彼らの怪異譚

晴方米

第1話 鏡

初めまして、Sと申します。

性別は女、年齢は19歳の大学1回生です。

なんてことない、どこにでもいる普通の人間だと思います。

そんな私の身近で起こった奇妙?なお話をしますね……。


以前同い年のいとこのYとTと一緒に家の蔵を掃除しておりました。

蔵には先祖たちが集めた物が沢山ありますが、私たちにとってはガラクタに思える物ばかりです。

そんな中、Yがあるものを見つけ私に渡してきました。それは和柄の古びた巾着で中には何やら長細い物が入っているようでした。Yと一緒に巾着を開け中身を確認すると、長細い物の正体は〝鏡〟でした。その鏡は目元を写すのに丁度良い感じのものでしたが、私もYもこの長細い鏡が何なのかは分からず、「なにこれ?」と話していると、Tも近くにやって来ました。

Tにも鏡のことを聞きましたが、やはり分からないようでした。

私はこの鏡が何なのかどうしても知らたくなりました。ただの鏡なのに何故でしょうね?

でも何故かこの鏡に魅了されていました。

ちょうどその日の夜にいとこ達が集まる予定だったので、いとこ達に鏡のことを聞くことにしました。

いとこ達が集まって何をするかですか?よくある食事したり、お話をしてます(笑) 何故かAお兄ちゃんがよくいとこ同士集めているんですよ(笑) なんででしょうね…??

Aお兄ちゃんっていうのはいとこの中で最年長で寡黙で少し怖い人です。なんか私とは馬が合わないのかよく口論します(笑)あとKお兄ちゃんもよく私たちの前に顔を出すんですよね。Kお兄ちゃんはAお兄ちゃんより優しくて大人しくて眼鏡をかけてる知的な人です。

眼鏡掛けてる人ってみんな知的に見えますよね(笑)


あっ、話がそれてしまいましたね…えっと、夜になると数人のいとこ達が集まりました。積もる話や食事がひと段落したところで、私は例の鏡について聞くことにしました。

しかし、やはりいとこ達も鏡のことは知らないようでした。しかし、ただ、一番年上のAお兄ちゃんは鏡を見たときに顔を顰め、またKお兄ちゃんは「あっ…」と小さく呟きました。そして、Kお兄ちゃんが「その鏡って……」と何かを言おうとした時、突然Aお兄ちゃんが「その話はやめろ!」と大きめな声で言いました。

周囲は驚いたようでしたが、Aお兄ちゃんの様子があまりにも普段と違ったため鏡の話をするのはやめました。

私はAお兄ちゃんの様子が普段と違ったことKお兄ちゃんが言おうとした事が気になり引っかかりました。

どうしても気になったので、なにか知ってそうなKお兄ちゃんにこっそり聞こうとしましたが、Kお兄ちゃんはAお兄ちゃんとなにか話していました。特にAお兄ちゃんは口に手を当て神妙な面持ちで話していたため立ち入る事が出来ませんでした。

2人の話が終わった後、Aお兄ちゃんは「……の様子を見に行く」と言って外に出ていきました。何の様子なのかは聞き取れませんでした。一体なんだったのでしょうね?

Aお兄ちゃんが去ると残ったKお兄ちゃんは深いため息をつきながら掛けてる眼鏡を外しレンズを拭きながら何かを考えているようにじっと眼鏡を見ていました。


深夜になり、私達の集まりは解散しました。その後、私は一人薄暗い台所で片付けをしながら例の鏡を見ていました。鏡に写った私の目はいつもと変わりません。面白くないなぁと思っていたら、いつの間にかAお兄ちゃんが背後に立っていました。

私は驚き「あれ?どうしたの?」っと聞きましたが、Aお兄ちゃんは何も言わず、口に手を当ててこちらじっと見ていました。

薄暗い台所で何も言わず立っているAお兄ちゃんの姿は異様でした。

少しするとAお兄ちゃんが「さっきの鏡を預かるから渡して」と言ってきました。

私は「なんで?」と聞きましたが、Aお兄ちゃんは「なんでも」としか言いません。そんな回答に腹を立てたのか私は「嫌、渡したくない!!」と言いました。何故鏡を渡したくなかったのかは分かりません。ただ、本能というのでしょうか?自分でもわかりませんが本当に渡したくなかったのです。

