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SACK

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ここ最近はコロナの影響で出張はなくなり、遠方との取引は基本的にオンラインで済ませていた。

ところが5類に引き下がってすぐに上司から出張の命令が言い渡され、朱里(あかり)は今仙台の地に降り立っている。

「せっかくだから牛タンは絶対食いたいよね」

「俺はずんだシェイク」

彼氏であり同僚の純也と、後輩の亮も一緒だ。

久し振りの地方出張に旅行気分で来ている2人を見て小さくため息をつく。小さく、で済んだのは多少朱里もその気持ちが分かるから。

以前仙台に来た時、先輩に食べさせてもらった牛タンや気仙沼産の海産物がとても美味しく、仕事そっちのけで楽しんだ記憶がある。

今回は自分が先輩の立場。自分がしてもらったように、亮を連れて美味しいものを食べさせてあげたい。

「まずは!要件済ませちゃおうね」

「おっけー」

こんなタメ口をきく生意気な奴でも後輩は後輩だ。

純也は真剣な顔でスマホを弄っている。付き合って2年ともあれば何をしているか分かる。早速今晩の店のリサーチをしているのだ。

「いい店ありそう?」

半分呆れながら尋ねると、画面を見ていないくせに何をしているか分かった朱里を「さすが」と言わんばかりに純也はニヤリと笑った。

「19:30から3名で予約完了」

純也のこの行動力にはいつも脱帽する。それが仕事にも活かされていてるから何も文句は言えないのだが。


仙台駅からタクシーに乗り込み、取引先の会社に向かった。

会議には、気難しくちょこちょこ嫌味を言うような社員が出席していて朱里は机の下で何度も拳を握ったが、口が達者でああ言えばこう言うタイプと純也と、若さという武器で嫌味をさらりとかわす亮のお陰で何とか乗り切った。

1時間もかからずに会議は終了し、あっという間に出張の任務が完了した。純也が予約した19:30まで時間があったので駅に戻り、亮が所望していたずんだシェイクを駅前のベンチに腰掛けて3人で飲んだ。

「俺ら高校生みたいなことやってね?」

「確かに」

スーツ姿のいい歳した男女3人がベンチに腰掛けてずんだシェイクを飲んでいるのは、想像すると少し異様かもしれない。

「ずんだうま」

「私初めて飲んだ。美味しいね」

以前出張で訪れた時には、こんなに至る所にずんだシェイクは置いていなかった。新しいグルメの情報を教えてくれた亮に感謝だ。

9月の終わりの仙台は涼しい風が吹き、ずっと外にいても苦にならない。しばらくベンチで、純也の言う高校生のように他愛もない話をしてから、予約の時間になり店に向かった。

駅前にある宮城の名産物がメニューに並ぶ店で、店内に入った途端牛タンの香ばしい香りが漂ってきた。

「やば!俺この匂いだけで飯食えるわ!」

大興奮している亮が可愛らしい。いつも生意気な口をきき大人びているところがあるが、今は少年のように目をキラキラと輝かせている。

席に着き、牛タンの盛り合わせと海鮮の盛り合わせを頼んだ。他にも食べたいものはたくさんあったが、取り敢えず。

「お疲れー」

そして先に届いた生ビールで1日の疲れを癒す。

「実際そんな疲れてないよね」

「あっという間に終わったしね」

久し振りの出張は、移動時間と自由時間のほうがはるかに多いものとなった。今晩一泊してから明日の朝、新幹線で戻ることになっている。

「亮のあの発言には驚いたよ…」

今日の会議を思い出して朱里が呟く。

朱里が資料を読み上げていた時に、相手先の嫌味な社員が突然スマホで録画をし始めたのだ。朱里はそのことに気付いたが、レコーダー代わりなのだろうと思い特に気にせず続けていると、亮が突然その社員に尋ねたのだ。

