第36話鈴木グループ崩壊2

 

 シオンの予想通りの展開となりました。

 元夫は鈴木家の地位を失墜させただけではなく、自らの行いが事実だと証明されて失脚していきました。



【鈴木家の遠縁による横領の容疑で元会長逮捕】

【詐欺・恐喝などで懲役4年の実刑判決】

【元幹部による巨額横領事件が発覚!】



 世間では連日このニュースが流れています。

 更に、パワハラやセクハラ、権力を盾にした恐喝など悪事がどんどん暴かれていくのです。

 社員の皆様、ここぞとばかりに情報を提供してくれていますわ。既に訴訟を起こされていた原告達や、これから訴訟を起こそうとしている人達も沢山います。


 更なる鈴木グループの醜聞にマスコミ各社は、ここぞとばかりに報道しています。

 僅か数ヶ月で倒産、または財閥解体にまで追い込まれていました。


「没落待った無しだな」


「ここまでくると笑うしかありませんわね」


「被害総額がとんでもないことになってるだろうな」


「自業自得ですね」


「まったくだ」


 今まで好き勝手してきた代償が、鈴木家の破滅。

 同情の余地などありませんわ。


「鈴木グループは実質上解体だな」


「解体は免れませんわね」


「あれだけ醜聞を垂れ流したからな」


 マスコミは連日連夜報道を続けていますから当然ですわよね。あの手この手で面白おかしく騒ぎ立てていますから。



 賠償金や被害にあった人達への慰謝料により、鈴木家の資産は全て差し押さえられていきました。

 鈴木家はかなり莫大な資産を所有していましたが、それが全て奪われてしまったのです。


 銀行にも多額の借金がありますから、資産を差し押さえられても負債は残ります。

 膨大な慰謝料を支払う為のお金が無いのですから、事業をする事もままならないでしょう。破産申請をする以外に選択肢は無いでしょうね。



「そういえば、鈴木家の令嬢は家を出たようだ」


「家をですか?」


「ああ」


「避難……ではなさそうですわね」


「家出のようだ」


「まぁ!」


「行方知れずだそうだ」


「捜索願は出さなかったのでしょうか?」


「出したら不味いと考えたんだろう。破産したとしても鈴木家の令嬢だ。家出が表沙汰になればそれはそれで大問題だ」


「そうでしょうねぇ……」


 家出の理由は予想できます。

 没落した家の娘。

 その家族が、年若い娘をどうするかなど一つしかありません。


 政略結婚。

 もっとも、鈴木家の令嬢を妻にと望む家はそうそうないでしょう。

 ですが、後妻となれば話は別です。


 逃げ出したくなる気持ちは分かりますわ。




 その後、鈴木家の令嬢が表舞台に姿を現すことはありませんでした。


 


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