第9話『チート能力がチート過ぎた⑤』

「では、ギルドカードの説明をさせていただきます。こちらのギルドカードは、冒険者・商業と共通で使用出来る物になります。表には名前・選択ジョブ・ランクが刻まれており、ランクは下からG・F・E・D・C・B・A・S・SS・SSS・Lとなります。ランクは依頼を受けていただく場合の指標にもなり、依頼のランクが同等か1ランク上の依頼しか受ける事は出来ません」

(なるほど、自己責任とは言え勝手な事は出来ない様に最低限のリスクヘッジはしてるのか)

「ただ、指名依頼の場合はランク関係無く依頼を受ける事が出来ます。但し、依頼ランクS以上からは同ランクでなければ依頼を受ける事が出来ません。ランクを上げる為には、ランクアップ依頼をギルドより発注させていただきます。ここまではよろしいですか?」

「はい。ただ、俺のランクがいきなりDなのは・・・」

「そこはギルドマスターの判断ですね。以前の出来事からコウさんがDランクで問題ないと判断されたのでしょう」


Dランクであるゴーンを倒した事だろう。

あそこまで圧倒した事を考えれば妥当な判断である。


「あれ?・・・」

「どうされました?」

「名前がコウだけなんですが、姓を入れないのが普通なんですか?」

「いぇ、身分の証明にもなりますのでフルネームが基本ですが・・・」

「そちらに関しては後日、ご説明させていただきます」


いつの間にかリンの後ろに立っていたミレイユが顔を突き出してきた。


「おぅ!?」

「きゃっ!?ミ、ミレイユさん・・・」

「驚かせてしまいましたね、すみません。では、失礼します」


ミレイユは頭を下げると、何事も無かった様にその場を後にした。


「ビックリした・・・あ、すみません!名前の件に関してはミレイユさんに任せて、説明を続けますね」

「えぇ、お願いします」

(ビックリしたぁ、顔が近づくまで気づかなかった・・・)

「次にそこの魔導陣ですが、そこに専用のスキルを送る事で、そのギルドカードが本人の物であるか確認が出来ると共に、依頼の達成・失敗件数等が細かく確認出来ます。ギルドでお金を預けた際も引き出すのに必要になりますので、無くさない様にして下さいね」

(身分証やキャッシュカードがセットになった感じだな、本人確認があるとは言え無くすと怖いな・・・)

「依頼はあちらのクエストボードに掛かっている依頼書を持ってきて下さい。さて、先程の専用スキルですが・・・」


リンは受付テーブルの下から辞書程の白いパネルを取り出した。

パネルにはスキルの名前とてのひらのマークが付いている。


「エクストラスキルの『マナ放出』です。肉体からマナを放出するスキルで、ギルドカードの確認以外にも、話せない時に指先からマナを放出して文字を作る事も出来る便利なスキルなんですよ!」

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