「TikTokっすか?」

一瞬会議室が凍りつき、その社員は驚きながら「いや、資料として録音しようと…」と小さな声で呟いたのだった。

「だってさ、録画する必要ある?ボイスメモで録ればいいじゃん?」

「確かにな。まぁあいつ嫌な感じだったし、朱里にプレッシャーでも与えるつもりだったんじゃない?」

「へぇー。そんな奴いるんすね」

「女だと結構舐められるんだよ」

いくら実力があっても、女だからとやたらと上から目線の男性社員はどこにでもいる。それで悔しい思いをした過去もたくさんある。

だからこそ今回の出張で、純也と亮が一緒だったのは助かった。亮は経験を積むために今回一緒に来ただけだったが、あの発言を聞いて確信した。もう一人前だ。

その後牛タンと海産物をここぞとばかりに堪能し、地酒もしっかり楽しんでから、ホテルに向かった。

会社がとってくれたホテルのフロントで純也が受付をしているが、何やら長引いている。

亮と朱里はソファに座って待っていたが、受付でこんなに時間がかかるわけがないと心配になり、ほろ酔いの亮を置いて朱里は純也の元に駆け寄った。

「大丈夫?」

「なんかミスって予約したっぽい」

「え?どういうこと」

「部屋がひとつしか取れてない」

「はぁ?」

会社からは朱里にシングルルームが一部屋、純也と亮にツインルームが一部屋用意されてると伝えられていた。それが会社の手違いかホテル側の手違いか分からないが、シングルルーム一部屋しか予約されていないらしい。

受付では、ホテルのスタッフがパソコンを物凄いスピードで操作し、必死で他の部屋の空き状況を確認してくれている。

「お客様、お待たせして大変申し訳ありません」

スタッフが戻ってきて頭を下げた。

「確認したところ、こちらの手違いでシングルルーム一室の予約となっておりました。こちらのミスですので、同じお値段で少しランクが上のお部屋をご用意出来るのですが如何でしょうか?」

「どんな部屋になりますか?」

申し訳なさそうに説明するスタッフに純也が尋ねる。

「キングサイズのベッドが1つのセミスイートとなります」

キングサイズとは言えベッドの数が1つとなると、戸惑わないわけにはいかない。純也と2人ならまだしも、今回は亮もいる。

ふと振り向き亮を見ると、ソファで気持ちよさそうにうたた寝を始めていた。

「あいつには床で寝てもらおう」

真顔で純也は言うと、「じゃあそれで」とスタッフに告げた。

受付を済ませ、ソファで気持ちよさそうに眠る亮を叩き起こしてから部屋に通された。案内された部屋は、セミスイートという名に恥じない煌びやかな室内で、決して出張先で宿泊するような部屋ではない。思わず3人して目を丸くした。

「この度は誠に申し訳ありませんでした」

申し訳なさそうに何度も謝るホテルのスタッフの手前文句も言えず、気付けば無駄に広く煌びやかな部屋にポツンと3人取り残された。

「俺は朱里とベッド使うからお前床な」

スーツのジャケットを脱ぎながら純也が言う。

「何でだよ!せめてソファだろ!」

15階からの眺めは良く、仙台の夜景が見渡せて綺麗だった。バスルームに行くと女性用のアメニティも充実していて、ふかふかのバスタオルが気持ちいい。

こんなにいい部屋ならプライベートで純也と2人で来たかった、と朱里は内心思った。

「朱里、先シャワー浴びてきていいよ。俺ら軽く飲み直してるわ」

コンビニで買ってきたつまみと酎ハイをガラス張りのテーブルに並べ、純也と亮は二次会を始めようとしている。

「じゃあお言葉に甘えて…」

自宅から持参した、いつも使用している洗顔類をバッグから取り出しバスルームに向かった。

シャワーを浴びて、1日の疲れを洗い流す。そんなに高くはないがヒールのある靴で一日中歩き回っていたため脹脛がパンパンに浮腫んでいた。ボディソープでマッサージをして、早朝からずっとしていた化粧も落とし、気付く。

