ダンジョン飯配信者の冒険譚~Dランク冒険者は波乱万丈な人生を謳歌する~
神楽坂リン
第1章 新人育成編
プロローグ
この作品は、配信の文化がある異世界という特殊な世界観となっています。
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この日もDランク冒険者の俺──リーヴ・レクトルはダンジョン飯の配信をしていた。
「はい、皆さんこんにちわ~。今日も元気にダンジョン飯の配信やっていきま~す」
『いえぇぇぇぇぇい!!』
『待ってました!』
『今日は何だ!?』
コメント欄では視聴者たちがはしゃいだ様子でコメントしている。
俺はそんな視聴者たちのコメントに答えながら、今日の料理を紹介した。
「本日の料理はこちら! 焼肉丼です!!」
俺はパチンと指を鳴らすと、目の前に出来たてホカホカの焼肉丼を出した。ホカホカの湯気と共に、タレが焦がしネギと肉にからまりながらいい香りが漂っている。
「食材はこちら! ダンジョンに生息しているオークの肉です!」
『うおぉぉぉぉぉ!!』
『オーク肉きたー!!』
『美味そう!!』
俺はどんぶり鉢に盛った焼肉丼をカメラの前にドカンっと置くと、コメント欄では歓喜の声があがった。
「今回の料理ではダンジョンで取れた新鮮な食材を使用しています。オーク肉はジューシーで脂がのっていて、とっても美味しいんですよ?」
『へぇー、そうなんだ』
『まじかよ!』
『美味そう!』
「それでは試食していきま~す!」
俺は箸をマイク代わりに持つと、スマホのレンズに向けて焼肉丼を食べる姿を視聴者見せつけた。すると、スマホの画面の下部にはリアルタイム視聴のカウンターが現れた。リアルタイム視聴者数を表す数字は見る見るうちに増えていく。
「ん〜、うまい!!」
『おぉー!』
『めっちゃ美味しそう!!』
『俺も食いてぇな~』
コメント欄では視聴者たちが俺の配信を見ているのがよくわかる。俺はそんな彼らの期待に応えるべく、焼肉丼をスマホのレンズに近づけた。
「ほらほら、ここだよ! ここに注目!」
『うおぉぉぉぉぉぉ!!』
『美味そうぅぅぅぅぅ!!』
視聴者たちは俺が食べている焼肉丼を見て大盛りあがりだ。
俺はそんな反応を見ながら焼肉丼をかきこむと、オーク肉の肉汁が口の中いっぱいに広がり、ご飯に染み込んだタレがそれを包みこむ。
「うんまー! オーク肉美味いなぁ!!」
『いいなぁ……』
『腹へった』
『俺にも食わせてくれぇぇぇぇぇ!』
視聴者たちは俺が焼肉丼を食べる姿を見て興奮しているようだ。
俺はその期待に応えるべく焼肉丼を食べると、コメント欄は大騒ぎになっていた。俺を羨ましく思うものや、俺を妬む人などがいる。
そんな視聴者たちに俺は焼肉丼を食べながら、スマホの画面にコメントを映し出す。
「そんなに食べたければダンジョンに潜ればいいだろ?」
『無理だよぉ〜』
『そんな装備持ってねぇよ』
『武器もねぇし……』
『そうだぜ。それに死んだら元も子もないじゃないか』
「そんじゃあ俺からお前たちに聞くが、俺は死んでるか? 答えはもちろんノーだ。つまり! お前らは死なない! なぜなら俺が死んでないからな! さぁ今すぐダンジョンにダイブしようぜ!!」
俺は視聴者たちを煽ると、箸をマイク代わりにして語り始める。
「ダンジョンで食材や素材、そして装備を手に入れて配信者になるんだ! そうすれば有名になれるぞ!」
『ダンジョンに潜ったら死ぬだろ』
『無茶言うなよ』
『でもなぁー』
「安心しろ。俺が付いていればお前らは死なねぇから」
『え?』
『???』
『どういうこと?』
「俺からお前たちに武器や装備を無償でくれてやるよ!」
俺は指パッチンをすると、目の前に大量の武器と装備を出した。
「ほら! これでダンジョンに潜れるだろ?」
『まじかよ!!』
『武器だ! 装備だ!』
『確かにこれなら行ける!』
『太っ腹だな!』
そんなコメント欄の反応を見て俺はニヤリと笑うと、まだ調理していないオークの生肉を取り出した。そして炎魔法で肉の中心部をあぶりだすと、そこにバターを落として更に熱する。ジュウジュウという音とともに香ばしい匂いが漂い始めた。
「これらの武器や装備は早い者勝ちだから、欲しい武器や装備があるなら早く俺のところに来た方がいいぞ~」
『早くしないと!』
『マジか!!』
『今から向かいます!』
「そんじゃあ今日の配信はこれでおっしま~い! また明日も配信するから見てくれよな!」
そう言うと俺は配信を終了した。
そして、オークの生肉がジュウジュウと焼ける音をBGMにしながら、出来上がるのを待つのだった。
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