母と娘

母と娘ー1

 長いフライトと、疲れから機嫌の悪いケイトのお世話で、翌日貧血を起こして派手に倒れてしまった。

午前中に病院に連れて行かれる。

午後からは、ボスとレイちゃんと黒川さんと共に、スマホの契約や諸々の手続きに連れ回されて、ヘトヘトだ。


 夕方やっとホテルに戻ってきた。

ベッドに横たわり、狭い部屋を走り回るケイトを目で追う。


ボスが私に


「カーリー、少し眠りなさい。

ケイトは私がみてるから。」


と言われて、もうその言葉に甘えることにした。

明日は、おばあちゃんに会いに行くんだから。


 ホテルのツインルームにベビーベッドを入れてもらって、私とケイトとボスの3人で泊まっている。


「お前が倒れたら、ケイトにも危険が及ぶんだよ!」


と言われ、ずっとボスの監視付きだ。

何度こうして、ボスと部屋を共にしていることか。 


 「連れ回すとか監視付きとか、随分だな!全部お前たちの為にやってるんだろ!」


と怒られる。


「わかってます」


 親から家を追い出された時も、

アメリカ中をライブハウス巡りをしていた時も、

怪我や過労で入院した時も、

いつもそばにいてくれた。



好きな事だけをやらせてくれて、

失敗しても何も言わず、

辛い時は、ただただそばにいてくれた。

私たち3人同じように。


私たちは、あなたの期待に応えられたのかな?


 涙が出てきた。

いかん!

最近めっきり涙もろくなった。

鼻をかんでいる私に、 


「泣いているのか?」


そう言って、ボスは私の頭を撫でてくれる。



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