「亮にもすっぴん見せるってことか…」

純也にはもう何度も見せているが、職場でしか会わない亮にも素顔を見せるとなると何となく嫌だった。

ゆっくり温まってからシャワールームから出ると、スキンケアをして念の為眉毛だけ書き足した。

「お風呂、先ありがとう」

広々としたリビングに戻ると、純也が呆れたように目を細め、ベッドを指差した。

「え…」

そこには気持ちよく大の字で寝ている亮がいた。

「亮がベッド使っちゃってるじゃん!どうするの?」

「俺も降ろそうと何度もチャレンジしたんだよ。でも酔っ払いは重すぎた」

細身の純也と違い、筋肉質でしっかりとした体格の亮をベッドから引き摺り下ろすのはやはり困難だったようだ。ましてや眠って全身の力が抜けていると尚更だ。

「仕方ない…3人で使お。俺もシャワー浴びてくるわ。朱里、冷蔵庫にコーヒー入れといたよ。酒もまだあるから飲みたかったら飲んでいいし」

「うん、分かった。お風呂広くて良かったよ。ゆっくりしておいで」

純也はシャワー、亮はベッドで爆睡。朱里はついていたテレビを眺めながら、冷蔵庫から取り出したカフェオレを飲んだ。寝ているとは言え彼氏以外の男が同じ部屋にいるとなるとくつろげない。落ち着きなく、窓際にあるマッサージチェアに座って体をほぐしてみたり、明日着る服の支度などをしているとバスローブ姿の純也がシャワールームから出てきた。

まだ少し濡れた長い前髪は手櫛で掻き上げられて、大きく開いたバスローブの襟元から除く首筋が色っぽい。

亮もいる中でドキドキなんてしちゃ駄目だ、と朱里は純也から視線を逸らし、大の字で眠る亮を見た。

「起きる気配ゼロだね」

「結構飲んでたもん」

「初めての出張で多少気を張ってたのかもね」

「気を張ってる奴があんな発言するかね」

「あの発言は正直スカッとしたけどね。言われた時の先方の顔、私一生忘れられない」

「頼もしいよな」

口を半開きにして爆睡する亮を2人で眺めて話す。せっかく褒めてあげてると言うのに、本人は夢の中なのが残念だ。

「俺らも寝よっか。明日チェックアウト10時だっけ」

「そう。その前に7時からモーニングビュッフェが付いてる。せっかくだから食べよ」

「そうだな」

普段朝ごはんなんてたいして食べられないくせに、ホテルのモーニングビュッフェとなるとたくさん食べてしまうのは何故だろう。

明日の朝食を楽しみにしつつ朱里は携帯を充電器に差し込むと、先にベッドに横になった純也を見て固まった。

「私どこで寝ればいいの?」

純也は何も言わずに亮と自分の間をポンポンと叩く。

「は?私真ん中?やだよ!純也が真ん中入ってよ」

「俺だってやだよこんな大男の横で寝るの」

「私だって潰されちゃうよ」

寝てるのをいいことに亮は酷い言われようだ。小声でひとしきり揉めてから、それなら…とジャンケンで解決することにした。

「「じゃんけんぽん!」」


「普通彼女を他の男の横に寝かすかね」

敗北した朱里を真ん中に、大の大人が3人川の字に並んでキングサイズのベッドに横になった。

「まぁまぁ」

ニヤニヤと笑いながら純也はもう目を瞑っている。

「このこと一生忘れないから!」

こんな状況で眠れるかわからないが、朱里も仕方なくぎゅっと瞼を閉じた。最初こそ変な緊張感はあったが、久し振りの出張の疲れとアルコールの入った体と、ホテルの上質な寝具に眠りを誘われ、気付くと意識はフェードアウトしていた。


