転生聖女は婚約破棄されました。でもそちらは大丈夫?
紅 蓮也
第1話 婚約破棄されました
ここはアリストリス王国といい、四方を魔物が蔓延る魔の森と呼ばれる森に囲まれている国である。
私の名前はマリア。姓はあるが今は無いことになっている。
私は魔の森から出てくる魔物から国を護るために魔物討伐を任されている4つある辺境伯家の1つであるマナマイト辺境伯家にいる。
私にはこの世界とは別の地球の日本で生活していた前世の記憶があり異世界転生したみたいで転生聖女というやつだ。
そんな私はマナマイト辺境伯の嫡子で婚約者であるララバルト様から部屋に来るように言われた。
「マリア。聖魔法が使えると聖女して使ってやった。
そして容姿も悪くないからとりあえず婚約してやったがもうお前などいらぬ」
「何が言いたいのですか?ララバルト様」
私としては別に婚約破棄されたとしても構わない。
横柄で私や領民、使用人たちを見下し態度が気に食わないし、好みでもない。
「本物の聖女が見つかった。
お前みたいな平民の孤児ではなく、高貴な血を持つ本物の聖女だ。そして私の新たな婚約者となる。
お前とは婚約破棄だ。領から追放だ。さっさと我が領からさっさと出ていけ」
本物の聖女が見つかった?
聖女とは聖魔法が使える女性の中から神殿で女神に認められ加護を得た者でこの国には4人いる。
聖女は力を失ったり、結婚や年齢により引退した者がいない限りは新たな聖女は誕生しない。
4人の聖女は私を含めて現役で活動しているし、引退したり予定もないし、神殿や国からの発表もない。
「わかりました」
私が居なくなりマナマイト辺境伯家がどうなろうが私には関係ない。
ララバルト様が言う新たな本物の聖女とやらが頑張ってくれるだろう。
ダメでも領民たちは国がなんとかするだろうしね。
マリアはララバルトに言われた通りにマナマイト辺境伯領から出ていった。
「父。マリアのやつと婚約破棄し、領から追放いたしました」
「そうか。もうやった。これで我が家に王家の血を迎えられるな」
「ですが、王女をマナマイト辺境伯家に迎えるだけでは終わらないのでしょう」
「勿論だ。マナマイト辺境伯家が今の王家に変わりアリストリス王国を支配するのだ」
「国王が溺愛している王女を婚約者兼人質として迎える為に邪魔だったマリアもすんなり追い出せましたし、計画通りですね」
もっと抵抗されると思ったがすんなり出て行ってくれました。
「あぁ、あの平民もやっと自分の立場がわかったのだろう。
聖女とはいえ平民の分際で我がマナマイト辺境伯領で好き勝手にしていたからな」
そうだ。重税を課し我が家をもっと裕福にしようとしていれば、細工して税を現状維持のままにしたり、重税案を領民たちにバラしたり、支払い出来ぬ者たちに無償で治療したりして人気取りしやがった。
国に黙って増税や神殿に黙って高額な治療費を請求すれば我がマナマイト辺境伯家が潤い計画も更にスムーズにできていたものを
ララバルトは、直ぐに父であるマナマイト辺境伯にマリアと婚約破棄したことなどを報告をしていると国王から謁見許可書が届いた。
辺境伯親子は喜び登城準備を領から追放されあマリアは何処にいるのか。
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