ライブ・ラジオ・リンクー2
「少しお聞きしたいことが」
「はい!どういうご要件でしょうか?」
俺は、美由紀仕込みの敬語で答える。
その弁護士は、肩透かしを食らったような顔をしている。
そりゃそうだ。
美由紀の夫に会った時は、俺はストリートのガキ丸出しだったからな!
「美由紀さんとお付き合いされてるんですよね?」
「違いますよ。
ご主人が勘違いされているようですが、美由紀……
あーすみません、海外生活長いもので。
美由紀先輩は会社の先輩で、私は仕事を教えてもらっていました。
今は部署も違いますが」
「でも、美由紀さんとそのお子さん達と毎日夕食を一緒にされているようですね!
毎日となると、相当仲はよろしいんじゃないですか?」
「うちの会社は父の代から、社員を招いた食事会を開いています。
美由紀先輩は、副社長である母の手伝いをしてくれています。
その時に子供達も連れてきます」
「子供さん達も、あなたには随分懐いてるいらっしゃると聞いていますが」
「そうですね!
私の家の練習場で、ドラムやピアノを教えていますから」
完全に予想と違う展開に、意欲喪失しているその弁護士に、
「もういいでしょうか?
これから、ライブがあるので」
「ライブ?」
「ミュージシャンなので」
俺の黒尽くめの服装とタトゥーを、改めて眺めるその弁護士。
「それと、美由紀先輩の不利になるようなら、これ以上は話せません。
あのご主人、大丈夫ですか?
あの日子供達は、ご主人のすごい剣幕を怖がって、私に助けを求めてきたんですよ」
少しキツい目でその弁護士を睨みつけた。
「失礼します」
そう言って、多少頭を下げた。
車の前で待っていたショウとカーリーが、
「何かあったなら、俺たちにも言えよ!」
「誰にも言わないって約束してるからな」
「まあ、言いたくないなら無理には聞かないけど」
「大体の事はわかってるし」
「どういうご用件でしょうかだって……」
ニヤつくふたり。
ーRayー
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