どのくらい眠っただろうか。ふと、体に違和感を感じて目が覚めた。

ルームウェアの中の素肌に何かがもぞもぞと這っていて…

「純也!?」

首だけ振り向き、小声で叫ぶ。

「しっ!亮が起きちゃう」

純也のせいで起こされたと言うのに何故か朱里が、人差し指を口に当てられ怒られてしまう。

ルームウェアの中で動き回る、骨張った手は止まることを知らず、ブラジャーを捲り上げ胸へと到達した。

背後から密着して朱里を抱き締めるようにしている純也の股間はもう既に固く、朱里の尻に当たっている。耳元にきている純也の唇が、朱里の耳たぶを優しく食む。

「…っ!」

目の前には仰向けで口を大きく開けながら寝ている亮がいる。ちょっとやそっとじゃ起きなさそうに見えるが、朱里は自分の手で口を塞ぎ、快感に耐えるしかなかった。

純也の大きな手が朱里の胸を包み柔らかく揉みしだき、触れるか触れないかの繊細なタッチで中心を通り過ぎる。こんな状況で辞めてほしいはずなのに、触れてほしい自分がいる。そんな朱里の思いが通じたかのように、純也の指が朱里の胸の突起を指で弾いた。

「んっ…!」

ビクッと腰が跳ね思わず小さく声が溢れた。慌てて亮を見るが、変わらずに爆睡している。

「純也、もうやめて」

小声で純也に伝えるが、キスで唇を塞がれ何も言えなくなってしまう。

「いつもより感じちゃう?」

「そんな訳ないでしょ」

ニヤリと片方の口角を上げて笑う純也の肩を叩く。その間も胸の突起には絶えず甘い刺激が与えられ続けている。

「もうっ…駄目だよ、声出ちゃう」

「こっちは…?」

純也の手が薄いショーツの中に伸びてきた。

「駄目!本当、もうやめて」

「濡れまくってるじゃん」

そんな事朱里本人が一番分かっている。小声で会話を交わしながら、なんとかその先に進ませないように朱里は抵抗するが純也相手に敵うわけがなかった。

「んっ…っ…!」

濡れそぼった割れ目を何度も指で往復し、ふっくらとした芯芽を指の腹で転がされる。普段のセックスで必ず朱里が声を上げてしまう愛撫の仕方だ。

手のひらを口に押し付け必死に声を殺すが、無意識に純也を求め腰が揺れる。耳にかかる吐息の生暖かさも今では全て刺激になってしまう。純也は朱里の片足を開かせ、芯芽を転がしていた指を深い溝に滑らせた。

