耳をすませて

鈴乱

第1話



 そこに宿る、静かな気配に、生を感じる。


 自分以外の、誰かがそこに生きていることを。



 足音に、聞こえてくる呟きに、「生きている」ことを感じる。



 そんな風に思うなど、感傷的すぎるのかもしれない。



 しかし、長年の独りに慣れた心身には、他人の気配がどうにも懐かしいのだ。


 『あぁ、生きている』


 そのことを感じられることが、どことなく嬉しく、感じられる。

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耳をすませて 鈴乱 @sorazome

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