Truth〜枝葉のように広がる感情ー12
「あの状況を見れば、ある意味一目瞭然ではあるからな」
「はっきり聞けばいいじゃん?
その方が僕だって気が楽になるし」
「空、お前はゲイなのか?」
はっきり聞いてこいと自分から言ったくせに、声を出して泣き出す空。
「そうですよ!僕はゲイですよ。
隠れゲイですよ」
「カミングアウトはしてないのか?」
「こんなこと誰にも話せないでしょう?」
「誰にも言ったことないのか?」
口ごもる空。
「いつから悩んでいた?」
押し黙る空。
「俺には、ゲイの友達は結構いるぞ」
「ロンドンの話でしょう?
日本は違うんだよ」
チラッと俺の顔を見た空。
「そうか?日本にもいるぞ。
ライブの仲間とか、あのバーで知り合った飲み仲間とか」
「大体、ショウさんだって、どうしてあんなディープな場所にいたの?
まさか、あんな所で会うなんて思ってなかった。
最悪!」
「そんなにディープでもないだろう」
「ディープですよ。
歓楽街の奥の方にあって、通りの向こうにはラブホが何軒もある。
しかも、外国人が日本人を狙ってるみたいな」
「まあな」
「ショウさんが、そんな所に出入りする人とは思わなかった」
「たしかにな!
最初はナンパ目的で連れてこられたわけだしな」
上目使いで俺を見る空。
「ショウさんも、ラブホ行ったの?」
「何だよ、それ?
行ったよ」
開き直る俺。
ブランデーを安っぽいグラスに並々と注ぐ。
すると、空も自分のグラスを差し出してきた。
いつの間にか飲み干している。
半分くらい注いでやる。
「どっちと?」
「どっちって何だよ」
「男か女かだよ」
「女の子だよ。
俺は、基本ストレートだ」
「基本って、どういうこと?」
酔いが回ってきたのか、俺は失言してしまった。
すかさず痛いところを突きに来た空。
「男の人とヤッたことあるってこと?
僕には、そう聞こえた」
俺は、空に押されている。
さすがは、クラスでも人気者の恐るべきコミュ力。
開き直るしかない俺。
「あるよ」
「えー!どっち?」
「今度のどっちは何だよ?」
「ヤッちゃう方か、ヤラれちゃう方かだよ」
「どっちもだよ」
形勢逆転。
俺は、完全に空の思うがままだ。
思い出したくもない過去の話をほじくり出されている。
でも、その共感が、空の氷を溶かし始めた。
ーShowー
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