「んっ…!はぁ…」

長く骨張った指が朱里の中に入った。刺激に耐えるべく目を強く瞑り口を抑える手に力を入れる。

中を荒らす指が2本に追加された。朱里の弱いところはもう全て把握されている。そこをピンポイントで擦られ腰がガクガクと震えベッドが揺れてしまわないか不安になった。

パリッと張りのあるシーツの中から、純也が指を動かすたびにいやらしい水音が聞こえてくる。自分の意識とは別に、純也の指を締め付け頭が真っ白になってきた。

このままじゃ達してしまいそうだ…と唇を噛み締めシーツを握りしめた途端、頭上から純也とは違う声が聞こえた。

「声、我慢しないでいいよ」

一気に血の気が引き、そしてその後に全ての血流が顔に流れていくのを感じた。

強く瞑っていた目を恐る恐る開けると、こちらを見る亮と目が合う。

「亮…いつから…」

「うーん…割と最初の方から?」

亮の目が見れないのは気まずさももちろんあるが、目が合った時、瞳の奥にいつもとは違う色を感じたから。

「亮、ごめんごめん。朱里のいつもと違うシャンプーの香りに興奮しちゃってさ」

軽いテンションで謝罪する純也の手は、動いていないものの今だに下着の中に入っている。

「ねぇねぇ、これって俺も参加していいって事だよね?」

更に軽いテンションで、思いもよらぬ発言をする亮に朱里はさすがに驚いた。

「俺の女なんだから絶対に優しくしろよ」

「ちょ、純也!?何言ってんの?」

慌てて純也を見るが、「どうした?」とでも言うように純也はいつもと変わらない飄々とした表情だ。

「それはもちろん優しくするよ」

スーツを着たまま寝ていたせいで皺の付いたワイシャツのボタンを亮がゆっくり外していく。

次第に露わになる亮の上半身は、胸板も厚く、小麦色に焼けた肌に腹筋のラインが綺麗に入っていた。

脱いだワイシャツを雑にベッドの下に落とし、亮の顔が近づいてきた。大人の男2人に挟まれ、今更抵抗などしてもどうにもならないことは分かる。朱里は諦めるように目を瞑り、亮の唇を受け入れた。

薄い純也の唇とは違い、亮の唇は厚くて柔らかい。何度も唇を重ね、亮の熱い舌が口内に入ってきたとき、止まっていた純也の指も動き始めた。

「んぁっ…」

まだ湿った中を掻き回され、再び腰が揺れる。

亮に声をかけられ、一瞬冷めていた熱が再び上昇し、簡単に状況は元に戻された。

「あっ…はぁっ…」

だが今は亮の舌が口内を這い回り、唇を噛んで声を殺すことも許されない。

指の動きが徐々に早くなり、シーツの中から水音が絶え間なく聞こえてくる。

「あっ…だめ…いくっ…!」

握りしめるためにシーツを求め彷徨った朱里の指を亮が捕らえた。指を絡め合って手を繋ぎ、朱里が堪えている快感を受け止める。

繋いだ手にぐっと力が入り、腰がガクガクと震えた。そして全身の力が抜けたように、朱里はベッドに沈んだ。

「亮にキスされながらイっちゃったの?」

背後から意地の悪い純也の声が聞こえてくるが、反論する気力はない。

朱里の呼吸が少し整ったのを確認し、亮の唇が朱里の胸に降りてきた。中途半端にたくし上げられたブラジャーから覗く胸の中心を、舌先で突く。

「あっ…!」

思わず亮の逞しい腕を掴むと、背後で純也が朱里の下着を下ろし硬くなった自身を当てた。そしてゆっくり腰を進め、朱里の中に先端を挿入していく。

「あぁっ…やっ…だめっ、そんな…」

前では亮が指先と舌で両胸の乳首を刺激し、背後からは純也の太くて硬いものに中を突き上げられる。こんなに一気に色々な箇所を刺激されるのは初めてだ。

シーツはとっくに足元に落ち、純也に大きく片足を持ち上げられているせいで下半身が晒されているが、そんなことどうでも良くなるくらい快感で頭がおかしくなりそうだった。

「朱里…」

少し息の上がった純也が起き上がり、朱里の体を持ち上げた。そして四つん這いの体勢をとらせると、再び背後から挿入した。

「あっ…やぁ…っ」

何も纏っていない臀部を強く掴み、純也は腰を同じリズムで打ち付ける。その度に揺れる朱里の胸を弄っていた亮は、徐に朱里の前に膝立ちになるとズボンのチャックを下ろし自身を取り出すと口元に差し出した。当然だが純也のものとは違う形の、大きく起立した亮が視界に入り、朱里は思わず固まってしまう。

「朱里、舐めてあげて」

背後から純也の声が聞こえる。洗脳されているかのように朱里は導かれるまま大きく口を開くと、亮のものを咥えた。

口いっぱいに、何とも言えない独特な味が広がり思わず顔を顰めるが、顔を前後させ必死に扱き上げた。

「んっ…んんぅ…」

亮を咥えているせいで、純也から与えられている刺激に喘ごうにも声が上手く出せない。口の中のものはさっきよりも大きくなっている気がする。

背後からは純也の荒くなってきた息が聞こえてきた。臀部を掴む力も強く、腰使いにさっきまでの余裕が感じられない。背後にいるせいで表情は見えないが、きっと眉間に皺を寄せて少し辛そうな表情をしているはず。朱里はこの純也の表情が色っぽくて好きだった。