「いいから渡せ!」と強めの声でAお兄ちゃんが叫び、私から鏡を強制的に取り上げようとしました。

私とAお兄ちゃんが取っ組み合いをしていると、「なにやってんの?!」と別の人の声が響き、私たちの間に入ってきて、私とAお兄ちゃんは引き離されました。

いい歳した大人二人が取っ組み合いするなんて恥ずかしいですよね〜〜(笑)

あっ!また話を逸らしてしまいました…これ私の悪い癖なんですよね…あはは……えっと、声の正体はKお兄ちゃんとYでした。Kお兄ちゃんはAお兄ちゃんが怒っていることに気づくと、Aお兄ちゃんをなだめてなにか話していました。すると、Aお兄ちゃんは納得してないようでしたが、Kお兄ちゃんに背中を押されて台所を後にしました。私が安堵していると、YとKお兄ちゃんが何があったのか聞いてきたので、私は先程のAお兄ちゃんとのやり取りを伝えました。そして、Kお兄ちゃんに「Aお兄ちゃんがあれほど鏡を取り上げようとした理由なにか知らない?」と聞きました。Kお兄ちゃんは思い当たる事があったようで、目線を逸らし眼鏡のツルに手をかけながら言葉を濁していました。

それを見兼ねてYも「私も知りたいから何か知ってるなら言って。お願い。」と言ってくれました。どうやらYもAお兄ちゃんの様子が気になっていたそうです。

私とYに押され、Kお兄ちゃんは少し考えた後、いつもの様に少しズレた眼鏡を整えながら重い口を開きました。


内容はこうです。

・この世には怪物がいて、彼らは人間に有害である

・怪物は先天性と後天性の2つがある

・怪物は無意識に何かを奪い、なにかしら癖や特徴を持っている

・怪物は人間のような見た目をしていて、簡単には見分けれない

・しかし、この鏡を使うことで見分けることができる

・鏡に映った目が生気がなく、笑ってなかったら怪物

・また、笑顔で鏡をみているはずなのに、映った目が笑っていなかったら怪物

・鏡を持ち続けることは厳禁


…突然怪物なんて言われても現実離れしすぎて困惑しますよね〜〜。有害ってどのようにそうなの?怪物とは結局何なの?って感じですよね〜〜。私とYもそうで、Kお兄ちゃんが何を言っているのか訳が分からず困惑していました。

その後、詳しいことを聞きましたが、Kお兄ちゃんは何も答えてくれませんでした。

しかし「なぜこの鏡で目を見たら怪物か判断できるの?」と聞いたら、Kお兄ちゃんはニコッと薄ら笑いを浮かべ眼鏡を整えながら一言「目は口ほどに物を言う…からね…」と言いました。

そして、最後にKお兄ちゃんは「鏡は元あった蔵に返しとくように」と言って台所を後にしました。


それから数日が経っても、私はまだ例の鏡を持っていました。だって怪物がどうのこうのって言われたら、怪物を見てみたいし詳しいことも知りたいし、なによりこんな面白いものを手放したくなかったのです。皆さんだって面白いものを手放すのは嫌でしょう?

ただ、鏡を持ち始めてから、花を枯らす頻度が多くなりました。あっ、私の趣味は園芸&小説書くことなんですよ。ただドジなのかよく花を枯らしちゃうますが…。でも、いつもちゃんとお世話しているのに枯れるなんて、変ですよね。なんでだろう?でも私だけではないですよ!

この前Aお兄ちゃんも庭の花や木をすぐ枯らしてましたから。いや〜さすが血縁者!これはあれですね!もう仕方ないですよね!

