レベルという概念
さて、強くなる計画を立てると言ったものの……どうやったら強くなれるんだ?
そう、食事後の片づけをしてる母さんを見ながら首をひねった。
まあ、すること自体は筋トレとか、剣術とかそう言う戦闘方法を学んでいくことになるんだろうが……そんなことをしていても、貴族たちが来た時劇的に強くなって、生き残れるとは思えない。
グラハムの息子というチートスペック(であろう)この身体だったとしても、所詮子供は子供。
もっと、普通に強くなる以上に劇的に強くなる方法が……何か、何かないのか?
「ただいまー‼」
なんて考えていると、グラハムが帰ってきた。
「ん、お帰り」
「ん? おお、ラプラス起きてたか‼ どうだ? 体の方は、もう大丈夫なのか?」
「ん、ぴんぴんのぴんぴん」
「はは! そうかそうか、流石我が息子だなっ!」
そう言って、頭をポンポンと叩きながらグラハムは「がはは!」と笑った。
全く、グラハムの奴は能天気そうで羨ましい……こっちは朝から頭を悩ませてるっていうのに。
「おかえりなさい、グラハム」
「ああ、只今ティア―シャ」
一般的なこういう異世界転生物だと、子供のころから魔素を鍛えたりレベルを上げたりするものだが……
――そう言えば、原作「黒黒」の世界にはレベルって概念があったな。
レベル、か。一般的にはRPGとかで使われる概念だけど、もしこの世界にもレベルという概念があるなら、強くなるためにこれ以上なく打って付けだ。
「ねえ、父さん……聞きたいことがあるんだけどさ」
「なんだ?」
「レベルって何?」
そう言うと、父さんは少し驚いた後「ほーん」と何処か嬉しそうな顔になったように見えた。
「そうか、お前……レベルに興味があるのか」
「ん……何? 教えて?」
「まあ、そう焦るな焦るな……どっこいしょ」
そう言って、父さんは座ると、レベルについて話を始めた。
「レベルっていうのは、簡単に言えば人の強さを数字で表したものだ」
「……それだけ?」
「ああ、簡単に言えばそれだけだ」
そう言って、グラハムはうんと頷いた。
なんか、ちょっと肩透かしを食らった気がする。
まあ、四歳児に聞かせる内容としては妥当なんだろうけど……でも、なんだかな。
そう、期待外れな回答に肩を落としていると、救いの手を差し伸べるかのように母さんが話に入ってきた。
「そう言えば、レベルって私も気になってたんですよね……少し詳しく聞かせてもらえません?」
ああ、母さんナイス。
きっと母さん相手なら、もう少し詳しい話を聞けるかもしれない……っていうか母さんはレベルってい概念を知らないのか?
そう、期待と疑問が入り混じっていると、グラハムは改めてレベルの説明を始めた。
今度は、詳しい話を聞けると良いが……
「うーん、まあ俺もそんなに詳しいわけじゃないが、何でも新しく定められた強さの指標みたいな奴らしい。レベルを図ることでそいつがどれだけ強いかってことが簡単に分かるんだとか」
「へえ……どういう仕組み何ですかね?」
「何でも普通の大人の平均魔素を10レベルとして、対象の実力を簡易的に図る基準らしいな……だがまあ」
そう言うと、父さんはニヤリと笑った。
「俺からしてみればそんなのかんけえねぇ! って感じだが」
「まあ、貴方ならそう言うでしょうね」
そう言ってがははと笑う父さんを見て、俺もそう言えば「グラハムってこういう性格だったな」と思った。
原作でも「レベル? そんなのただの飾りだ」とかって笑い飛ばしてたからな。
でも、そうか……グラハムの話を聞く限りだと、レベルという概念はあくまで相手を図る強さに指標みたいなものなだけっぽい……か。
「つまり……レベルっていうのは強くなるためにはあんまり関係ないってことか」
「ははは、いやいや、そう結論づけるのは早いぞラプラス」
「え?」
俺が、そう結論付けて別の方法を考えようとした時、グラハムはそう断言した。
どういうこと?
さっきグラハムがあくまでレベルは相手の強さを図るだけって言ってたじゃん。
と、そう疑問に感じていると、グラハムは語りだした。
「良いか、魔素っていうのはいわばそいつがどれだけ強くなれるかって可能性だ魔素が少なければ、そいつがどれだけ才能を秘めていたとして魔素以上には強くなれない。いいか、ラプラス」
そう言って、父さんは真面目な瞳で俺の事を見てきた。
「強くなりたいのなら、まずレベルを上げろ。レベルを上げることができれば、お前は何十倍も強くなれる」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます