第10話 彼氏と買い物

 疲れた。確かに親切なレクチャー、トレーニングでキャラクターの動きや技を教えてくれた。そうしていくうちにどんどんのめり込み、カズオ君が用意したお菓子はあっという間になくなった。


「ちょっと買ってくるわ」

 そう言って家を出て行ったカズオ君の部屋を探った。エッチな本があったら、それを参考にするのに無い。何も無い。

「トリプルコンソメ美味いよな。お徳用チョコレートと、カルピスとコーラ。どっちがいい?」


 いつの間にか寝ていたが、目を覚ますと床ではなくベッドの上だった。着衣は乱れておらず手を出された形跡もなかった。


 楽しかった、確かに楽しんだけど、そうじゃ無い。期待はしたのはそういうのじゃない。


「起きたんだ。流石女の子軽いね。持ち上げるの困らなかったよ」

 軽いと言われたのはかなり嬉しいが、時計を見ると十五時だった。


「十二時間くらい爆睡だったな。限界まで一緒にしてくれてありがとう」

 いや限界までするのはそういうことでは無いのに、そのちょっと痛いとかさ、本当の意味の手を出すとかさ。


「晩御飯くらい食べて行きな、まずはちょっとおにぎり食べよか。中はカツオと梅どっちがいい?」

 前に梅は食べたのでカツオにした。美味しい。


「今日は中華か和食か洋食何がいい?」


「そうしたら中華で」


「エビチリだけど、構わない?」


「うん」


「じゃ、一緒に食材買いに行こうか。スーパー近所だから」

 一緒に買い物いい、一緒に品探しいい、食べたいデザートの相談いい、フラペチーノ一緒に飲むのすごくいい! こういうのが欲しかった。


「そのさ、ゲームで徹夜ってよくやるの?」


「知り合いはみんな逆方向とか遠いから、徹夜でゲームしたのは小学生くらいかな。だから今回は特別かな」

 いい、すごくいい、こういうの、こういう特別なのはとてもいい。


「そろそろ行こか。その多分ことはがしたい事ってこんなしょぼい事じゃないかもしれないけど、初めての彼女で新しい発見とか感動でいっぱいでちゃんと出来ないけど、それでも良かったらこれからもよろしくお願いします」

 頭を下げて手を出された。


「こういう手の出され方を待っていたよ」

 こういうのはいいよ、すごく、本当にすごく良い!


「貸してみ」

 私が持つと言ったコメと調味料は結構重い。だからそう言われて持たれると男の子なんだなって思えて、すごくいい。頼れる男の子すごくいい。


「ただいまって誰もいないから、行ってもしかたないけど、エビたくさん買ったな」


「うん」


「下ごしらえするからてきとうに待ってて」


「私も手伝います」


「じゃ、爪楊枝でエビの内臓取ってな」

 大して広くないキッチンで身を寄せ合って、一緒にご飯作るのいい!

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