あとは…そうそう、よく花壇を荒らしていた野良猫が来なくなりました。これは助かりましたね。あの猫にはしょっちゅう困らされていましたから。

突然来なくなったのは何故でしょうね。まぁ、とにかく有難いことですよね。


…あっ!またごめんなさい。話を戻しますね。まあ、とにかく私はKお兄ちゃんの言いつけを破っていました。

するとある日Yが私の元にやって来て、「鏡は返したの?」と聞いてきました。私は「なんでそんなこと聞くの?」と逆に質問しました。すると、Yは「いや、まだ持ってたら怪物って言うものをこの目で見てみたいから貸して欲しくて」と言いました。それを聞いてお前も同じこと考えとんかい!と思いましたね(笑)

という訳で、私とYの怪物探しが始まりました。


まずは何も知らないTに鏡を見せることにしました。Tはイライラしてたようでしたが、2人で半ば強引に鏡を見せました。でも鏡に写ったTの目はいつもと同じです。「つまんない」とYと言ってたらTがキレてしまいました。「なんでそんなに怒ってんの?」と聞くと、最近家の敷地内や周りで猫やイタチなどがよく死んでて、その片付けでイライラしてたそうです。

「いとこが集まるとよく動物が死んでいるんだよね…時期のせいか…あるいは誰か変なものでも憑いているのかな…?(笑)」とTは冗談交じりに言いながら死体の処理の続きをしに行きました。

去りゆくTの背を眺めながら私達は不安になりました。

なぜなら、Tの言ってた「いとこが集まると動物が死んでる」がKお兄ちゃんから聞いた怪物の条件の“何かを奪う”に当てはまっていると思ったからです。もしそれが正しければ、怪物はいとこの中にいるっていうことになります。私達の誰かが怪物なのです。まあ、Tは違いましたけど(笑)

怖いですよね……。でも若さって不思議ですよね、怖いと思いながらもその後もYと色んな人に鏡を見せて怪物探ししてました(笑)

私の妹、Yの兄弟、数人のいとこ、ペットの犬達にも見せたけど、特に何も起こりませんでした。

私とYはガッカリし怪物探しを諦めることにしました。

部屋に戻ろうとした時、「何をしている?」と誰かの声が後ろから聞こえました。振り返るとAお兄ちゃんがいました。これはやばい人に見つかったと思い、私とYは冷や汗がとまりませんでした。

だってまだ鏡を持っているとバレたら絶対叱られると思ったんですもの。とにかく誤魔化すため私は咄嗟に「花壇の水やりをしに行くところ」と嘘をつきました。

そんな中、Yはこんな所にAお兄ちゃんが居ることが不思議だったようで「Aお兄ちゃんこそ何してたの?」と聞き返していました。すると、どうやら、Aお兄ちゃんもTと一緒に動物の死体の処理をしてたようです。

その返答を聞くとYは何やら考え始めました。

Aお兄ちゃんはYの様子には気づかず、私の方を見て「花壇の水やりって…お前いつも枯らしているだろう。気をつけろよ」と嫌味を言ってきました。

“花壇の水やり”と答えた事が原因でしょうが、お兄ちゃん自身も枯らしていた同類なのに私に嫌味を言ってきたのが癪にさわりました。

なのでついつい「お兄ちゃんも枯らしていたじゃん」と要らない一言を言ってしまいました。

すると、「あれは俺のせいじゃない」と言い訳を始めました。まあ私はちゃんと聞いてなかったのでなんでお兄ちゃんのせいじゃないのかは分かんないですけどね(笑)

そんなこんなで、また私とAお兄ちゃんは口論を始めそうになりました。そんな空気を察知したYは慌てて私の手を引いてお兄ちゃんの元から離れました。お兄ちゃんの元から離れたのはいいですが、行くあてが特になかったのでとりあえずTの部屋へ行くことにしました。Tにとってはいい迷惑ですよね(笑)


目的地の部屋に着くと、そこにはすでに部屋の主であるTがいました。私たちの姿を見たTはあからさまに面倒くさそうな顔をしながらも、私たちを部屋に入れてくれました。しばらくの間気まずい沈黙が続いていましたが、突然Tが呆れながら「怪物探しってやつまだやってんの?」と聞いてきました。

私が笑って誤魔化しているとTは私達を見てため息をつき「子供じゃないんだから怪物なんて信じるのはやめなよ。いとことしてものすごく恥ずかしい」と胸に刺さることを言ってきました。

