異世界ゴジ◯? 強いオンナに転生したいって言ったらまさかのアレに。魔王だってプチッと踏みつぶします。

希蘭

序話  異世界、いきました

 石倉タエは気弱な女子高生。ボッチでさみしくて、いろいろもういやだと思っていたところにお約束の異世界転生。そう、それなら強い女になりたいの。


 わたしは強くなりたいと言った。そうは言った。確かに言った。でも、そうじゃない。ソッチじゃないんだ。

 わたしの名前は長田タエ。八〇越えのおばあさんじゃない、大正ドラマのお手伝いさんとかじゃない、ちょっと変わった名前だけど、現代の女子高生だ。

 よく覚えていないけど、ダンプに轢かれたわけじゃなかった。学校帰りだった。バス停降りて、コンビニ曲がったくらいだった。穴に落ちるように世界が消えたのは。

 なんの脈絡もなかったよ。説明もなかったよね。

 神様が出てきて、チュートリアルされたりしなかった。

 でもなぜかはっきりと、違う世界に行くのだと判ってた。暗い場所を流されるように移動しながら、もとの自分の体が失われてゆくのも感じてた。

 わたしはなぜか、そんな状況にもあんまり慌てふためいたりしてなかった。

 そういうのも、まあいいかと。

 そうですよ、わたしは地味でしたよ。ボッチでした。さみしかったです。幼児体形だし、勉強はできないし、運動はもっとできないし。ラノベや、マンガでよくあるヤツですよ。自分に自信がないから人づき合いはもっと苦手。そういうヤツのために現代では、ゲームやマンガのような世界が用意されているんだ。その場所がしっくり合いすぎていて怖いくらいだ。それはそれで、ダメなんだ。わかってる。わかってるからイヤになる。いろいろもう。

 そんなの、誰でもわかるはずだ。

 なにかに変われるならウェルカムだ。そう思ったよ? わたしだけじゃないよね。たいていの、自己肯定感の低い奴はみんなそう思うはずだ。

 異世界モノの鉄板、悪女でいいよ、ぜんぜんアリだ。聖女とかでなくていい、残念だけどなんならモテなくてもかまわない。弱い自分はいやなの。立ち向かって、あらゆる障害を乗り越えて、勝ち抜いていくヒロイン。それも鉄板だったよね。強い女になりたいの。そう願ったってムリないじゃない。

 だからさ。

 ソッチじゃねぇよ!


注! この作品はヨコ書き表記で読んでくださいね。

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