第4話 vsダークゴーレム
「ゴガァァァァァァ!!」
重厚な雄叫びが辺りに響く。
俺の数倍はある岩石の腕を振り上げ、叩き潰そうと迫るダークゴーレム。
俺はブースターを噴かせ、横へ回避する。そのまま、ダークゴーレムの周囲を飛び回りつつ、ちまちまと小型ミサイルやらレーザーを打ち続ける。
しかし、ダメージが効いているようには見えなかった。
「ルーファス、取り巻きの方はどんな感じだ?」
《ほとんどのゴーレムは倒し切りました》
「わかった。放置しても問題ない数ならビットをこちらの援護に回してくれ」
《かしこまりました。脅威にならないと判断。向かわせます》
「頼んだ」
そして俺はダークゴーレムへ視線を移す。すると何故かダークゴーレムが俺から距離を取っていた。近接戦ばかり仕掛けてきていた敵が距離を取る……何か嫌な予感がした。
それは現実となった。
ダークゴーレムの胸部に周囲の魔力が集まり、塊として生成されていく。
(可視化されるほど高密度の魔力……山何個か消し飛ばせそうだな)
《超高密度の魔力玉が形成されていっています。このままですと地形が変わるほどの攻撃が来ます》
「防げるか?」
《無理でしょう》
「吸収することは?」
《あの魔力をですか?》
「ああ」
《……できなくはないでしょう。ダークゴーレムより早く、多くの周囲の魔力を吸収することができれば》
「そうか……。ッ!! あれを使えば……」
《あれ……ですか》
「マジックビームライフルだよ。あれ、周囲の魔力を吸収してビームのように撃ち出す武器だっただろ? あれのリミッターを外せば……!」
《しかし、それでは武器が壊れてしまいます》
「それは後で直せばいい。倒せなくとも最悪いい。ここは深淵、こいつよりも強いやつはうじゃうじゃいる」
《よろしいのですね?》
「ああ、出してくれ」
《かしこまりました、次元収納起動——どうぞ》
ルーファスが次元収納を展開、一つの銃を取り出す。
俺はそれを受け取り、狙いをダークゴーレムに定める。
「リミッター解除、魔力吸収開始」
ブォンと音が鳴り、ライフル自体が赤く光る。
周囲から可視化されるほどの魔力がライフルへ吸収されている。そして、吸収された魔力は圧縮され弾丸のようにマガジンに装填される。今回は一発限りだが。
ある程度吸収でき、ダークゴーレムの魔力玉も少し縮んだ時、警告音と共にルーファスから報告が上がる。
《警告。このまま吸い続けれはパワードスーツ稼働に必要な魔力まで吸収してしまいます》
「あいつの貯めた魔力を吸収できるんじゃ?」
《距離が離れているため十分に吸収できないようです》
「リミッターを外しても力不足だってのか……」
《そうなります。そのためさらに周囲から吸収しようとすると、パワードスーツからも吸い取ってしまうでしょう》
「困ったな……ちなみに、あいつを倒すために必要な魔力はもう足りてるのか?」
《後5%ほど必要です》
「スーツの残り残量は?」
《67%です》
「まだ周囲から吸えそうか?」
《時間さえあればできるでしょう。その前にダークゴーレムの攻撃がくると思われ————攻撃、来ます》
ルーファスが攻撃を察知する。
俺は反射的にダークゴーレムの方を見る。奴の貯めていた魔力玉がさらに縮んでいた。バスケットボールくらいだろうか……遠くて正しい大きさは測れないがとにかく大体5分の1くらいだ。
次の瞬間、それがこちらへ向けて放たれる。
「クソッ! 流石に向こうの方が早いかッ」
《ビット二機、銃と接続。残りは六機散開、三機ごと、合わせて2つのシールド展開、時間を稼ぎます》
「任せた! 俺はその間に奴を狙う!」
ビット二機がライフルの両側面に接続し、加速、そして、発射時の方向を指定することができるようになる。
ダークゴーレムに狙いを定め、トリガーを引く。
