セジョ×スロ!聖女様と過ごすスローライフ
神在月
第1話 聖女様と私
私の名前はセレシア・ローレライ!どこにでもいる魔法使い見習い。だと思っていました。
というのも、この前行われた聖女検査の結果、私にはどうやら聖属性の適正。つまり聖女様である可能性があるらしかった。
検査で使った壺みたいなの、私の魔法のエネルギーを入れただけで砕け散った時点でそんな予感はしてたんだけど・・・
という訳で、私は聖女の能力を目覚めさせるためにしばらくの間聖女様のお家に修行に行くことになった。そして事前に言われた場所に着いたけれど・・・
「ホントにここであってるのかな・・・?」
そう言って私は改めて周辺を見渡す。そこは開けた原っぱの中にあって、2階建てのお家。外には洗濯物が干してあって家庭菜園程度の畑が見て取れた。
原っぱにあること以外は至って普通だ。だからこそ違和感があった。
聖女様といえば特有の聖属性の魔法で魔物を浄化し改心させたり祝福魔法で作物の実りを良くしたりする、王族からも民衆からも慕われる存在だ。本来ならもっと警護された王宮の中にあるべきだと思うけど・・・
「と、とりあえず入ってみますか・・・」
そして私は家の扉にノックをする。
すると間もなくして扉が開いた。
「はい〜、あらアナタは?」
そう言って顔を覗かせたのは、私より少し年上(20代初めくらい?)の柔らかな女性だった。
「わ、私!今日からこちらで聖女の修行をさせてもらうセレシア・ローレライと言います!」
「まあ!あなたが話に聞いてた聖女見習いさんですね〜。とりあえず中へ〜」
そう言われて私は中へ入る。家の中は女性らしさと質素さがいい感じに混ざっていていい匂いもしていた。
「これからお茶にしようとしていたの。せっかくですし一緒に飲みましょう?」
そう言うと聖女様は、私の前のティーカップにお茶を注いだ。そのお茶があまりにもいい香りだったので私は思わず尋ねた。
「いい香り・・・!この匂いカモミールですよね!どうやってこんなにいい物を?」
「あら嬉しい♪実はこれウチで育てたものなのよ?今朝取れたものを時間をかけてじっくりと抽出したの」
「そうなんですね!どうりで香りがいいわけです!」
あの聖女様がお作りなったんだ・・・きっと特別な魔法を使ってるんだろう・・・
「それじゃあ、まずは自己紹介からかしらね?」
聖女様は席につくとカモミールティを一口飲んでそう言った。
「ワタシの名前はリスティア・アプリコット、ティアってみんな呼ぶわね。だからアナタもそう呼んでくれると嬉しいわ」
「分かりました、ティア様」
「ホントは様も要らないのだけど・・・それは一緒にいて仲良くなるのを期待するわ」
そこで私は1つ質問をすることにした。
「ところで、私はここで何の修行をすればいいんですか?」
するとティア様は笑顔で言った。
「特に何もないわ♪」
私が何も言えずに固まっていると、ティア様は言葉を重ねた。
「聖女の力は特別な修行や修練を必要としていないの。必要なのは1つだけ」
「それはいったい・・・」
「それはね、心と体を自然と調和させること」
「と、言いますと?」
その私の疑問にティア様はどう答えるか考えた後に言った。
「セレシアちゃんは、魔法の属性がどういう仕組みで発生しているか分かる?」
「はい、無属性の魔力に体内で変換したエネルギーを付与して発生します」
「それは、8割正解で2割間違い」
「聖属性はね、他の属性と違って他の自然や無機物からエネルギーを借りることで初めて発生するの」
「そうだったんですか・・・」
そんな話、聞いたこともなかった。いや、聞いたところで大半の魔法使いには関係ないから伝えていないのだろう・・・
「だから、ティア様はこんなにのどかで自然のあるところに住んでるんですか?」
「正解♪セシリアちゃんは賢いのね」
そう言ってティア様は私の頭を優しく撫でる。なんだかポカポカして太陽を浴びているような気持ちになった。
そしてティアさんは1つコホンと咳払いをすると説明を始めた。
「だからセシリアちゃんがここですることは自然の中で生活をすることで心と体を自然と調和するためにここで生活すること、分かった?」
「は、はい!」
こうして、私と聖女様のどこか気の抜けた修行という名のスローライフが始まるのだった。
セジョ×スロ!聖女様と過ごすスローライフ 神在月 @kamiarizuki10
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。セジョ×スロ!聖女様と過ごすスローライフの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます