みんなの「慶應義塾高等学校野球部」体験 V.1.1

@MasatoHiraguri

第1話 「3,486分の1」の青春

2023年8月、夏の甲子園で行なわれた(第105回)全国高等学校野球選手権大会。

8月23日に決勝戦で勝利した慶應義塾高等学校とは、これまでマスコミによって作られてきた「高校野球・甲子園大会」というものが虚飾の偶像であった、と感じさせてくれました。

彼ら慶應義塾高等学校野球部員たちは、選手一人一人が自立した人格を持って野球を楽しんでいた。それはまるで、参加校3,486校のうち、唯一自分たちだけのオリジナルな(高校)野球を追求してきたかのような印象を受けました。


決勝戦でホームランを打った部員は、試合後こう語ったそうです。

「(自分で)考える野球がしたくて、慶應に来た」と。


ここ数十年来、韓流(韓国人的感性)マスコミによって作り出されてきた「安っぽい韓流ドラマ的高校野球。そこでは、カリスマ的監督の指示に促され、個人の人格や個性を押し殺した、まるでAI人間のような「操り人形」的野球部員が泣いたり笑ったりしている。

そういった従来のステレオタイプのスタイルを拒否し、自分の頭で考え自分たちで創造する高校野球によって、16~18歳という青春時代を燃焼させた慶応義塾高等学校。

マスコミや地元商店街、学校や監督のための薪(たきぎ)として「燃やされる」のではなく、自分自身のために自分で「自分を燃やし」、その成果が地元の人たち・学校の級友たちを幸せにし、監督と肩を組んで心からの一体感に浸ることができた。

同じ「甲子園で優勝する」にしても、従来のそれとは一線を画した大きな意と意義を持っていました。

エンジョイ・ベースボールとは、まさに「個人の自主独立」を説いた福沢諭吉精神を、野球という一つのアプリケーション(応用分野)で実現し見せてくれた、とも言えるかもしれません。

「地元の活性化」なんていう韓流マスコミの安っぽい煽り文句、高野連なんていう天下りの俗物集団。

本当に野球を楽しもうという球児たちの心を金儲けに利用しようとする、そんな世界の中で、彼らは本来の純真な高校球児の在り方を貫き通しました。

もし今回、彼らが甲子園で敗れたとしても「泣きながら甲子園の土をかき集める」なんて、ステレオタイプの安っぽい韓流ドラマなんか演じることはなかったにちがいない。「オレたちは十分野球をエンジョイした。その思い出で十分だ。」と、笑顔で甲子園を去ったのではないだろうか。

勿論、そんな彼らを支援する慶応独自の校風や監督の存在も大きな助けとなっていました。

野球(スポーツ)で名を上げて高校の存在感を打ち出したい(自分の出世の種にしたい)意地汚い学校ではなく、監督がその業で飯を食う、よいうケースにありがちな宗教的指導者ではなかったというのは、(純粋に野球を楽しもうという)彼らにとって最大の追い風であったにちがいない。

『甲子園(での優勝)なんて、これから先の長い人生に於いて、米粒ほどの思い出でしかない。そう言えるほど、その後の人生を充実した楽しいものにしていくことを考えるべき。3,486校のNo.1になった。その偉業を乗り越えていく新たな努力にこそ、君たちのこれからの人生がある。』

まるで、そう仰っているかのような、慶應義塾高等学校野球部監督の、新聞に掲載された以下の名言。

○ 「この優勝は素晴らしいが、彼らの未来にはもっと楽しくて明るいこともある。そういうものを目指して欲しい。」

○ 「甲子園優勝とは栄誉であり、大きな成果ではあるが、これを人生最高の思い出にしないで欲しい。将来、これを超えるような思い出や、社会人となって今回と同じようなワクワク感を感じながら仕事をする、ということが大切。」

こういう監督さんの元でこそ、慶應義塾高等学校野球部員たちの自由で独立した魂が育ったのでしょう。

おそらく、こういう監督・高校・野球部員というのは、全国3,486の(野球大会に参加した)高校で、この慶應義塾高等学校だけであったのではないでしょうか。

その意味で「3,486分の1の青春」と、私は呼びたい。

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