Tの言葉に精神的ダメージを受けていた私と違ってYは「でも怪物はいると思う」と呟きました。

その返答にTは少しイラつきながら「いるって?どこに?誰か思い当たる人でもいるって言うの??」とYに言いました。Tの問いにYは「うん」と答えました。まさかの返答にTどころか私まで驚いて空いた口が塞がりませんでした。

Tが何言ってんだこいつ…って感じでドン引きしている中、私は誰が怪物と思うのかYに問いました。

するとYは「Aお兄ちゃん」と静かな声で答えました。またもや思いもしない返答に私とTは顔を見合せ、吹き出しました。だっておかしいでしょ?

でもYは真剣な目を向けて「だってお兄ちゃんの様子変じゃん…!鏡のことなにか知ってそうだし…。それに私達が集まると動物死んでいるんでしょ?私達を集めているのはAお兄ちゃん…動物の死骸を片付けているのも証拠隠滅しているのでは…?あと花だって枯らすのもおかしくない?」とAお兄ちゃんが怪物と思う理由を説明しました。

私は無い頭でなるほど…と納得しながら、でも花を枯らすに至っては私も同じでは…?と思いました。これはYには内緒ですよ(笑)

そんな納得してる私と違ってTは腑に落ちないようで、「なんでも結び付けたらいいように解釈できるって…よくAお兄ちゃんと一緒に死骸処理してるけど何もないよ。…怪物なんかを信じたり考えたりする前に2人は早く大人になりなよ」と言葉を残して呆れながら部屋を去ってきいました。残された私とYはTにあんなことを言われたのに、懲りずにAお兄ちゃんの正体を暴くことにしました。

思い立ったが吉日!ということで早速YとAお兄ちゃんの元へ行こう襖を開けると、そこには私達が会おうとしていた人物であるAお兄ちゃんがいました。会いに行く手間は省けましたが、まだ心の準備が出来ていなかったので私とYは固まってしまいました。

Aお兄ちゃんは私達を見て「鏡を渡せ」と静かに言ってきました。なんでバレてんだ?!と思っていると、私の思考を読んだのかお兄ちゃんは「Tから聞いた」と付け足しました。それを聞いた時は、あの裏切り者〜!!Tには血も涙もないのか…って思いましたね(笑)

鏡を渡せと言われても、まだAお兄ちゃんの正体を確認できてなかったので「Aお兄ちゃんが怪物かもしれないから、それを確認するまで渡さない」と言いました。それを聞いたお兄ちゃんは私達の意外な返答にただただ驚き「なんで俺が怪物なんだ?!意味の分からないことを言うのはやめろよ」と言いました。

でも疑っている私とYはやめずに「だってお兄ちゃん花は枯らすし、家の周りの死骸を処理するもの怪しいじゃん」と返しました。

私達の言葉を聞いてAお兄ちゃんは「そりゃ死骸があったら誰かが処理しないといけないだろ。それにあの花は俺のものじゃなく、Kに頼まれたもので…」と声を大きくして反論しかけると、突然「また何やってんの?!」という声が響きました。その声はKお兄ちゃんのものでした。どうやら、騒ぎを聞きつけて私達の元へやって来たようです。それを知った時は、あれ?この展開2回目じゃない?!(笑)って思いましたね!

Kお兄ちゃんは私とYを見ながら「Aを困らせたらダメでしょ」と注意し、続けて「なにがあったの?」と聞いてきたので、私とYは事の流れを説明しました。私達の説明を聞き終わるとKお兄ちゃんは「なるほど…」と呟き「じゃあここでAが怪物じゃないこと証明しようよ」と笑顔で言ってきました。

Aお兄ちゃんは口に手を当てながら面倒くさそうにしてましたが、Kお兄ちゃんに無理やり鏡を見せられました。鏡に映ったAお兄ちゃんの目はいつもと同じで何も変わりはありませんでした。つまりAお兄ちゃんは怪物なんかではなく普通の人間だったのです。私とYは予想が外れたことにショックを受けいじけていました。

