クレヨン

勝利だギューちゃん

第1話

家の倉庫を整理している。

断捨離だ。

というよりも、終活。


正直、もう身体が持ちそうにない。

悲鳴をあげている。


国からの命の選別も近い。

そうなれば、僕のような弱い立場の人間は、真っ先に除外される。


生きる権利を奪われるのだ。


国は国民の命をも、おもちゃに出来る。

随分と偉くなったものだ。


でも、未練はない。

それも、一興だ。


そこで、整理として不要な物を、処分している。

て、殆ど不要だな。


本もいらない。おもちゃもいらない。

部屋にあるCDやDVDも、既に処分した。


いかに、無駄遣いをしていたのかがわかる。


あれ?

この箱なんだろう?

開けてみよう。


そこには、画用紙いっぱいに描かれた、子供の頃の絵が出てきた。

絵の中には、楽しそうにしている僕や家族。

友達などが、描かれている。


もう、交流はない。

家族も旅立った。


でも、当時は良かったな。

まだ未来に希望があった。


汚れていなかった。


いつからだろう?

汚れたのは・・・


描かれている絵は、棒人間。

お世辞にも上手いとは言えない。

技術的なら、今の方が上手い。


でも、こんな純粋な絵は、もう描けないだろう。


だが・・・


「もう少しだけ、抗ってやろう。

国が俺を処分するというのなら、その前に抵抗をしよう。

まだまだ、生き抜いてやる」


子供の頃に比べたら、未来は短い。

でも、生ある限り未来はある。


ありがとう。

子供の頃の僕。


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クレヨン 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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