第34話 私失敗しますから

あのですよ。

夜勤の時は二人勤務だったんです。当時は三交代制でふたり夜勤が急期の病院では普通でした。


患者さんが亡くなります。

死後の処置を行います。

その夜もひとりの高齢の男性患者さんが亡くなりました。

エンゼルセットを用意して病室に二人で向かいます。

まず、患者さんの管を全て取り去ります。

そして、からだを拭き着替えをしていただきます。

丁度、背中を拭いていた時です。

ナールコールが鳴りました。

ひとりはナースコール対応に行かなければなりません。

私は、患者さんを横向きのままの状態で支えて、ひとりで背中を拭いていました。

その時です。

ぐらりっと患者さんの身体がこちらに倒れてきました。

「ええ!うそ!」

あれよあれよとベットから落ちてくる、、。

とにかく、患者さんを床に落とす訳にはいかない!

リンボーダンスのような体勢のまま、患者さんを抱きしめて。

セーフよね、患者さんは床じゃ無くて私の上なんだから。

そこからニッチモサッチモ動けないのです。相方を待ちます。

ナースコール対応が終わった相方は戻ってきて仰天!

「何が起こったんですか!」

「そんなことより、助けてー。」二人で何とかベットの上に。

どこにも傷は無いことを確認してほっとしました。

あー、怖かった。床になんか落としたらと思うと冷や汗が。


相方は

「おしたさんのあの格好笑えたー。」

と皆んなに話すのです。


はい、もちろん師長には大目玉いただきました。

しゅん。





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