新しい匂いー4
そして、私は28歳で大学生になった。
入学式の服装は、光沢のある黒の細身のスーツにショートブーツ。
これも、今や私のスタイリスト夏美さんが用意してくれた。
髪の毛は、いつも通りのショート。
難関の面接を突破したから、もういつもの私でいいんじゃないって、果穂ちゃんも言ってくれた。
でも、入学式の会場にサングラスのまま入ったら、皆がジロジロ見てくる。
知らない人と余り目を合わせたくないからサングラスをしているのに、逆効果だった。
今日は、入学式の後オリエンテーションがある。
これから1週間程は、説明だの履修登録だの、そんな感じだ。
大きな階段教室に移動し、今日は手続き的な説明で終了だ。
遠くの席に、面接の時に一緒だった40代女性と50代男性がいる。
後のふたりは、多くの若い学生に紛れてしまってわからない。
この日の日程が終了し帰り支度をしていたら、声を掛けられた。
面接の時のその二人だ。
「面接の時に一緒だった女の子よね?」
「はい」
私がそう答えると、
「ほらね!そうでしょう」
40代女性が50代男性に、こう言った。
すると、50代男性が、
「あの時とは、なんだか印象が違うね。
さては、随分猫かぶってたね」
図星だ。
「ほらね!みんな受かったでしょう!
大丈夫だったでしょう」
「後のふたりは?」
「入学式で見かけたわよ」
すると、そこにかなり明るめのブラウンの思い切り巻き毛の女の子が現れた。
目の大きなギャル風の子だ。
面接の時より、髪色も明るく一層派手になっている。
「あの時も異質な雰囲気漂わせてたけど、今日は一段と目立ってますね」
と私に話しかけてきた。
「そっちこそ!」
「私、
自己紹介タイムになった。
40代女性は、
面接の時には気が付かなかったが、腕を固定する器具のついた杖をついている。
50代男性は、
「苅原 直です」
「名前聞いても、男か女かわかんなーい」
ギャルめ!
ーKerlyー
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