第20話とある女社長side
きっと、最初から間違っていたのかもしれない。
私、
成金学校――
嫌な言い方だけど、それが長い間通称となっていた私の母校。
金さえ払えば、どんなバカでも入学できると言われていた。ただし、それは随分前の話で、私が入学した頃には通称はなくなっていたわ。それでも「金持ち学校」として有名ではあった。良い意味でも悪い意味でも……。
一応、私立の進学校にはなっている。
もっともコレには訳があった。
幼稚園から大学までのエスカーター式の学校。
高校から優秀な一般家庭出身の学生を受け入れた事からソレは始まったと言われているわ。
要は、学校側が金を払って優秀な学生に入学してもらって名を挙げたと言える行為。
一般家庭出身者は、勉強だけじゃなく上流階級に必要な教養を学べる。その上、就職にも有利になる。学校側も名前を挙げて毎年の受験者も増えて万々歳だった。
高梨家はそこまで名家と言う程の家柄じゃない。会社は大手だけど、元は江戸時代からというし。一応、旧家の位置にギリギリ入っている感じだった。
一人娘の私は、いずれ会社を継ぐことが決められていた。はっきりとは言われたことは無いけど、両親や親族は当然と考えている事は聞くまでもなく雰囲気で分かった。
だからかな?
私はあの二人を応援したのは――
彼女、早川陽向に出会ったのは高校に入ってから。
外部入学の陽向は一般家庭出身者で、優秀だった。そのため生徒会メンバーに選ばれたのも当然だった。
生徒会メンバーで、同級生の女子は陽向だけ。
必然と彼女と一緒に行動する回数が増えた。
陽向は素直な子だった。
こちらが驚くぐらいに素直。本当に同じ歳なのかと疑ったくらい。小さな子供を相手にしているのでは?と思ったのも一度や二度じゃなかった。
それと同じくらいに純粋無垢。
この学校でやっていけるの?
社会に出てやっていける?と思うくらいに純粋な子だと感じたわ。騙されやすそうだとも思った。
でも、私の心配は杞憂に終わった。
陽向は誰に対しても公平で、おかしいと思ったら相手が誰であろうと堂々とした態度で抗議をしていた。だから私を始めとして彼女の事を気に掛ける生徒も多かった。それと言うのも、陽向をよく思わない生徒も同様に多かったから。陽向は自分の立場の危うさに全く気がついていなかったからよけいに……。
そんな陽向は同じ生徒会メンバーの鈴木晃司君と惹かれ合い、付き合うようになった。
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