その様子を見ながらKお兄ちゃんは楽しそうに笑っていました。Aお兄ちゃんの方は好き勝手にされて気分を害したようでKお兄ちゃん「お前も見ろよ」と言って鏡を向けました。

Kお兄ちゃんは急に鏡を向けられたことにビックリしていましたが、やはり鏡に映ったKお兄ちゃんの目もAお兄ちゃんと一緒で何も変化なく普通の人間でした。

もしかしたらKお兄ちゃんは怪物かも!という淡い期待をしていたのですが、こちらも残念な結果でした…(笑)

これで私とYは満足したと思ったのでしょう、Aお兄ちゃんは私とYに「もういいだろ、鏡を渡せと」と言いました。

確かにもう満足してたのですが、何故か私は先日と同じように「嫌だ」と答えていました。

それを聞いたAお兄ちゃんは今までのこともあり堪忍袋の緒が切れてしまいました。

ここまできたら皆さんも分かりますよね?はい!鏡争奪戦、私とAお兄ちゃんの取っ組み合いの開始です。

Yはまたかぁ〜と思っているような顔で高みの見物をしていましたが、Kお兄ちゃんの方は「この流れ何回やるの?!やめなよ」と言って私とAお兄ちゃんの間に入って取っ組み合いをとめようとしました。

しかし、タイミングが悪く私の右手の叩きが思いっきりKお兄ちゃんのこめかみに入りお兄ちゃんの眼鏡が吹っ飛んでしまいました。

流石にやばいと思い取っ組み合いを中断し、私はKお兄ちゃんに「ごめんなさい!大丈夫?」と聞きました。Kお兄ちゃんは「大丈夫だけど、危ないじゃないか〜」と笑いながら言いました。

Kお兄ちゃんが怒ってない&無事ということに私は安心しました。Kお兄ちゃん怒らせたらとても怖いので(笑)

落ち着きを取り戻すと私は左手に握っていたはずの鏡がないことに気づきました。きっとKお兄ちゃんを叩いてしまったことにビックリした時に落としてしまったのでしょう。

どこにいったのかと辺りを見回すと鏡はKお兄ちゃんの近くに落ちていました。

回収しなきゃと思っていると、Kお兄ちゃんが私の方を見て「すぐ殴り合いをしたらダメだよ」と笑いながら言ってきました。私は早く鏡を回収したかったので「はーい」と生返事をしながら、鏡に視線を向けました。

すると、鏡にはちょうど眼鏡を掛けてない素顔のKお兄ちゃんが映っていました。そして、よく見てみると落ちた鏡に映ったKお兄ちゃんの目は笑っていませんでした。

その事に気づいた私は咄嗟に顔を上げてKお兄ちゃんの顔を見ましたが、やはりKお兄ちゃんは笑顔でした。でも鏡に映っているお兄ちゃんの目は笑ってなく無表情でした。先程の眼鏡を掛けて鏡を見た時はいつもと同じだったのに、眼鏡なしだとKお兄ちゃんの目は笑っておらず生気もなく異様そのものでした。

……怪物はKお兄ちゃんだったのです。そこのことに私が驚愕しているとKお兄ちゃんは私の様子に気づいたようで、私を見ながら眼鏡を拾い、掛け直し整えるとニコッと薄ら笑いを浮かべました。


怖いですよね…だって本当に身近に怪物が居たのですから……えっ?期待してたのにって?そりゃ期待してましたけどぉ〜…いざ怪物が近くに居るとなると怖いじゃないですか〜!!……


……でもね、一番怖かったのは……鏡を拾う時に映った私の目も生気がなく笑ってなかったことなんですよね…………。


…あっ、作り話、小説みたいとか思いました?!

酷いですね!皆さんにとってはそうかもしれないけど、私の中では本当にあったことなんですよ!


………怪物とは何?私やKお兄ちゃんは一体何者なのでしょうか…?害をなす者なのでしょうか…?

もう全てがわかんない……あはは…わかんないや………。



S:さかえ(栄)

Y:やよい(弥生)

T:ときわ(常磐)

A:あさま(浅間)

K:こだま(谺)

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