桃色吐息
コケティッシュロングヘア
第1話 不条理
男はなんて幼稚で頭が悪い生き物なんだろうかと思う時がよくある。
男女の初対面において、男が女の顔や胸や尻を見ている間、女は男の左手の薬指に指輪の跡が無いかを確認し、手の綺麗さや靴の汚れをチェックする。デリカシーが無いのである、雄達は。
女に比べて体の成長に中身が追いつかないのに、その事に気付かないばかりか、負い目も感じず努力すらしない。そのくせ無駄にプライドが高く間違いを指摘されると顔をしかめるのだ。
女への要求は昔からずっと「綺麗でいる事」「子供を産む事」。気持ちが悪いったらない。時代の流れと共に更に要求はエスカレートして今ではそれに加え、女も当たり前に働き、子供を産むだけではなく育てあげ、家事までこなせときている。
男女平等なんて美しい言葉で唆し、バリバリ働いて成果を出せば女だからだの女のくせに〜で、専業主婦は舐められて笑われる。女は子供を産んでも産まなくても疎まれ、仕事をしてもしなくても文句を言われ、「役割」があまりに多いのだ。
カマキリのオスは出産するメスに自らの肉体を差し出すし、コウテイペンギンのオスもヒナが産まれるまでの間雪のみを食べて守るというのに。人間の雄に何が出来る?妊娠中の妻を置いて浮気に勤しむ?妊婦の妻が怒りっぽくてさ〜なんて居酒屋でヘラヘラする?どうせ何も出来ないなら自分の世話と金を運ぶくらいの事はやってもらいたいものだ。
男がリビングで脱ぎ捨てた靴下を拾う瞬間に思う事は、こんなはずじゃなかった、なのかもしれない。けれど、生まれ変わって性別を選べるとしたら、あんな愚かな生き物に成り代わりたくはないと思う自分がいる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます