつ、答える。
《かしこまりました。それでは報告のみさせていただきます》
「何かあったのか?」
《先日、回収した『人造兵器アッシュトルテ』についてです》
「あーあの……それがどうかしたのか?」
《調査の結果、彼女に魂と呼ばれるものは無いと判断いたしました。おそらく起動することは無いでしょう》
「……そうか」
あの状況からしておかしいことでもないだろう。アッシュトルテがただの機械であるならば、それ以上の関心を持つ必要もないか。
何かに流用できればいいが……人型を無闇に弄るのはなぁ……。
良心が痛む気がする。
《それでなのですが……『人造兵器アッシュトルテ』を貰い受けてもよろしいでしょうか?》
「何かに使うのか?」
《はい、95%の確率で成功するでしょう。さすれば新たな戦力となるかと》
「なら、いいぞ」
《ありがとうございます》
ルーファスの礼に対し、俺はは軽く手を振り、また朝食に集中した。ルーファスは長年の相棒であり、判断に間違いはないことを俺はよく知っている。
きっと役に立つものを作ってくれるはずだ。
完食し、残ったコーヒーを飲む。
「少し散歩をするか」
《いいですね》
凝った感じがし、背を伸ばす。
準備を整え、ルーファスの小型端末をポケットに入れる。片耳にイヤホンを装着し、家を出る。
近所の公園までは、ゆったりとした歩みで十分だった。街並みを楽しみながら歩く。人々が忙しそうに通り過ぎる中、俺だけがこのゆっくりとした時間を楽しんでいるように感じた。
公園に着くと、緑豊かな景色と、穏やかな日差しが心を癒してくれる。
公園内の歩道を歩きながら、俺はルーファスに話しかけた。
「アッシュトルテのことだけど、彼女の構造やデータを見た感想はどうだった?」
《非常に高度な技術が使われています。とても現代に作られたものだとは思えません。そして、豊富な武装を身体中に仕込んでいるようです》
「戦闘用か……」
《おそらくは。あの場所のボスを担当する予定だったのか、それとも別の目的があったのか、それはわかっておりません》
「そうか……」
《また、魔法的な痕跡も発見いたしましたが……こちらもまだ解明できておりません》
「分かった。引き続き進めてくれ。有効活用できる方法が見つかれば、独断で進めてもらって構わない」
《かしこまりました》
俺は深く考えながら、公園内のベンチに腰を下ろした。周囲の子供たちが楽しそうに遊んでいる姿を見ていると、自然と笑みがこぼれる気持ちになった。
「さて、索者用武器屋と素材売ってる店に寄って帰ろうかな」
それから、複数の店により、紙袋五個分の買い物をした。
「買いすぎたかな」
《そうですね、必要にないものまで買うのは。売却した素材分のお金がほぼ無くなってしまいましたから》
「それはまた稼げばいいさ」
《……そうですね》
呆れたように返事された気がする。
そうして、俺たちは帰路に着いた。
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お久しぶりです。
完全不定期になってしまいましたが、更新は続けていこうと思いますので読んでいただけると嬉しいです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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