第3話浮気相手からの謝罪1
「申し訳ご座いませんでした!!!」
目の前で土下座している女性。
これは一体どういう事なのかしら?
そして彼女は誰なのかしら?
深々と頭を下げている女性はスーツ姿で短い髪型。年齢は私とそう変わらない感じですが、どこか幼さが残っていて可愛らしい印象がありますわ。新人の営業マンといわれても納得してしまう雰囲気がありました。それはそうと、彼女は自分が何処で何をしているのか理解しているのでしょうか?玄関の門の前ですよ?しかも実家の車が待機しているのですよ??それに彼女は名前を名乗り上げる事もなくいきなり土下座して謝罪してきたのです。一体何のための謝罪なのかも明確にしていません。
一方的に謝ってこられても迷惑ですわ。
ですが、彼女は一向に動こうとしません。頭を下げた状態のまま……。え?これは私が「はい、わかりましたのでもういいですわ」と言ってあげるのを待ってるのですか??
困惑する私に助け舟を出してくれたのが実家の運転手でした。
「お嬢様、その女性は
え?
離婚する原因となった元凶ではありませんか!?
その彼女が何故ここにいるのですか!?
「大方、お嬢様に許してもらおうとわざわざここまで押しかけたのでございましょう」
なんですか……それは?
許すも何も私は彼女とは関わりたくありません! でもこのままというわけにはいかず、私は
「本当に申し訳ございません!」
いえ……ですから……謝るのをやめてくれませんこと??
これではまるで私が一方的に彼女を苛めてるみたいじゃありませんか??もう……嫌ですわ~~~。
「ごめんなさい……」
彼女は再び謝罪を繰り返してきます。
「わ、私が晃司の事を忘れられなかったから……。私が悪いんです!」
「……」
「だ、だから……彼は悪くないんです!!私が悪いから……だ、だから晃司は……。せ、責めるなら私を責めてください!!彼を責めないで!!!」
「…………」
何なのでしょうか……この人は?
彼女は晃司様の事を忘れらずにずっと思いを寄せていたという事は解りました。けれどそれが一体何だと言うのでしょう?
既婚者と知っていて関係を持ったのでしょう?
どちらが先に手を出したのかは分かりませんが、それは私には関係のない事ではないかしら?そもそも私は被害者ですよ?それなのに「許し」を強制するとは何事です!?呆れて物も言えません。
彼女は自分がどれだけ常識外れのことをしているのか分かっているのでしょうか??
「それで、謝罪と言う名の言い訳を並べて貴方はどうなさりたいのですか?」
「え?」
「私達は既に離婚しましたわ。双方の弁護士を交えて離婚条件についても合意し、離婚が成立していますわ。晃司様からお聞きになっていないのですか?」
「……そ、れは……」
この様子は知っていたようですわね。
まぁ、知っていなければ此処には来れません。
私が鈴木家を出るのは身内以外は誰も知り得ない情報ですもの。恐らく、晃司様が彼女に喋ったのでしょう。
どうやら愛する女性に関してはお口が軽いようですわ。
それとも彼女だから、でしょうか?
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