#6
拾ったあなたは式のなか、つらつらとしたやかましさを湛えやがて潰えました
痕跡は曖昧で、夜の淡く地表を輪郭するさまを思わせました
「ごめんね」
もっと、はやくに来ていたら、そしたら何処にもなくなるみたいにあなたを忘れるきょうなどありはしなかったのに
わたしは〈月〉を綴じ、硝子越し、みっつの篝がぼんやりとした音階を奏でる系を観測するのでした
ひかりのとりどり、いくばくか、さいはてまがいの永遠が時間を濡らしはじめました
世界はいくどめかの終焉を迎えつつあるのでした
わたしは花岸のただなかに、いつしかたたずみすべてのあなたにさよならをくりかえしていました
「むかえにゆくよ」
わたしは約束したのでした
わたしはあなたをあつめはじめました
あなたはあなたの記憶の記録なのでした
あなたはそのほとんどが透明にちかいすがたをしていました
あなたはわたしのからっぽをたやすくとおりぬけてしまうのでした
わたしはあなたをあつめはじめました
ばかみたいな時間、きっとそうしていたのでした
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