ダンジョン経営は辛す

夢日記ノベリスト

第1話 ダンジョン経営してます

「ええ、ごほんごほん。あっ、スポットライト当ててくださーい」

パチンッ!


 突然ですが、私はダンジョンを経営しているツラスというものです。漢字に書いたら津羅州です。私も本当は冒険者とかになりたかったのですが、なにせ力がないものでそっちの方面はからっきしダメみたいでしたね。

 それに魔法も一切使えません。どうやったら魔法なんか使えるのか今でも謎です。昔から運動神経もあんまり良くなくて常にビリケツです。

 なので私は必死に勉強をして努力を積みました。私は力がないからダンジョンを経営する側になろうと思ったのです。

 それで冒険者とかになったみんなを見返してやろうと思った次第です。そして私はダンジョン大学を卒業して今はダンジョンの経営しています。いざダンジョンの経営をしてみるとなかなか上手くいかないものですね。

 まず何よりダンジョンは手に入れるのにお金がかかるのです。そして今でも借金をしてそのダンジョンを買った購入費用と維持費で赤字を返す日々です。


「あわわわわ、もう完全に八方塞がりだわー」


 私のダンジョンはとても弱くスライムさんばかりしかいません。このスライムさんも育成キットみたいなもので作って生成しています。


「スライムさん、頼んだわよ!」

「うにゅ!」

「おっ、誰かダンジョンの中に入ってきたみたい!」


 冒険者のパーティーがやってくる。


「おっ、スライムだ! 死ねぇぇぇ!!!!」

「くぎゅぅぅぅ!!!!」

「スライムさーーーーーん!!!!」


 ダメージすら与えられずにスライムさんはやられてしまったのです。私が手塩にかけて育てたスライムさんは無惨にもやられてしまいました。

 けれど、これがダンジョン経営の宿命なのです。モンスターはいずれ冒険者に倒される運命にあるのです。でも私は悔しいです!


「私は力が欲しい! 世界を支配出来るぐらいの力が!」


 あっ、そういえば私のダンジョンは非常に人気がありません。ダンジョンも「たくさんお宝があるぞ」とか、そういう口コミがないと人がやってこないのです。厳しい時代ですね。

 色んなダンジョンも今ではレビューで☆が付いていたり、口コミでコメントなどが付いています。もちろん私のダンジョンはとても評価がひくいです。

 ここからどうやって巻き返していこうかというところですね。早くみんながやってくるような人気ダンジョンを作り上げていきたいです。

 それと経営と言ったらお金ですね。ダンジョン経営者の私がどうやってお金を手に入れているかと言うと、勇者がモンスターに負けてその身ぐるみを剥いでいるのです。

 こうして身ぐるみを剥いで手に入れたアイテムなどを換金してなんとか経営できています。私は悪の道を絶賛突き進んでおります。

 もちろん冒険者から奪ったアイテムなどをそのままダンジョンのお宝として転用する場合もあるのです。まあハズレアイテムばかりを入れてしまうとこれまた口コミが悪くなってしまうので難しいところですね。


「おーい、またあのダンジョン良いアイテム見つからなかったらしいぜ 」

「もう行くのやめようぜ。行くだけ時間のムダなんだわ」

「だな、あんなクソダンジョンなんか2度と行くか! となり町のはずれにあるダンジョンにでも行こうぜー」

「そうすっぺ!」


 私は街で盗み聞きしていた。


「あわわわわわ、絶対に私のダンジョンじゃん! またダンジョンから人いなくなっちゃったぁ! どんどん経営が苦しくなるわー!」


 こうなってしまってはいけないのです! とにかく人をどれだけ集められるかがこのダンジョン経営においては重要なのです!

 今はダンジョン激戦区の時代です。きっと私のようにダンジョンを経営している方が他にもいるはずなのです。そんな人達にお客様を取られてはなりません!

 私はこの厳しい競争に勝っていかなくてはなりません。でも現実は厳しいもので風が吹いたらもう飛んでいきそうなぐらい経営がピンチです。


「優秀な部下でもいればまた変わってくるんだろうけどなにせお金がないからなー」


 私もこれからダンジョン経営を続けていけるのか迷っているところなのです。ダンジョンをよりにもよって初心者なんかに攻略されてしまうので儲けが少ないです。


「このダンジョンマジで楽勝だな。もっと歯ごたえのあるダンジョン行きてぇーなー」

「いいアイテム全然落ちてないぜ。ここのダンジョンはもう終わりだな」


 ダンジョンの岩陰で一人隠れて見ている女性の姿があった。


「またやられましたか! 一体どうしたら、冒険者の方々は負けてくれるんだ! 正直もうこれ以上は予算的にモンスターを導入できないんだよなー。私がモンスターにでも化けて戦うしかないのかなー」


 私のダンジョン経営の道のりはまだまだ険しそうです。ちなみにこれは私がダンジョン経営で世界を支配するまでの物語でーす。



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