――瞬間、光の奔流が一点に収束し、ビット兵器の道筋に従って放出した。
魔力玉とビームが接触し、空中で大きな爆発が発生し、黒い煙が立ち込める。
その中から一筋の光線がダークゴーレムへ向けて進み続け、胸部の核へ到達した。
先ほどよりも大きい轟音と煙、「ゴガァ゛ァ゛ーー!!」と悲鳴のような雄叫びを上げ、後ろに倒れる。
《生体反応消失、討伐完了です。お疲れ様でした》
「お疲れ。今回は結構危なかったな」
《そうですね。今後のために武器の種類を増やしておきましょう》
「そうだな。帰ったら何種類か考えてみるよ」
素材を回収しつつルーファスと話す。
「パワードスーツは残り半分ってとこか」
《はい》
「素材は次元収納に入れるからいいとして……あとなんかいる物ある?」
《急を要するものはありません》
「なら少し周囲の探索だけしたら帰ろう」
《かしこまりました》
そして俺はダークゴーレムの素材を回収するため、死体へ近づく。
「ん?これって……」
1番重要な核を回収するためダークゴーレムの体に上り、破片を集めていく。その時、破片の見た目に見覚えがあることに気づく。
《アダマンタイトですね》
それは深層からごくまれに採掘されることがあるアダマンタイトだった。
(確かこの前、何億かで取引されてたな……)
「まじかよ。取り放題じゃん!これで色んな武器の強化と新作を作れるぞッー!」
《おめでとうございます》
「ありがと。ところでルーファス、次元収納ってどこまで広げられる?」
《約5メートルの正方形です》
「少し足らないか」
《ダークゴーレムをそのまま収納するのには足りないですね。解体してから入れてください》
「了解っと」
俺は高振動ブレードを取り出してダークゴーレムを入るサイズに解体、収納していく。
「こんな感じか」
《はい》
「じゃ、周辺を探索してから戻るとしよう」
《かしこまりました》
それから俺はダークゴーレムと戦った岩石地帯を離れ、来る時には通らなかった平原の上を飛行していた。
「平原エリアか。ここらは魔物がいないな……なぜだ?」
《異質ですね。警戒を推奨します》
「了解」
これが上層から下層ならダークゴーレムとの戦闘時の気配などで魔物が逃げたと考えられるが……ここは深淵。そんなくらいで逃げるような魔物はこれまでいたことがない。
(この平原エリアが特殊なだけかもしれんが、警戒するに越したことはない)
周囲を見渡しつつ飛んでいると頭部アーマーの画面に先の方に何か居ることを示すマークが出る。同時にルーファスからも報告がきた。
《約150メートル前方、魔力反応です》
「数は?」
《二つで、一体は魔物でしょう。もう一つは不明。かなり弱ってるものと推察します》
「行ってみよう」
少しスピードを上げ、魔力反応が出たところへ行く。
そこには——T・レックスを彷彿とさせるような魔物とそれに対峙する探索者がいた。
「人だと?」
俺は深淵で人と出会ったことは無く、驚きの声を上げた。
しかし、どうも様子がおかしい。ルーファスの言う通り魔力反応は弱く、今にも倒れそうなくらいだった。
近づくにつれ全貌が明らかになる。
T・レックスのような魔物と対峙している探索者は女――それも前に深層にて起きた地竜との戦闘を観察していた人物だったのだ。
《あの女性ですね。我々の戦闘を観察していた》
「だよな?何故ここにいるんだ?」
《深層での捜索をしていたのではないかと》
「あれか……」
ルーファスの予想では俺たちを探すための依頼を受けた探索者が迷い込んだと。
(確かに……その可能性もあるな)
「どちらにせよ助けるぞ!」
《はい》
その時、T・レックスのような魔物が対峙する探索者へ口を大きく開け、襲いかかる。
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