第5話『西の国と冒険者ギルド①』
ステータスの上書きに成功したコウは、改めて探索を再開する。
しかし、どんなに歩いても人はおらず、村や町など見えてこない。
「マズい、流石に暗くなる前に何処か落ち着ける場所を見つけないと、食料も水もないしな・・・」
無駄に歩いても体力を消耗するだけだ。
コウは少し考え、スキルを試す事にした。
「そうだ、確か
眼にマナを込め集中する。
コウの瞳に魔法陣が浮かび上がる。
ー創成術『
瞬間、創成術による魔眼の力でかなり先の場所までの情報が一気に脳へと流れる。
「うおぁっ!?」
いきなりの情報量に驚き頭を抱えた。
二日酔いの様な頭痛と吐き気にしばらく動けなかった。ようやく落ち着いた所で、再び力を抑えて魔眼を発動する。
「これくらいなら大丈夫か、結構先まで見てるけど・・・本当に何もないな・・・ん?」
3人組の男性が何かと戦っている。
黒い毛を持つそれは、狼の様に見える。
しかし、良い状況とは言えない。
彼らの装備はヒビが入り、所々欠けていた。
数の多い狼は彼らの装備が壊れそうなのがわかるのか、必要に装備に爪を立て、牙で噛みついていた。
(あのままじゃ殺される!でも、ここからじゃ間に合うか・・・そうだ!)
コウは集中する。
この場から彼らのいる場所へ、自分が瞬間移動するイメージを強く思い描く。
ー創成術『
コウをマナが包み込み、一瞬で彼らの元へ移動した。
幸いにも、彼らの馬車の影に移動した為、コウの姿は見られていない。
コウはそこから更に彼らとの距離を取る。
そして・・・
(召喚術なら・・・)
ー創成術『大鷲召喚』ー
天に掲げた掌から光が放たれ、空中で巨大な鷲へと姿を変えた。
大鷲は彼らを睨むと、一目散に地上へと滑空する。
「何だ!?」
「いきなり空が光って、新たな魔獣が!」
「こんな時に!」
光に気づいた男達は口々に叫んだ。
目の前に突如あらわれた大鷲に絶望する。
しかし・・・
「グギャアァァッ!」
大鷲が襲いかかったのは狼だった。
大鷲は狼を咥えて再び飛び上がると、地上へと吐き捨てる。
勢いよく地面に激突した狼は、黒い灰となり消えていった。
その後も大鷲は狼を襲う為、再び滑空する。
狼達は散り散りに逃げ惑った。
「何だ?縄張り争いか?」
「いや、そもそもあんな魔獣この辺りで見た事がないぞ!?」
「助けて下さい!」
状況を理解出来ずにいる彼らの元に、コウが叫びながら駆け寄る。
(これなら、大鷲に襲われて偶然ここまで来たと思わせる事が出来るはず)
「助けて下さい!あの怪物に追われて、皆さんが見えて!」
「お前が連れてきたのか!?」
「待て、ガイ!魔獣同士が争ってる今がチャンスだ、小僧!お前も乗れ!」
コウは男の1人に抱えられ馬車へと飛び込む。
ガイと呼ばれた男が馬へと飛び乗り、彼らは全速力でその場を後にした。
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