第9話 早くも独り身卒業?!

――…あれは僕なりの…告白だったんだけどな…


その日の夜、私はベッドで考えていた。

私はあの時戸惑っていたから聞こえないふりをしていた。

だから実質、聞こえていた。


”告白”


私には告白なんて文字、もう聞かないと思っていた。

しかも、まさかのあの順平から。


――後に本当になりますから。


”後に本当になる”


この言葉が本当なら、私は後に順平と恋人になるのであろうか?

正直言ってしまうと、二人っきりになったあの時、実は少し順平のことが

気になってはいたのだ。これはもしや、隠れ不倫になってしまう?

いや、不倫は隠れてやるものだから隠れ不倫なんて言葉はないか。

いや、堂々とやる人もいるか。


コンコン


「郁江さん。まだ起きてますか?」


この声は順平だ。なんだろう。意識してしまっているからか、胸の鼓動が速い。


「うん。起きてるよ。」

「部屋に入ってもいいですか」

「ちょっと散らかってるけどそれでもいいなら。」

「では失礼します。」


そう言って、順平は部屋に入ってきた。

そして順平は、私の前に正座した。

しばらく沈黙が続いた。そして、ついに順平が口を開いた。


「郁江さん。お話があります。」


順平はそう言うと、ふぅ…と少し息を吐き続けた。


「郁江さん。僕と付き合ってくれませんか。」


深夜0時。その順平の言葉は、静かな空間にゆっくりと消えていった。

順平の目の奥には、今まで見たことのないくらい綺麗に輝いている。

とても真剣な眼差し。


私は少し間を置いて、順平の前に正座をし、彼の手を握った。

そして私はこう言う。


「私で良ければよろしくお願いします。」


私がそう言ったあと、順平の目がとても大きく丸になっていた。

相当驚いているのだろう。私は面白おかしくなってしまい、笑ってしまった。


「な、なんで笑ってるの?」


順平が戸惑っていたが、私はそんな戸惑っている順平すらも面白く、笑いが止まらなかった。


「え、えっと、これは僕たちは恋人になったんですか?」


私は涙を拭って言う。


「そうなんじゃない?もう敬語じゃなくていいよ。これから私を支えてね。」


順平はようやく確信したのか、安心した顔で言う。


「わかった。これからは、郁江を支えていくね。」


順平だったら、この先、死ぬまで安心できるパートナーかもしれない。

浮気しなさそうだし、若い女にホイホイ着いていくような男じゃなさそう。

この人だったら本当に私を幸せにしてくれる気がする。

勇とかいうクソな男のせいで、私は男を見る目がないと思っていた。

だけどそれは勘違いだったのかもしれないな。

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