第二章『王立 サンクチュアリ学園』
第1話『UNOWN①』
アークラムに転生した翌日、コウは朝からギルドへと顔を出していた。
「朝から賑わってるなぁ、さすがは冒険者・・・早起きも苦にならないか」
アークラムでは、地球と同じ1日を24時間で表される。
1ヶ月は30日、1年を360日となっていた。
転生前とほぼ変わらない為、コウにとっては時差ボケなどする事が無く安心である。
「ギルドマスターは・・・いた」
コウが朝から冒険者ギルドに来たのは、ギルドマスターに呼ばれた為。
先日話した適正ジョブの確認の予約が出来たとカールに
「ギルドマスター!」
「コウ君、おはようございます」
「適正ジョブの件、カールさんから聞きました。今日はよろしくお願いします」
「えぇ、神殿は王宮の近くにあります。貴族の方々もも多いエリアですから、本日は私も同行しますよ」
ギルドマスターが言うには、今の王が即位してから貴族と平民の壁を無くす取り組みを積極的に行っているらしい。
一部の貴族はそれを良しとせず陰で画策する者達が出てしまっている。
特に、ここ最近では子供の失踪事件が数件報告されている。
しかし、実際に首謀者が貴族だと繋がる証拠は無く、実行犯も捕まらない為、冒険者ギルドにも依頼が出回る自体に発展していた。
「表向きは行方不明の子供達の探索任務としています。犯人との戦闘がある事を踏まえてランクは高く設定していますがね」
「それ、俺に言っていいんですか?」
「ある程度ランクを上げている者達は気づいていますからね。暗黙の了解・・・と言いますか」
(なるほど・・・王命で発信すれば、兵士や自警団が無能だと言ってる様なものだ。冒険者ギルドなら、匿名依頼と言う形で出せるし、その事に気づいても王様に逆らってまで周りに言いふらす馬鹿はいない)
「ですから、子供だけで出歩かない様に同伴が基本になっています」
そこでシルバは顔を近づけ小声になる。
「誘拐は、貴族エリアと平民エリアとの堺が、1番多いんです」
「誘拐犯が、貴族か平民かわからない様にしているって事ですね?」
「もちろん見回りの強化を行っているので、直近での事件はありません。代わりに犯人も見つからない為、不安を訴える者も徐々に増えてきています」
昼夜問わず起こっていた神隠しの様な行方不明事件。
コウがそれについて悩んでいる合間に、神殿に辿り着いた。
「コウ君、着きましたよ・・・少し不安にさせてしまいましたかね?」
「あ、いぇ!ちょっとこの後の事考えていて・・・」
コウは顔に出ていたかと焦る。
子供の自分が何かやろうとすれば止められるだろうし、ここは誤魔化す事にした。
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