第55話 強い冒険者パーティーを探しましょう

 強いパーティーを調べるとなれば、真っ先に思い浮かぶのは勇者パーティーですね。


 彼らは冒険者ギルドの二階にいまして、勇者エリアフが私に苦言を呈しました。


「君たちのせいで、寄生配信大流行だよ。とくに四天王クエストを受注すると、他の配信者たちが金魚のフンみたいにくっついてくるんだ。そのせいで秘密裏にクエストを受けなきゃいけなくなったのさ……」


 ほほー、模倣犯が続出じゃないですか。うんうん、私が原因ですね。


 でもセキュリティホールを開けっ放しにしておくのも悪いと思うんですよね。


 善意を悪用するのは、私みたいな腹黒の常勝パターンですし。


 むしろ開けっ放しだったセキュリティホールを最初に悪用したのが私で、ラッキーだったと思うんですよ。


 もし魔王軍の内部にいる腹黒に悪用されていたら、被害は甚大だったかもしれないですし。


 というわけで、私はえっへんと無い胸を張りました。


「勇者パーティーのみなさんは、私のおかげで、腹黒な作戦の対処方法がわかったじゃないですか。きっと魔王軍は私より狡猾なので、この経験が役に立つでしょう! はっはっはー!」


 盗賊イシュタルは、すごく嫌そうな顔をしました。


「お前、屁理屈まで得意なのかよ」


「当たり前じゃないですか。口先が強くなきゃ、レベル一の遊び人は生きていけませんよ」


「やっぱ変わってんな、お前」


「他の勇者メンバーならともかく、あなたにだけは言われたくないですね」


「俺様は変わってるんじゃなくて、特別なオンリーワンなの」


 うわっ、なんか多くの子供を勘違いさせた懐かしいワンフレーズが出てきましたね。


 世界に一つかもしれないし、一つじゃないかもしれない花の話ですよ。


「歌詞の著作権ギリギリを攻める話題はともかく、あなたたちは四天王のダンジョンを攻略する時期じゃないんですか?」


「いや、別にあいつら放置しても困らないし、優先順位は高くないぞ」


「四天王、相変わらず扱いが悪いですねぇ……」


「だってあいつら強くねぇし、倒しても新しいやつが着任するし、ぶっちゃけどうでもいいんだよな」


 ちょっとかわいそうになってきましたね、四天王。


 もっとかわいそうになる出来事は、魔法使いルリヤが魔法の杖をちょいと掲げたときに起きました。


「そんなに四天王を倒してほしいなら、近場にいるやつを、いますぐ倒しますよ。はいこの通り~」


 彼の元ネタである九十年代の獣神官みたいな仕草で、魔法の杖から最上級の電撃魔法が発動しました。


 どこか遠くで、ぴしゃーんっと落雷の音が響いたと思ったら、冒険者ギルドの伝令がVITの通信機能で報告してきましたとさ。


「四天王が電撃魔法で一撃死したって。あんなに弱いなら、また新しいやつが代わりに昇格するんだろうな」


 四天王って、もはや噛ませキャラにすらなれてないですねぇ…………。


 まぁいいでしょう。とにかく勇者パーティーは四天王関連のクエストを受けないみたいですから、他の強豪パーティーで応援配信したほうがよさそうです。


 というわけで、次回はこの街に滞在するその他の強いパーティーを探しに行きますね。

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