第46話 もしや誰も第一障害を突破できないんじゃ……???
SASUKEェ的なアスレチック、三人目の挑戦者ですが、戦士のアカトムさんになりました。
うちのパーティーでは常識人枠ですね。
代々騎士の家系に生まれていますから、きちんとトレーニングしていますし、勉強だってしてきた人です。
まぁちょっとボケたところもありますが、それはご愛敬ということで。
ともかく彼女は常識人らしく、まずは重たい鎧を外して身軽になりました。
ほほぉ、健康的な肉体美が露わになりましたねぇ。
冒険者よりもアスリートが似合いそうな筋肉が付いていますよ。
もちろん腹が立つぐらい胸も大きいんですが、SASUKEェ的なアスレチック施設を前にしたら、筋肉の方が重要なわけですよ。
ムキムキで硬い筋肉というより、伸び縮みしやすい筋肉っていうんでしょうか。
こんな健康的な女性アスリートの筋肉が突然カメラに映ったので、コメント欄が熱狂しました。
『戦士の子、こんなに良い筋肉持ってたのか』『冒険者やってるのがもったいない。プロスポーツをやったほうがいい』『陸上競技とか似合いそう』
たしかにハードル走とか、めちゃくちゃ早く走れそうな体型なんですよねぇ。
ってことは、SASUKEェ的なアスレチック施設、得意なはずです。
――なんですが、なぜかアカトムさんは、意味深な目つきで私を見てきました。
おやおや、どういう意味の目線でしょうか? ちょっとわからないですね。
と思っていたら、いきなりアカトムさんはスタートしました。
「スポーツはいつだって全力勝負、いくよっ!」
おおっ、なんてかっこいいスポーツマンシップの宣言。
私、ちょっと期待しています。戦士のアカトムさんであれば、無理に好タイムを狙わないのであれば、普通にクリアできるんじゃないかって。
少なくとも第一障害の丸太橋ぐらい、楽勝でクリアできますよね?????
解説の魔人さんも、うちのパーティーメンバーも、配信の視聴者たちも『もしや本当にクリアするじゃないか!?』と熱い視線を送っています。
そんな期待だらけのアカトムさんが、汗をかくほどの全力疾走で、ついに第一障害である丸太橋に到達しました。
渡れるのかい、渡れないのかい、どっちなんだい!?!?!?
「おっと、足がすべったぁ!!!!」
とアカトムさんは叫びながら、わざとらしく丸太から落ちて、水たまりにボチャンです。
………………あぁ、そういうことですか、さっきの意味深な目線の意味は。
アカトムさん、すごく真面目なので、私の提唱したお笑い体当たり路線を実践するために、わざと失敗したんですね。
その姿勢は尊重しますし、ご協力に感謝したいんですけど、もっと丁寧に失敗を演出してほしいんですよ。
いやまぁコメント欄は別の意味で盛り上がっていますけど。
『もっと上手に失敗しろよwww』『いくらなんでもワザとらしすぎるw』『あんな質のいい筋肉で丸太橋ごとき突破できないはずないじゃんwww』『失敗を演出するなら、お笑い芸人を見習え。。。。』
ツッコミの嵐ですね。
でも、そのおかげで視聴者数が200人まで増えたので、普段真面目な彼女の功労賞ということにしておきますか。
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