第6話安藤玲子side
「言っておくけど、玲子ちゃんへの慰謝料と養育費は貴男が支払うのよ?」
「慰謝料?!養育費?!」
「当たり前でしょう」
「そ、そんなっ。無理だ!俺は貯金がそんなにないし。……これから生まれてくる子供にだってお金かかるのに……慰謝料なんて払えっこない!ましてや養育費なんて……そんな金……」
「「「……」」」
この男。ダメだわ。
今までもアレだったけど、父親の自覚なしだわ。
「最低ね。これが私の息子かと思うと情けないわ」
「母さん!酷いよ!!」
「酷いのは、秀一。貴男よ」
「母さんは一人息子の俺が可愛くないのかよ?!」
「息子としては可愛いわね」
「なら!」
「ただし、一人の人間としては可愛くない。クズ野郎としか思えないわ。これが私のお腹を痛めて産んで育てたのかと思うと余計に腹が立ってくる。バカな子は可愛いというけど、限度ってものがあるのよ。人として最低の男は去勢して根絶やしにしてやりたくなるわ」
「!」
秀一はショックで顔が土色になっていく。
よほど義母の言葉が衝撃的だったのだろう。
「貴男が私達と縁を切るって言うのなら、貴男の慰謝料と養育費は立て替えても良いわよ?」
義母の言葉に秀一はなす術がない、という顔をして頷いた。
でもね、秀一。
お義母さんは「立て替える」とは言ったけど、「支払う」とは一言も言ってないのよ? それに「貴男の慰謝料」と言った意味も理解できてるのかしら?でもまぁ、それを指摘してあげるほど私は優しくない。
精々頑張って計算しなさい。
その後、私達は弁護士の立ち合いの許で離婚が成立した。
そして、私は義両親と養子縁組をして二人の「娘」になった。
今は息子と共に仙台の家で家族四人で仲良く暮らしている。
基本、家事は私がしているけど、お父さんもお母さんも積極的に手伝ってくれる。
お父さんは孫と近所を散歩するのが、楽しくて仕方ないみたい。一緒に買い物している。
お母さんは孫の幼稚園への送り迎えを、嬉しそうにしてる。
なんだろ?
秀一と暮らしていた時よりもずっと充実してる。
息子がもう少し大きくなったら私も働きに出ようかな?
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