第25話 食べ物は粗末にしません。

【※警告※】今回もかなりひどい下ネタが含まれています。


☆☆☆ショータイム


恐らくカノンはまだ僕のことを女性だと疑っている。


アレの偽装など容易にできるものだ。太ももにニンジンを挟むなど誰だって思いつくだろう。


つまりニンジンをアレに見立てるだけでは、まだ足りないのだ。さらにその先へ向かう必要がある。


僕はコードネーム『折り紙』だ。この程度のピンチ何度だって潜り抜けてきた。


それにニンジンを太ももに挟むだけで、それ以上を考えないと侮ってくれるな。


そして僕は太ももに挟んであるニンジンを触る。


「……っ」


「ティティティティティアちゃんんん!? あ、ダメだ。私……」


オリビーは前かがみになる。だが構ってられるか!


僕は全力でニンジンを触る。そして……


「はっはっはっはっはっはっ!」


「ほう……ティエラリア君……」


よく見ていろカノン……これが僕の覚悟だ……僕は男の娘だ!


「はっはっはっはっはっはっ!」


そして、生徒達の見真似でニンジンをいじり倒していく。


「(ティアちゃん……どうなっているの……だってティアちゃんは女の子で……スカートが見たい……スカートの中が見たい……)」


「うぅっ!」


そして僕は……到達した。


「え……ティアちゃん!?」


「はぁ……はぁ……」


「(……ティアちゃん付いていたんだ……それにこれって……ペロリ……っは! これは乳を発酵したもの!? アレじゃない! まさかこれは全部……)」


オリビーは全てに気付いたようだ。今までの行動全部が偽装工作だったことに……


「流石ティアちゃん……安心したよ……」


僕達は向かい合い心の中でサムズアップする。


これでカノンにも僕が男の娘であることが証明されたはず……『折り紙』に不可能はないのだ。


「ごちそうさまでした。僕は終わりましたので帰らしていただきますね……あれ……」


一同は僕のことをずっと見つめていた……それもニンジンを……


「嘘でしょ……あんなに大きいの初めて……」「流石ティア様……えちえちでした」


「凄い……」「凄いものを見た……」


「……あはは……失礼します」「ティア様は許婚いいなずけ……」


「ティア様は許婚……」「ティア様は許婚……」


それだけ言うと僕は部屋を後にする。あとなんで僕であるとバレてたんだローブ被っているのに……


その後。『ティア様は許婚』という謎の噂が一時期広まったが……気にする必要はないだろう。


☆☆☆部屋にて


オリビーも戻ってくると真っ先に喋りかける。


「ティアちゃん……その、アレをぎ、偽装するなら、私に言ってほしかったな」


「え、どうしてですか? 上手くやれたと思うのですが……」


「うん。確かにティアちゃんのアレの偽装はほとんど完璧だった。一見ティアちゃんから生えたのかと思っちゃった……なんでもない」


「大丈夫です。知っているオリビーちゃんを驚いているのなら目的は達成できています。ならばなぜ?」


「その……大きすぎない? 使っていたもの」


「……はい? ニンジンですけど……え、あれが平均ではないのですか?」


僕はしまっていたニンジンをスカートから取り出す。


「ニ、ニンジンを? いや、平均がどれくらいか分からないけど。少なくとも私のよりは……って、あぁぁぁぁぁ!」


そして、手に持つニンジンはオリビーより大きいこと知った。


「ごめん……ティアちゃん。そんなつもりで言ったわけじゃなくて……その……ごめん……小さくて」


こっちも気まずくなり頷いた。なるほどこれより小さいのか……


「だ、大丈夫です……落ち着いてくださいオリビーちゃん……」


「そ、それでティアちゃん。そのニンジンは料理に使うの?」


「いえ、流石に……挟んだものをオリビーちゃんに出すのは良くないです。もちろん食材を無駄にするつもりもないですから、私専用で……」


「そう……だよね……ティアちゃんが食べるんだ」


え、オリビー凄い残念そうな顔しているけど……気のせいだろうか?


☆☆☆一週間後


僕が許婚という噂も風の様に消え、やがて課外学習当日が訪れる。


今日ファーストブレイクの被災地である大都市エーネスト跡地へ僕達は向かうのだ。


早朝。僕とオリビーは部屋でもう一度荷物の確認をしていた。


「いよいよ今日だね。凄く緊張するよティアちゃん。危険な場所なんだよね」


「防護服を着るので実害はないです。それに今回は共和国軍の護衛も付いています。それにラーリア様とロムリス様もご同行しますので」


共和国が開発した軍事用魔法防護服。エーネスト跡地を調査するときには必須である。


何せエーネスト跡地は未だ大規模粛清魔法で二次災害が発生しているのだから。


「そうなんだけど……だって……お化けとか出る可能性が……」


「それ以上に恐ろしいものが見れますから」


「……え?」


やはり、エーネスト跡地についてオリビーは気付いていない。いや、皆はぐらかしているだけなんだ。これから訪れる場所の意味を……


「『死体』です。まだ跡地では未発見のものが沢山あるはずです。幽霊など存在しない物よりも、生きれなかった人達の成れの果てはもっと悲惨ですから……」


「それは……」


「といっても、あれだけ時間が経てば原型は留めていないですから……まじまじと見なければ分かることはないです」


「そ、そうだよね……緊張する……」


「僕にできることはあまりなさそうですが……せめてオリビーちゃんが安心して魔法が使えるよう尽くしますよ」


「……上手くできたらご褒美とか……ティアちゃんが……」


「はい。僕にできることならなんでも♪」


「私……頑張る!」


ちょろいな君は……


「それでは学院へ向かいましょうか、ラーリア様とロムリス様が待っています」


こうして僕達は学院へ向かう。




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