番号5

 僕達が先輩達との合流を考えた矢先、スマホが着信音を奏でた。

 部長からの着信だ。どうやら向こうも似たような状況らしい。


 いや、実質空振りというのは勘弁して貰いところなんだけど。

 とにかく電話に出よう。


「もしもし」

『うん、私。そっちはどう?』


 部長の確認に、僕は言葉を組み立てながら答えることにした。


「駅なんかはトマさんの記憶を刺激したみたいなんですけど、それ以上にはなりませんでした。改めてアプローチを考えれば……ええ、はい。回るには回り終えました」


 何だか言い訳してるみたいだ。

 ……というか本当に言い訳が必要な状況なのかも。


『――そうか。それなら戻って来れるよね。朝と同じ学食で待ってるから』


 ん? 何か成果があったのかな?

 部長の声が、いつもとは違うように感じる。


 いや、ここで悩まなくても大学がっこうに戻れば良いんだ。


「トマさん、大学に戻ろう。先輩たちが何か見つけったぽいよ」


 言葉にすると、やけに儚げだな。

 でも、スマホから感じた感触は確かだ。


「そうなの? それは楽しみ」


 そして、トマさんは無条件で僕を信じてくれている。

 よし。大学に向かおう。


・番号21へ

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