後輩ー3

 「バンド名の『ホワン』って何なの?」


俺は知らなかった。


「もともと、レイ兄さんの弟の海くんと高校の時に組んだバンドだったんです」

「東京の大学で音楽を学びたいからって、一度解散になったんですけど、みゆとピボを入れてまた復活したんです」

「海に、よく、お前たちの音はホワンホワンしてるって言われて、それで『ホワン』です」

「海は、違うことやりたかったみたいで」


海は、音楽のことは、俺にあまり語らない。

何がやりたいんだ?


「で、お前たち、デビューとか考えてないの?」


「もちろん考えてますよ」

「ライブにもコンテストにも出てますし」

「動画サイトにもあげてますし」

「なかなか簡単にはいかないですよ」


酒の席で、音楽の話をすることがなかった俺たちは、この後輩たちに少し感心した。


「Scream of No Nameプロデュースとかってなったらいいなーなんて」


「甘いな、お前ら」


「インディーズでデビューとかしてみたら」


「そんな簡単に言わないで下さいよ」

「お金も知識もないのに」


俺たちって、どんだけ恵まれていたんだろう。

改めて、親父たちやボスやTAKAさん達のありがたみを感じた。


ーRayー


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