「んっ、んっ…んぅ…!」

徐々に腰のリズムが早くなり、同じリズムで朱里の声が漏れる。骨盤を強く掴み最奥を突き上げると、熱いものが中で注がれた。

「はぁ…はぁ」

純也の荒い息が聞こえ、中から柔らかくなったものが引き抜かれた。誰の何の液だか分からないものが中から少し溢れ朱里の太ももを伝う。

亮は、放心状態の朱里の口から自身を抜くと、朱里を仰向けに寝かせ足を肩に担ぎ上げた。

「やっ…」

まだ羞恥心が残っていたことに朱里は内心驚きつつ、露わになった下半身を手で隠した。しかしいとも簡単にその手は亮によって掴まれてしまう。

まだ濡れそぼったそこに亮の先端が触れる。純也によって柔らかくされていた壁を掻き分け、亮が侵入してきた。

一仕事終えた純也は、パンツを身に付けベッドに横になると、亮に攻められている朱里をひどく冷静に眺めている。

何を考えているのか分からない純也からの視線と、初めて見る熱っぽい亮の視線に挟まれ、朱里は今まで感じたことのない快感の渦に飲み込まれていた。

「見ないで…」

顔を隠すように手を覆うが、純也にその手をどかされる。いつもとは違う角度で中を犯され、無意識に結合部を深めようと腰を動かすと、意図しないタイミングで芯芽まで擦れてしまい、今までにない淫らな声を上げてしまった。

「これ?」

亮は挿入したまま朱里の芯芽に触れ、指の腹で刺激した。

「あっ…それ、だめ…やっ!」

器用に指を動かしながら腰も動かす。朱里はだらしなく大きく足を広げ、亮から与えられる快感を受け入れる。

「朱里、エロい」

純也が呟き、シーツを探っている朱里の手に指を絡ませた。

「あぁ…だめっ…亮…」

純也と繋いでいる手に力がこもる。亮の腰使いも次第に早くなり、色っぽい吐息が頭上から聞こえてきた。

「朱里さん…俺も、もうやばい…」

体勢を深め、ラストスパートをかけるように亮は腰を打ち付けてきた。

片手で純也の手を、もう片方の手で亮の腕を握り締め朱里は二度目の絶頂に達し、亮は急いで自身を引き抜くと、朱里は自分の内腿に熱い液体を掛かったのを感じた。

亮が額にキスをして、朱里の横に倒れ込むようにして横になる。肘をついて見ていた純也はまだ呆然としている朱里の唇にキスをした。

徐々に瞼が鉛のように重くなり、朱里は意識を失うように眠りについた。


「朱里、朝飯行くよ」

純也の声で目を覚ますと、朱里は一人でベッドで眠っていた。もう既に純也も亮も昨日とは別のスーツに身を包み、寝ぼけている朱里を笑いながら見ている。

「え!?もうそんな時間?」

慌てて起きようと思ったが、ふと昨晩のことを思い出しシーツの中に戻った。自分の身なりを確認すると幸いルームウェアをしっかり身に付けている。

もしかして夢だったのか…?

あまりにも純也と亮が普段通りで、自分の記憶を疑う。

「ごめん、先行ってて!化粧してから行くから」

「おっけ」

「早く来てねー」

スーツ姿の二人が部屋から出て行った。

取り敢えず顔を洗おうと思いベッドから足を下ろし、体重をかけた瞬間全身に鈍痛が走った。

「いっ…!」

内腿から腰にかけて、あとは両腕が筋肉痛になっている。

「夢じゃなかったか…」

二人に抱かれた余韻がまだ全身に残っていた。

振り向いて、キングサイズの大きいベッドを眺めると、昨晩の記憶が鮮明に脳内で再生される。

記憶を払拭するように朱里は顔を洗い、化粧をして自分もスーツに着替えた。

「どんな顔して会えばいいの…」

そして、不安と重い体を引きずりながら、モーニングビュッフェの会場へと向かった。


end

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