シロとクロとわたし。

RICORIS

プロローグ

 昔、題名は忘れたけど、とある漫画の内容に憧れたことがある。飼ってた猫が喋れて寂しい独身生活を支えてくれる日常ほのぼの系。少し現実味を帯びているから、私にもワンチャン可能性があるんじゃないかと思っていた。

 されど漫画。現実になりはしない。


 大学生の時に埼玉の田舎から上京して早五年が経とうとしている。私も社会人になり、毎日満員電車と戦って残業と戦って。私ゃ機械だったかねと思うような同じことをただ繰り返すだけの生活。これなら田舎で農業やってる方が生きていると実感できそうだ。


 私も猫を飼いたい。猫じゃなくても良い。鳥でもいいから癒しが欲しい。でも、帰ってくるのが夜で朝早くに家を出て、動物が可哀想ではないかと心配になるのでなかなか飼う決断ができない。

 一度、ダメ元で流れ星に祈ってみた。もう一年が経つが動物は飼えないし、そんな余裕すらできないし。

 廃人と化している。


 そんな機械人間の願いがやっと天に届いたのか。憂鬱な月曜日の朝、ベランダにダンボールが置いてあった。

 恐る恐るダンボールを開けるとそこには、小さな白猫と黒猫がすやすやと寝息を立てていた。

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