第4話 彼氏とベッド

 ベッドに寝かされた。


「こんなに寒いなら毛布は必要だね。疲れてないの?」


「疲れてる。すごい疲れているから」


「勉強はしんどいもんね。分かるよ、僕もしんどいもん。でもやればやるだけ学力は伸びる。今は修行だと思って一個ずつ」

 全くベッドに座る気配すら見せない。

 そんなに魅力無いかな私、頑張ったのにと不安になる。振り向いて欲しくて必死なのに。


「え。泣いてる? なんか嫌なことあった?」


「私、こんなに魅力無いかな。全然触ってくれないし、何も発展もしないよ。もう半年だよ。カズオ君だって、そういう知識あるでしょ。そろそろ手を出してよ」


「手を出すってそんな」


「おかしいこと言った? もういい、帰る」


「手を出すのはダメだ。彼氏として失格だ」


「何で? 彼氏で半年ではみんな手を出すよ」


「そんな交際は間違えている。関係が進んだとはいえ暴力はダメだ!」

 ん? 暴力か。あー、なるほどそうだな天然だもんな。手を出すが分からないのか。


「そのエッチな事とかは興味ないの?」


「エイチ?」


「その胸を触りたいとか、キスしたいとか」


「そういうことが新庄さんはしたいの?」


「そんなこと言わせないで」

 カズオ君はしばらく唸った。


「ちょっと待っててね」

 部屋の外でガサガサ聞こえた。


 部屋に戻ってきたカズオ君の手にはチューペット一本。


「これでキス出来るね」


「その直接」


「実は昨日ニンニク入りの餃子だったの」

 それは知っている。ちょっと臭い。


「だから、直接は無理かな」

 キスの意味は分かったんだね。それで手に持っているのは何だ。


「あぁ、これ? 間接キスなら出来るね」

 間接キスをして、胸を触ってもらった。興奮してそのままという展開にならなかった。


「なるほど、女の子の胸とはこういう感触なのか。すごい参考になった。やっぱり触る前は痴漢とか襲われたとか言われたらどうしようと思うけど、彼女なら大丈夫なのか」


「その家ではいいけど、外はやめてね。恥ずかしいから」


「分かった。ほぅ、なるほど」


「もういい?」


「名残惜しいが、今日のところはひとまず」

 何だろう。コメントが彼女の胸を触った感想ではない。ま、一人で致す時の参考にしてくれれば成功である。


「生も触る?」


「いや、今日のところは服の上からでも参考になった。後日レポートを書いて持ってくる」


 へ? レポート?


「あのそのレポートって」


「今回、参考になったので新庄さんの胸の概要や大きさ、どのおっぱいマウスパッドと近かったか。その比較研究をまとめたノートを作ってくるので一週間ほど待って欲しい」


「参考までに聞くけど、そのノートには何を書くの?」


「よくぞ、聞いてくれた。導入には女性が男性に胸を触る要求をし、それを受け入れると女性はどのような反応をす」

 る、までは言わせなかった。

 精一杯の力で持ってきたリュックでカズオ君の顔を殴った。

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