第27話 闇魔法(2)

 後日、全体で12体作り、工場の仕事を完全に任せた。ただ、キリ姉に言われたように、定期的に様子を見に来るのは欠かさず実行した。


 12体の土人形には、名前を付けた。No.1:アリエス、No.2:タウラス、………、No.12:ピスケス。


 アリエスには、他の土人形の管理をさせることにした。


 タウラスには、レオ・ヴァルゴ・ライブラと共に、地下4階の薬草の世話をさせることにした。


 ジェミニには、カプリコーンと共に、1階のポーションの生産過程を任せることにした。


 スコーピオには、サジタリアスと共に、外の薬草畑の栽培と収穫管理を任せることにした。


 残りの土人形には、工場と農園の警備を任せた。


 「キリ姉、これで、工場・農園を維持したままで、遊べるよ」


 「そうね。だも、大丈夫?」


 「大丈夫よ。ねぇ、パープルは、どう思う?」


 「ウン、ウン」


 パープルは、いつも通り、嬉しそうに、私に絡んでくる。私もいつものように、頭を撫でてあげた。


 暫くしてから、サンライズ商店長から、クレームを言ってきた。


 「もう、限界です。安くて良質のポーションがあるっていう噂が王国中に流れてしまいました」


 「それで?」


とキリ姉は、冷静に受け流している。


 「えぇっ、それでってはないでしょ。やってくる客の数が半端なく、大変なんですから」


 「そういうことね。儲かるからいいんじゃない?」


 「そりゃ、儲かりますが、仕事の割に、儲けが少ないのですよ」


 「それじゃ、休めば」


 「そんな、簡単に休めませんよ。客が来るのだから」


 「従業員を雇えば?」


 「だから、雇うほどもうけがないって、言ってるじゃないですか」


 「そうか。それで?」


 「えぇっ、それでってはないでしょ。やってくる客の数が半端なく、大変なんですから」


 「もう一度繰り返す?」


 「それは、こっちのセリフですよ。何とかしてくださいよ」


 「それでは、店を休まず、忙しくならず、今までどおり儲けがあれば、いいのね」


と、キリが割って入って来た。


 「そうです」


 「それじゃ、私達に店を売れば?」


 「うぅん。店長はしたいのですけど、だめですか?」


 「いいわよ。店長で、でも、店は売ってね」


 「えぇ、どういうことですか?」


 「つまり、店長は、商業ギルドに登録しているわよね。それはそのままにして、権利だけを売って欲しいの。つまり、登録はそのままで、店長としてもそのままで、いいの。ただし、店の運営権を私達に売って欲しいの。つまり、店長は今の店はいままで通り店長として顔御出すけど、経営はしないということ」


 「というと、私は、顔を出すだけで今まで通りの儲けを給料として、キリさん達から貰うということですか」


 「そうよ。給料としては、いままでの儲けの倍だすよ」


 「いいんですか?」


 「いいわよ。ねえ、キリ姉」


 「キリが良ければ。私はいいわよ」


 「パープルも、いいわね」


 パープルは、嬉しそうに私に抱き着いた。たぶん、いいということね。


 「それじゃ、契約書を書いて来てくれる」


 「はい」


 私達と店長は、契約書の内容の細かいことを相談した。後日、店長がやってきて、契約を済ませた。


 まず、大量に買いに来ている街を確認し、その街の小さな商店の経営権を同様の契約で買い取った。そして、その店に大量の上級の赤のポーションを置いて帰って来た。価格については変更しないことを約束させた。これを6つの街について行った。


 これで、この街の商店長はのんびりできるはずだ。


 商品の輸送にコストがかかるので、各街の中心から離れた所に土地付きの小屋を購入した。そこに、土人形を1体設置し、小屋の中に転移用の魔法陣を書いた。それと同じものを私達の工場の地下に作った。これで、転移魔法で、いつでも商品を瞬時に運ぶことができる。マナは、森から流れてくるので、輸送費は実質タダになった。


 でも、まだ、私の転移用の魔法陣は、物しか転移させることが出来ない。人も転移させることが出来ると、便利なので、もっと、調べてみよう。


 これで、高額の給料を各店長に支払っても、余裕で儲けが出る。しかも、上級の赤のポーションが格安で売れるので、他の商店では、赤のポーションを扱えなくなってきた。赤のポーションを独占販売できるようになった。でも、価格は変えないで売っていった。忽ち、それぞれの商店は人気店となっていった。


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 今日は、前回の実験の続きをやろうと思っている。何とか、光魔法で半導体もどきのマシリコンを作った。バリアは、光魔法でしか作れないのだろうか。いや、闇魔法でも作れる。


 実際に、2つの魔法(光魔法と闇魔法)で作ったバリアを作って、どのようにマナが遮断されるかを調べてみた。光魔法では、マナを反射して、マナを遮断する。一方、闇魔法では、マナを吸収してマナを遮断する。つまり、光魔法は、鏡のような働きをし、闇魔法では、ブラックホールのような働きをする。つまり、闇魔法で作ったバリアは、マナを吸収し、蓄えることができるということだ。


 従来の闇魔法で作ったバリアであれば、吸収するだけで、取り出すことができない。しかし、オリハルコンを材料にすると、取り出すことが可能となる。外から電圧に変わるマナを加えることで、バリアがマナを通し始めるからだ。


 これで、素材が完成したので、あとは組み立てるだけだ。


 私は、マシリコンでつくった素材で、ダイオードに代わるマナオードを作った。


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 「キリ姉は、転移魔法の魔法陣について、勉強した?」


 「少しは習ったわよ。何が知りたいの?」


 「うん。私が描いた転移魔法用の魔法陣では、物しか転送できないの」


 「えっ、キリは、いつも転移魔法で、私達も転送しているでしょ」


 「うん。そうだよ」


 「何言ってるのよ。もう一度言うわよ。キリは、転移魔法で私を転送している、よね」


 「うん。そうだよ」


 「まだ、分からないの。魔法を魔法陣にすればいいだけでしょ」


 「あ、そうか。てへっ。忘れていた」


 「そうよ。魔法陣を一から自分で考えて作るなんて、キリには必要ないのよ」


 「キリ姉は、賢いね」


 「どういたしまして。しっかりしてよね。いつまでも、子供じゃないんだから」


 キリ姉に、大笑いされてしまったけど、変な所でミスが多いね。反省しないと。でも、これからは、人も運べる魔法陣を使える。ということは、マナドールも私と同じ転移魔法が使えるってことね。これは便利。

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