番号22
隣の市に隣接――これ二重表現?――したこの区域は、何と言うか侵食されている感じだ。
容赦なく、都会が駕籠市ににじり寄ってきている印象。
いや駕籠市の方が、よっぽど得体が知れない部分があるとは思うんだけどね。
ひっくり返したおもちゃ箱みたいな。
それで、僕達が確認しに行った階段型トマソンがあるビルは、隣の市の雰囲気がある。どうやら最初はデパートとか、そういう施設として作られたっぽいんだけど、それが中身ごといなくなってしまった。
今は立派な雑居ビル。複合商業施設、って事になってるんだけどね。
で、そんなビルの搬入口の近くに階段型トマソンはある。
言ってしまえば裏路地だ。だからこそトマソンはトマソンとして残されているのだろう。
昨日からの検索の結果「大事にされている」事もトマソンの条件らしいけど、このトマソンは果たして――?
ただ実際に見てしまうと、
「……何と言うか地味だよね」
「お世話になってる身の上では言いにくかったの。それ、言っていいんだ」
やっぱりそうなるよね。
路地裏だからなのか、感じられるのは人いきれじゃなくて、どこか硬質な機械の響きばかり。
それがトマソンの神秘性を剥ぎ取っているような感じもある。
要するにこのトマソンは「外れ」だ。いや、基準は謎なんだけどね。
そしてもう一つの目的については――
「どう?」
「……う~ん、ダメみたい。もしかしたら回ってない? のかも?」
自分の行動にクエスチョンマークを付けられるのも記憶喪失ならではだね。
となると、さっさと次に行くか。
・欄干のトマソンを確認 番号39へ
・公園のトマソンを再確認 番号15へ
・もう十分、回った 番号46へ
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