ティナという少女

※初めに……『黒黒』の設定を凌辱系エロゲから、通常RPGに変更しました。設定がごちゃごちゃしてしまい。申し訳ございません! それでは、本編どうぞ


―――――――――――― 


「……ん、私に何かよう?」


 ティナ・ローレンツ。

 

 彼女は『黒黒』内に登場する、ヒロインの一人だった。

 茶髪で、無口なクールなヒロインである彼女は、住んでいた村をグラハムに滅ぼされた過去がある。

 貴族であるローレンツ家の養子として引き取られた彼女は、やがてグラハムに復讐しようとする……そして、その過程で主人公たちと行動を共にすることになる。


「……なるほど、この村が……グラハムが滅ぼした村になるわけか」


 そう言って俺は周りを見渡す。


 そう考えて改めてみると、ティナの回想で登場した村に少し似ている気がするな……


「……そして、グラハムはイェーガーさんを殺したと」


 今見た感じ、グラハムとイェーガーさんは凄い仲がよさそうだった。

 そんな中のいい相手を、殺してしまえるなんて……俺は、グラハムという男が少し不気味に思えてしまった。


「どうしたんだ?」

「……何も」


 俺が、そう一人恐怖していると、遠くの方からイェーガーさんが歩いてくるのが見えた。


 彼の隣には茶髪の女の子がいる……アレが、ティナちゃんか。

 

「おーおー、待たせたな。ほら、ティナ。この子がラプラスくんだ」


 イェーガーさんがそう言うと、ティナちゃんはとてとてと俺に駆け寄ってきた。


 そして、俺の手を掴んできたのだ。


「はじめまして~ティナだよ!」

「……!? ラプラス……です。よろしく……ね?」

「うん! よろしくね!」


 そう言ってコロコロ笑うティナちゃんは、なんというか『黒黒』で出てきたティナちゃんとは性格が間反対というレベルで違うのが見て取れる。


 無表情、無口……絵にかいたような不愛想な女の子だったけど……成長する過程でそうなったのか。


 ……いや、違うな。グラハムが村を滅ぼしたから、不愛想な女の子になったんだろうな。


「ねーねー、ラプラス君と一緒に遊んできていい?」

「いいぞ、あ、でも村の中からは出るなよ~」

「うん! それじゃ、行こ~」

「あ……」


 考え込んでいた俺の手を、引っ張るようにしてティナちゃんは走り出すした。

 そんな彼女の顔には、ゲームで見たことが無いほど、無邪気で満面の笑みを浮かんでいた。


「……どうかしたの?」

「ん、いや……何でもない」


 原作『黒黒』の世界なら……これから、ティナちゃんは、苦しく悲しい道をたどることになる。


 だが、この世界ではそんな悲しい世界は訪れない。

 

 何故なら、俺が死なないからだ。

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