第38話美咲side
被害者家族からの訴えによって裁判沙汰になった。
それによって家のスキャンダルが一気に世間に知れ渡って私は家から出る事が出来なくなった。ニュースや新聞に大々的に報じられたせいだ。今も家の前には記者が群がってる。
父は激怒、祖父母は意気消沈。祖父は緊急入院した。まあ、入院したと言っても偽装なんだけど。現に父の友人が経営している大病院に入っているのが良い証拠。きっとほとぼりが冷めるまで出てこないと思う。
騒ぎがマシになった頃には全て失った。
家も財産も、全て。
父と母は別居した。
私を世間の目から遠ざけるためだと言って。
母の実家に身を寄せる事になった。
学校は転校した。
名前も早川の姓になった。
「晃司が直ぐに迎えにきてくれるわ!」
母は本気で言っていた。
「そしたら
母の能天気な言葉に呆れた。
親子で暮らした記憶なんて数える程度。
殆ど海外にいて家に居ない父。
誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントは郵送で送られてきたけど、本当にそれだけ。家に戻ってきても祖父母や母が父を囲んでいるし、私はその中に入りにくかった。祖父母が居ない時は母が父を独占していた。何時まで経っても新婚夫婦のような両親。そんな両親の元に無邪気に割って入る図太さはなかった。
親子三人での暮らし。
それがどういうものなのかワカラナイ。
想像もできなかった。
「え~~~!なにこれ?美咲、順位低すぎじゃない?」
人のテストの答案用紙を勝手に見ながら酷評する母にイラっとする。
今まで全く気にもしなかったのに!
「学年で十位にも入ってないってヤバイよ!やだ……そんなに頭が悪かったの?」
母はワザと言ってるんじゃない。本気で言ってる。だから余計腹が立つ!バカっぽい言動なのに母は頭だけは良い。母方の祖父が母を諫めているけど効果はない。
私の母は基本人の話を聞かない。
この祖父は自分の娘の事を知らないのだろうか?
早川の祖父は鈴木の祖父母とは違って、人が良い。お人好しの類だ。厄介極まりない母娘を引き取って面倒を見るなんて。
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